イギリスのロンドンで、男性が警察官に射殺されたことをきっかけに起きた暴動は、3日目になっても収まる様子はなく、ロンドン市内の広い範囲に拡大しているほか新たに中部のバーミンガムやリバプールにも飛び火するなど、混乱が広がっています。
ロンドンでは、今月4日、29歳の男性が銃器を取り締まっていた警察官に射殺されたことをきっかけに6日以降、住民の一部が暴徒化し、各地で暴動が広がっています。8日には、東部のハックニー地区や南部のブリクストン地区など市内の広い範囲に拡大し、各地で警察官と衝突を繰り返しているほか、住宅や商店が放火され大規模な火災も起きています。さらに9日未明にかけて、暴動はイギリス中部の都市のバーミンガムやリバプールにも飛び火し、このうちバーミンガムでは警察の庁舎が炎上しているとの情報があります。警察はこれまでに300人以上を拘束し、事態の沈静化を図っていますが、暴動は一段と拡大する様相を見せており、キャメロン首相は9日、急きょ休暇先からロンドンに戻り、緊急閣議を開いて事態の収拾に当たる方針です。暴動が起きている地域は、いずれもアジアやアフリカからの移民が多く暮らしており、若者の失業率も高いことから、暴動が拡大している背景には、政府が進める緊縮政策などに対する不満もあるものと指摘されています。