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【石川】

アルツハイマーの原因物質 抗うつ治療で抑制

加藤伸郎教授

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金沢医大教授ら

 うつ病治療の電気けいれん療法(ECT)で、認知症などアルツハイマー病を引き起こす原因物質の作用を抑制できることを、金沢医科大の加藤伸郎教授(神経生理学)と国立病院機構宇多野病院(京都市)の山本兼司医長らの研究グループがマウスの実験で突き止めた。アルツハイマー病のメカニズム解明や治療につながると期待される。

 三日の米神経科学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」電子版に発表した。

 アルツハイマー病はタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」が脳の神経細胞に蓄積してダメージを与え、細胞を死滅させることで脳機能を低下させると考えられている。

 グループは、遺伝的にアルツハイマー病にしたマウスをもとに、アミロイドβが蓄積した神経細胞だと、情報を伝える電気信号の持続時間(活動電位)が千分の二・三秒程度と、正常なマウスに比べ五割ほど長くなるのを確認。さらに、この細胞にECTの電気刺激を与えると活動電位が正常化し、アミロイドβの作用を抑制する効果があることが分かった。

 現在アミロイドβに直接作用するアルツハイマー病の治療薬はなく、ワクチンが開発中の段階。加藤教授は「今後ECTによる治療効果が実証されると、既存の技術を応用した容易な治療法となりうる」と話している。 (山森保)

研究事例なかった

 脳神経の機能に詳しい沢田誠・名古屋大環境医学研究所副所長(神経化学)の話 感情障害などアルツハイマー病の初期症状はうつ病に似ている。ECTの効果はある程度の予想はできたが、実際の研究事例はなかった。発症のメカニズム解明や新しい治療法につながる研究成果だ。

 

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