2011年8月10日 10時22分 更新:8月10日 10時25分
九州電力の「やらせメール問題」に絡み、同社原子力発電本部の中村明・副本部長が、同本部と佐賀支社に保管されていたプルサーマル発電関連の書類を廃棄するよう指示していたことが9日、九電第三者委員会の調査で分かった。実際に廃棄された書類の中には、国への報告対象となっていた説明会の資料も含まれており、第三者委は悪質な隠蔽(いんぺい)工作があったとみて、詳しく調べる。
第三者委の郷原信郎委員長が同日、福岡市内で会見を開き、明らかにした。それによると、中村副本部長は社内調査で7月21日に求められた、05年10月の玄海原発(佐賀県玄海町)におけるプルサーマルに関する説明会の書類について、「個人に迷惑がかかる資料は抜いておけ」と部下に指示。廃棄された書類の分量などは不明という。郷原委員長は、副本部長の言う「個人」について、「政治家や県、国の関係などが考えられる」と述べた。
九電のやらせメール発覚を機に、経済産業省は全国の電力会社に過去の国主催の説明会での動員実態などを明らかにするよう求めていた。05年10月の説明会も対象で、九電は7月29日に調査結果を報告していた。しかし、調査段階で隠蔽があったことになるため、報告の信ぴょう性も疑われることになる。
また、副本部長は8月5日、第三者委から提出を求められた、佐賀支社のプルサーマル関連資料の廃棄も指示。だが内部通報で第三者委が廃棄場所に残っていたファイル15冊を回収、廃棄を防いだ。
中村副本部長はやらせメール発覚前の7月4日、鹿児島県議会で「そうした事実はない」とメール問題について虚偽答弁。6月28日の株主総会前に同本部が用意していたやらせメール問題に関する想定問答の作成にもかかわっていたとされる。
中村副本部長は9日夜、毎日新聞などの取材に対し、「個人に迷惑をかけるわけにはいかなかった。(上司などから)指示は受けていない」と述べて、隠蔽が自身の指示だったことを認めた。対象については「過去何年分かにわたるプルサーマル関連資料のうち、個人情報が分かるもの」と述べた。【中園敦二、小原擁、阿部周一】