ライフ【小松左京さん死去】無類の愛妻家の関西のおっちゃん2011.7.28 22:44

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【小松左京さん死去】
無類の愛妻家の関西のおっちゃん

2011.7.28 22:44

 SF界の巨星が落ちた。衝撃的な代表作「日本沈没」などの著書をはじめ、日本の文壇に大きな足跡を残した巨人で、小柄だけれど威風堂々たる体(たい)躯(く)。恐いイメージが先行したが、実際に会ってみると、たばことお酒が大好きで、無類の愛妻家の関西のおっちゃんだった。

 仕事の話は早々と済ませると、行きつけのスナックへ。そこはさまざまなジャンルの人たちが集う“小松サロン”で、おもしろいものやみんなで楽しめることが大好きな小松さんの、交友の広さと博学多才ぶりが際立った。

 実は、小松さんのデビューが小説家としてではなく、「漫画家モリ・ミノル」だったこと。手塚治虫さんの作品を見て、あまりの絵のうまさに“こりゃ、かなわん”と、漫画を描くのをやめたこと。最初の書き下ろしのSF小説「日本アパッチ族」は、奥さまを楽しませるために書き下ろしたこと…など、すべてをウンチクたっぷりに話された。そして、興が乗った最後は得意のシャンソンが締めくくりになった。

 東京へ居を移さず、関西をベースに活動を続けたことについては、「東京に行くと『作家先生』になってしまう。大阪の庶民性に根付いた人情や風土がモノを書くにはいい」というほかに、「初めてローンを組んで家を買った」家庭の事情が大きかったようだ。そこには美人の奥さまがいる。

 小松さんにとって奥さまはどんな存在ですか? と、ぶしつけに聞いたことがあるが、「さぁ、知りまへんなー」とたばこをくゆらせて、逃げられた。後年、車いす生活になった小松さんを在宅介護していた奥さまが、「今が一番幸せなの。小松と一緒にいられる時間が増えたんですもの」と微笑まれた姿を思い出す。超多忙な時代が長かったあと、最後の数年は幸せな“夫婦の時間”を過ごされたのだろうと思う。合掌。(平松澄子)

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