「何が正しいか」ということより、「誰が正しいか」にこだわる
簡単に言うと、原因は
1.強烈なナルシシズム
2.カリスマ崇拝
が、考えられる。
だが、ぼくの見た限りでは、サヨクにおけるカリスマ崇拝は、強烈なナルシシズムの延長でしかない。つまり、原因は1だ。
だから、ここでは1の問題だけを扱う。
「誰が正しいかにこだわる」典型は、前回挙げた革マル派の「権力謀略論」だろう。
これを言い出したのは、革マル派の領袖黒田寛一だが、彼の性質がよく出ている気がする。
ぼくは当時、革マル派の新聞『解放』と、中核派の新聞『前進』と読み比べ、『解放』のあまりの口の悪さとナルシシズムに、むかついた記憶がある。
革マル派は、他党派のことを、ウジ虫(中核派のこと。白ヘルだから)、青虫(社青同解放派のこと。青ヘルだから)、赤虫(ブントのこと。赤ヘルだから)と呼ぶ。
理由は、
「真の革命党は、既にわれわれが完成させている。革命は終了した。お前たちはそれに嫉妬する、哀れな虫ケラ。権力に踊らされる、ピエロに過ぎない」
からだ。
そして、嬉々として新聞に
「その証拠が、この間殲滅(※)してやった○×某で、こいつがヒーヒー泣きながら白状したことによれば・・・」
というようなことを、延々書き連ねるのだ。
※新左翼の言う「殲滅」とは、集団で一人に襲いかかり、活動不能にすること。場合によっては鉄パイプで手足を折る、あるいは「すいか割り」(脳漿を噴出させること。つまり即死)にする。
革マル派の理論は、
「主体性論」
とか
「主体形成主義」
と呼ばれていたが、実態は
「他党派殲滅路線」
「自惚れ路線」
であった。
まず他党派を、徹底的に脅迫する。相手が小さければ、大勢でやってきて議論でやりこめ、嘲笑する。相手が大きいと、新聞などを使って同じことをする。逆らう相手には、鉄パイプを持ったテロ部隊が、夜中にいきなりやってきて頭をめった打ちにしたり、車で後ろから跳ね飛ばしたりする。そして、新聞に
「お仕置きをしてやった」
と書く、という具合だ。
このように、同じ左翼仲間のことは異常なほど憎悪し、殺意も隠さないくせに、相手が警察や機動隊だと、あっという間に逃げ出し、
「革命的組織温存主義だ」
とうそぶく。
それが、革マル派の「革命」であり「闘争」の全てだった。オウム並みに、異常な集団だ。
黒田寛一は若い頃、対立する民青(日本共産党の青年組織)の情報を、警察に売ったことがある。それが元で、革共同を除名され、自派を作ったのだ。
その頃から既に、策や陰謀を好む癖があったわけだ。
黒田は病弱だった。そのため、漁夫の利ばかり狙うようになったのかもしれない。
こうしたリーダーに共感し、こうしたリーダーに率いられた集団が、
「お前達の理論も、存在も間違っている。権力の手先め!」
と叫びながら、鉄パイプで襲いかかってくる。しかも、自分たちは決して警察とは戦わない。となれば、
(こいつらこそ警察のスパイじゃないか?)
と、襲われた方が疑うのも、当然であろう。
こんな病的な思考の持ち主が、未だ力を失わず、JR内部に多数浸透しているのだから、頭が痛くなってくる。こちら。
しかも、それを助けているのは、民主党の枝野や辻元清美、前原誠司なのだ。
おっと話が逸れた。元に戻そう。
しかし、これほどではないにせよ、「誰が正しいか」にこだわるのは、じつは他党派も同じなのだ。
黒田寛一の「主体形成」に対し、ブントの理論は
「情勢分析主義」
と呼ばれていた。
「世界情勢は○○だ。だから、われわれは××しなければならない」
という理論だ。
中核派は、ちょうど革マルとブントの中間みたいな感じだった。
だから、ブントの内ゲバは、いつも情勢分析の違いから生まれる。情勢分析が、自分と違う。それだけで、互いに相手を殺したくなるのだ。
中核派の場合は、そこに、
「オレとお前、どっちが党人として、共産主義者として強者か?」
みたいな、主体性論が加わってくる。
あの掌編小説を書いたブロガーは、元ブントだから、その辺の事情がよく描かれている。ブントでは、
「情勢分析の正しさイコール、個人の思想の正しさ」
なのだ。
一方、社青同解放派は、革マル同様「主体形成主義」だ。ただし、彼らはそれを、
「感性の無限解放」
と呼んだ。
マルクスの疎外論から生まれた、疎外克服の主体性論だと言っても良い。
これは、革マルの組織温存主義の対極に位置する意見で、
「すべての価値観に対し、異議申し立てをすることが革命」
とでも言うべきものだった。
「感性の無限解放」
「疎外打破」
というキャッチフレーズは、前衛を気取る美大生や、反戦フォーク歌手などから多く支持された。
歌手の加藤登紀子が、社青同解放派に別荘を貸していたら、革マル派に襲われ、死人が出た事件は有名だ。
参照:新左翼内ゲバ事件
だが、これほど内ゲバに向く理論もない。
「感性に合わない邪魔者」
と感じれば、すぐに
「異議申し立て(テロを含む)」
ができるからだ。
ことほど左様に、サヨクは常に
「何が正しいのか?」
とは考えず、
「誰が正しいのか?」
あるいは
「自分だけが正しいのだ」
と考えたがる。
それは、民主党のルーピー鳩山や菅総理も同じで、こうした点でサヨクはじつによく似ている(笑)。
1.見栄っ張り
2.自惚れ屋
3.やたら他人からの賞賛を求める
のだ。
それはおそらく、次のような性質に関係がある。
5.代理ミュンヒハウゼン症候群に近い行動傾向がある
だが、その前に
4.協調性がない
に触れておこう。