2011年8月11日 2時32分
生活保護制度の改革を目指す国と地方の協議が難航し、厚生労働省が当初予定していた今月中のとりまとめが延期される見通しになった。全国の保護受給者は200万人を突破。財政負担も急増し、国も地方も改革の必要性は認めているが、働ける受給者への就労支援強化などで地方側は事務量の増加を懸念しており、調整には時間がかかりそうだ。
協議は厚労省政務三役と石川県知事、大阪市長ら地方代表の4首長との間で5月末にスタートした。事務レベルの会合には東京都や川崎市も加わり、非公開(協議概要は後日公開)で進められ、5回目となる10日が最終の事務会合になる予定だった。しかし、医療費の自己負担導入など自治体間の考え方に温度差がある課題があり、とりまとめ案を協議する本会合は9月以降になることが確実になった。
一方、東京・霞が関の厚労省周辺では10日午後、生活保護受給者ら約70人がデモ行進。「密室協議ではなく、当事者の声を聞いてほしい」などと訴えた。【石川隆宣】