元ＮＨＫアナが変死か…自宅から死後数日の男女の遺体

　１０日午後０時半ごろ、東京都大田区に住む元ＮＨＫアナウンサーの五十嵐忠夫さん（７５）方で、男女２人の遺体が見つかった。警視庁田園調布署は、連絡が取れない五十嵐さんと妻・栄子さん（７６）とみて、身元を調べている。２人の遺体に目立った外傷はなく、同署は１１日に司法解剖して詳しい死因を調べる。

　田園調布署によると、五十嵐さんの自宅で見つかった２人の遺体に目立った外傷はなかった。玄関や窓は施錠され、外部から侵入した形跡もなかった。同署は２人を１１日に司法解剖し、詳しい死因や持病の有無などを調べることにしている。五十嵐さん夫婦はこの家で二人暮らしだった。

　男性は１階の廊下で倒れた状態で見つかり、少なくとも死後数日が経過していた。女性は２階の室内で見つかった。同署は男性が死亡後、女性が死亡したとみている。

　ＮＨＫ広報局によると、五十嵐さんは１９６０年に採用され、横浜、名古屋放送局など地方局を中心にアナウンサーとして勤務。９３年に退職し、現在はＮＨＫ放送博物館（東京都港区）で案内役を務めていた。欠勤が続いたのを不審に思った同僚が自宅を訪れ、応答がないため田園調布署に届けた。

　近所に住む住民によると、栄子さんは最近、「暗くなると毎日、寝間着で出歩いていた」という。フローリングを掃除する室内用の掃除用具で、玄関の外を掃除していたり、大通りの真ん中に立ってぼんやり遠くを見ていたという。この住民が最後に栄子さんを見かけたのは今月１日。細い路地を、手を後ろに組み、落ちているゴミを拾いながら歩いていたという。

　夫の五十嵐さんを去年見かけたという近隣の住民は、足元がおぼつかない様子で歩いていたため「高齢の夫婦２人きりで暮らしていたと聞き、驚いた」と話した。五十嵐さん宅は閑静な住宅街の中にあるが、この日は警察車両が横付けされ、夜遅くまで慌ただしく捜査関係者が出入りした。