昔から「べーやん」「こまっつぁん」と呼び合う仲でね。博学でありながら決してえらぶることなく、駄洒落(だじゃれ)を飛ばしつつ酒を飲むのが何より好きな人でした。もう酒を酌み交わすことができんようになったのが誠に寂しいこってす。日本の損失ですな。
大変な文学的才能の持ち主で、さまざまな分野に関して博識でした。昭和40年代ごろ、東京のバーで、小松さんと野坂昭如さんと私の3人で飲んでいて、お二人の議論が熱くなりました。私が口を挟み、お二人から「君は黙っとけ!」と一喝されたことを思い出します。
1963年に星新一さんらと日本SF作家クラブを作った仲間だった。「ブルドーザー」と言われたほど馬力があり、日本SF界の黎明(れいめい)期をリーダーとして引っ張ってくれた。「日本沈没」「復活の日」など、困難な状況での人類とその文明の行方を庶民の視点から問い続けた作家。そこには敗戦の廃虚の中で成長した経験が反映している。
毎日新聞 2011年7月29日 東京朝刊