サッカー:李忠成の父「昔は韓国応援したが…」

日本との国際親善試合「キリンチャレンジカップ2011」が行われた10日夜、札幌ドームを訪れ、韓国の報道陣の取材を受ける日本代表・李忠成の父・鉄泰さん。写真=キム・ギョンミン記者(札幌)

札幌=パク・チェホ記者】 世界で最も見返りを求めない愛は両親の愛だ。昔は「子の口に飯が入っていくことと、川から分かれた水が水田に流れ込むことよりいいことはない」と言ったものだ。10日、札幌ドームに一人の父親がやって来た。

 李忠成(り・ただなり、25)=広島=の父・鉄泰さん(53)だ。鉄泰さんは、東京都西東京市で飲食店を経営しているほか、日本産のマグロを韓国に輸出する貿易業もしている。

 この日、生まれて初めて韓日戦にスタメン出場する息子の姿を見るため、札幌を訪れた。韓国の報道陣からインタビューを受けた鉄泰さんは、息子があれほど夢見ていた国家代表の主力FWになったのにもかかわらず、笑顔がなかった。いや、笑うことができなかった。

 在日韓国人3世として日本で生まれ育ちながら、祖国である韓国にも、生活の基盤である日本にも歓迎されなかった。他人には分からない痛みが分かるからこそ、2007年に在日韓国人4世である息子の日本国籍取得を許した。

 「韓日戦があると、忠成が幼稚園のころから、一緒に東京の国立競技場に行っていました。そして、二人でのどが張り裂けんばかりに『大韓民国』と叫びました。今は忠成が日の丸を付けてプレーするようになったので…」

 鉄泰さんの言葉は途切れてしまった。

 それでも、自分なりの意義を見いだそうとしていた。鉄泰さんは「忠成は日本代表チームで唯一の韓国系日本人として『李』という姓をユニホームに付けています。これは日本のサッカーの新たな歴史です。父親として息子が一生懸命プレーしてくれることを望んでいますが、相手が韓国だからか、わたしの気持ちはかなり重いですね」と言った。

 「韓国でも忠成のことをよく思っていない人は多いでしょうが、日本でもまだ日本代表としての忠成をよく思っていない人が多いです。これから韓日両国で忠成を高く評価する人が増えればいいですね」

 李忠成は2004年にU-19韓国代表候補になり、合宿訓練に参加したが、韓国代表には選ばれなかった。07年に日本国籍を取得した後、日本の五輪代表チームで活躍し、今年1月にはカタールで行われたAFCアジアカップ2011で初めて日本のA代表になった。

スポーツ朝鮮/朝鮮日報日本語版

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