〈リレーおぴにおん〉お風呂で音読、役と友達に

写真・図版

竹達彩菜さん=家老芳美撮影

■女神からの自由研究10国語=声優・竹達彩奈さん(22)

 子どものころは、キーの高い声を「アニメ声」ってからかわれて、自分の声が嫌いでした。中学生の時、友人から声優という仕事があると聞いて、いろいろ調べて、この声を生かせるんじゃないかと養成所に入りました。

 アニメはよくみていたんですが、テレビを通じて想像していた世界とは全然、違いましたね。当初は、声優って可愛い声を出すお仕事だと思ってたんです。でも、養成所の先生に「可愛い声なんて誰でも出せる。役柄の気持ちをくみ取って、内面的なお芝居をしなさい」と教わりました。それ以後、無理して可愛い声を出すのをやめました。

 2009年、高校の軽音楽部を舞台にしたアニメ「けいおん!」で、主人公の後輩の中野梓役をいただきました。「けいおん!」はすごい人気アニメで、これで私のことを知った方も多いと聞きました。以後、グラビアや歌、テレビのお仕事にも挑戦しています。

 当初、私は表に出る仕事はしないものだと思っていました。声優って本来、裏方だと感じていたので、見た目で評価されるのって、ちょっと違うと考えていたんです。人見知りなので、表に出るのが嫌だという気持ちもありました。でも最近は、私のことを知ってから、アニメにも興味を持ってくれる方がいらっしゃるそうです。不思議な気分です。

 私は今、デビュー3年目。先生に教えられた「内面的なお芝居」は、まだまだです。滑舌も良くないし、台本を読んでも、役柄の気持ちが分からないことがあります。他人って、考え方や価値観が、自分とは違うじゃないですか。役柄に対して、ついついそこでそんな行動を取っちゃダメとか、何でそこで泣くのよ、とか思ってしまうんです。どうして「彼女」の気持ちが分からないんだろうって、悔しくてお風呂に台本を持ち込んで音読しました。

 感情移入しながら何度も読んでいると、自然に登場人物の気持ちが分かってきました。役柄とお友達になれた。これが声優の面白さなんだ、と分かって楽しくなってきました。夏休みの課題図書がある学生の方もいらっしゃると思います。私の場合はお風呂ですが、自分がリラックスできる場所で声を出して読んでみましょう。きっと理解が深まると思いますよ。

 声優の仕事って、どんなにベテランの方でも、基本的にはオーディションを受けるというシステムなので、毎回が戦いです。結果を残せないと、即、無職になってしまう。出演する作品では、良いお芝居をして制作側の方々から、「もう一度、竹達を呼ぼう」と思ってもらえるよう頑張っています。

 将来は、少年や動物といった、幅広い役柄に挑戦したい。表現力も発声の技術力も未熟ですが、みなさんの心に残る役柄を演じて、息長く愛される声優になりたいです。

聞き手 秋山惣一郎

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