順天堂大学付属順天堂医院(東京都)で手術を受けた男性(当時29歳)が転院先の宮崎市内の病院で亡くなったのは、手術後に同医院が床ずれの適切な措置を怠ったのが原因として、男性の遺族が9日までに同院を相手取り、慰謝料など約2940万円の損害賠償を求める訴訟を宮崎地裁に起こした。
訴状によると、男性は00年11月、急性大動脈解離と診断され、同医院で手術を受けた。両下肢などに機能障害が残って体位を変えにくくなり、重度の床ずれを発症。01年1月に宮崎市内の病院に転院したが筋肉や骨にまで及んでおり、同年6月に亡くなった。同医院が体圧を分散させる寝具を使用しなかったため、床ずれが悪化したとしている。
死亡診断書は、死因は解離性大動脈瘤(りゅう)だが床ずれも影響を及ぼした、としているという。遺族は「担当医と看護師は、床ずれ発症を予防する診療上の義務に違反した過失がある」と主張。同院は取材に対して「コメントできない」としている。
第1回口頭弁論は9月9日。【川上珠実】
毎日新聞 2011年8月10日 地方版