赤字国債発行法案 今国会成立へ
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赤字国債発行法案 今国会成立へ

8月9日 16時36分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

赤字国債発行法案の成立に向けた、民主党の主要政策を協議で、民主・自民・公明の3党の幹事長が会談し、高校授業料の実質無償化と農業の戸別所得補償制度の来年度以降の在り方について、見直しを検討することなどで合意しました。これによって、自民・公明両党は、赤字国債発行法案に賛成することになり、法案は今の国会で成立する見通しとなりました。

菅総理大臣が退陣の条件の1つとしている赤字国債発行法案の成立に向けて、民主党は、自民・公明両党の協力を得て、今週中に衆議院を通過させたい考えで、9日夕方、3党の幹事長が会談し、合意文書を交わしました。それによりますと、高速道路料金の無料化は、来年度予算案の概算要求に必要な経費を計上しないとしています。そして、民主党と自民党の間で考えに隔たりがあった高校授業料の実質無償化と農業の戸別所得補償制度の来年度以降の在り方については、制度の効果を検証し、必要な見直しを検討するとしています。さらに、先に合意している子ども手当の見直しによる歳出削減については、今年度の第3次以降の補正予算案で減額するための措置を取ることを赤字国債発行法案の付則に明記するとしています。また、震災復興の財源を確保するために発行する「復興債」の償還の方法を第3次補正予算案の編成までに各党で検討を進めるなどとしています。そして、今年度の第1次補正予算における財源として活用した年金の臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、「復興債」で補てんすることとし、そのための財源確保策と併せて各党で検討するとしています。そのうえで、こうした内容を踏まえ、赤字国債発行法案を速やかに成立させるとしています。これによって、自民・公明両党は、赤字国債発行法案に賛成し、法案は今週にも衆議院を通過し、今の国会で成立する見通しとなりました。一方、会談の中で、自民党の石原幹事長は「われわれは、ここまでやってきたのだから、早く菅総理大臣を辞めさせないと政治空白が続く。菅総理大臣を辞めさせて、今月中に首班指名をしないといけない。そうでなければ、われわれは次を考える」と述べたのに対し、民主党の岡田幹事長は「分かっている」と応じ、再生可能エネルギー買い取り法案の今週中の衆議院通過に協力を求めました。

民主党の岡田幹事長は、記者団に対し、「長い道のりだったが、ようやく合意できて、ほっとした思いだ。高校授業料の実質無償化などは評価されており、変えることは考えていないが、100%正しいと言っていては交渉は成り立たないので、見直しを検討する姿勢を見せることは必要だ。絶対に変えるとか、撤回したわけではない。党内に、いろいろな意見はあると思うが、すべて私の責任だ」と述べました。そのうえで岡田氏は「この結果として赤字国債発行法案が成立すれば、菅総理大臣の退陣の条件の1つが満たされたことになり、3つの条件がそろえば、菅総理大臣は辞める。この合意が、新しい体制の下、国民新党に加えて公明党や自民党と協力関係を深めていく礎になることを期待している」と述べました。

一方、自民党の石原幹事長は記者団に対し、「政治的に乗り越えなければならない部分を乗り越え、3党で合意することができた。今週中に赤字国債発行法案を参議院に送る準備はできたと思っている」と述べました。また、公明党の井上幹事長は、記者団に対し、「『マニフェストは破綻しており見直すべきだ』という野党側の主張を民主党が結果的に認めたという意味で、合意の意味は大きい。きょう確認したことがきちんと履行されれば、赤字国債発行法案には、当然、賛成する。菅総理大臣が退陣するかどうかは、民主党内の問題であり、民主党が責任を持って対応すべきだ」と述べました。