ニューヨークタイムズは8月9日に大きな記事を出し、日本政府がSPEEDIの公開を遅らせ、多くの人の被曝を防ぐことができなかったこと、その判断は「避難させると経費がかかる」というものだったことを明らかにした。
それと同時に、日本政府はまだ1年に換算すると20ミリシーベルトの外部被曝に相当する避難地域の解除の方向を示した。
この二つの動きは、地元の人の健康はもちろん、今度の福島原発の事故について、世界が日本をどのように評価するかを考えなければならない時期に来たことを示している。
1986年にソ連のチェルノブイリ事故の時、ソ連政府はキエフから1100台のバスを出して、翌日には住民を避難させた。そして1年5ミリシーベルト以上になる地域を強制避難、さらには夏に子供たちを遠いところへ林間学校に行かせて、体を休ませるなどの措置をした。
それでもソ連は国際的な非難を浴びて、その後の崩壊につながったとされている。国際化が進んだ現在、日本がどのぐらい「国際感覚」にそった行動をとることができるか、そこが勝負である。
(以下のファイルをダブルクリックしますと、音声ファイルが開きます。ほとんどのパソコンで音声ファイルを開くことができるようになったので、試みに続けています。)
(平成23年8月10日 午後7時 執筆)
武田邦彦
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