資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表の小沢一郎被告(69)の第13回公判前整理手続きが10日、東京地裁であった。大善文男裁判長は初公判を10月6日に指定した。審理は週1回程度のペースで進み、来年1月中に証人尋問や被告人質問などの証拠調べを終える予定。検察官役の指定弁護士の論告や弁護側最終弁論は2月以降になり、判決は春ごろになる見通し。
小沢元代表は、衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人と共謀、自身が陸山会に提供した4億円を04年分の政治資金収支報告書に記載せず、04年分に載せるべき土地購入費約3億5200万円を05年分に記載したなどとして、東京第5検察審査会の起訴議決に基づいて今年1月、強制起訴された。
元代表の弁護団は4億円提供の不記載について「4億円は石川議員に預けただけで報告書への記載は必要ない」と主張。虚偽記載が成立するとしても「元秘書らとの共謀はない」として、全面的に争う方針。【和田武士】
東京第5検察審査会の起訴議決から約11カ月を経て、民主党元代表、小沢一郎被告の初公判期日が決まった。公判の行方を左右するのは、虚偽記載を「小沢元代表へ報告し、了承を得た」と東京地検特捜部に供述したとされる衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書たちの調書の採否だ。
争点整理や公判日程などを巡る東京地裁、指定弁護士、弁護団の3者による公判前整理手続きは今年3月以降、非公開で計13回行われてきた。初公判までにあと3回程度、協議がある見通しだ。
手続きの中で、無罪を主張する弁護側は全調書の採用を不同意としたため、指定弁護士は石川議員ら元秘書3人▽取り調べ検事4人▽不動産や銀行の関係者2人--の計9人を証人申請。弁護側も2人程度の証人申請を予定しており、従来の刑事裁判より証人尋問が大きなウエートを占める公判になりそうだ。
一方、元秘書たちの調書は、「元代表の了承を得たうえで虚偽記載に至った」との構図を描く指定弁護士の立証を支える唯一の直接証拠だ。ところが、石川議員らの公判では、元代表の関与を認めた部分を含む相当数の調書が採用されなかった。元代表の審理を担当するのは別の裁判官で、指定弁護士は「元代表の関与を示す客観証拠や状況証拠はある」という。だが、直接証拠の調書が採用されなかった場合、厳しい有罪立証を迫られるのは確実だ。【和田武士】
毎日新聞 2011年8月10日 東京夕刊