2011年8月11日(木)「しんぶん赤旗」

侵略美化の教科書不採択

東京・杉並、区民傍聴の中、6年ぶり


 侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社歴史教科書を6年間使ってきた東京都杉並区で10日教育委員会が開かれました。中学校の教科書採択が行われ、歴史・公民とも、つくる会系の育鵬社・自由社の教科書を採択しませんでした。

 歴史・公民とも5人の教育委員のうち2人が育鵬社の教科書を支持しました。しかし、「子どもが自分で考えられる力がつかない」「教員が使いにくく、生徒の学ぶ意欲がわかない」と育鵬社を推せない意見が多数を占め、歴史・公民とも帝国書院を採択しました。

 教育委員会には20人の傍聴席に約260人が駆けつけ審議を見守りました。傍聴していた同区の女性(52)は「私立で歴史を教えてきたが、扶桑社やそれを引き継ぐ育鵬社の歴史の誤りは歴然としています。採択してきたのは政治利用だった。新しい2人の委員が子どもの立場で考えるべきだとしっかり反対してくれてよかった」と話しました。

 11年間教育委員会を傍聴し続けた「杉並の教育を考えるみんなの会」の女性(71)は「みんなの運動の成果です。東京で唯一扶桑社を採択してきた杉並で採択しなかった意味は大きい。全国に広がってほしい」と話していました。

 同区では2005年に扶桑社版歴史教科書が採択され、広範な区民が反対運動を続けていました。





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