北山杉、宇治茶…京ブランド守れ 中国に商標申請続々
京都の伝統産品の団体が、中国で自らのブランドを守ろうと、中国政府に対し商標登録を申請する動きが広がっている。商標登録を機に、中国での市場開拓に乗り出そうとする動きもあるが、漢字を使っている中国では、日本の京都を意味せずに、京や都の字が使われている場合もあり、商標登録には難しさもある。
林業家や木材加工業者、木材問屋などの組合でつくる京都北山丸太連合会(京都市北区)はこのほど、中国で「北山杉」と「北山丸太」の商標を登録した。
同連合会は、中国で相次いで日本の地名や各地の名産品、芸能人の名前などが商標登録されているのを受け、他の関係ない企業や個人から取得されないよう、昨年4月に日本の国際特許事務所を通じて申請していた。
中国商標局に登録されたのは今年4月28日で期間は10年間。「北山杉」「北山丸太」とも、連合会を代表して京都北山丸太生産協同組合と京北銘木生産協同組合が商標権者となっている。
同連合会の米嶋昌史副会長は「こんなに早く登録できて驚いた。これで堂々と中国でブランドをアピールできるので、展示会などで積極的に使いたい」としている。
京都府茶協同組合(宇治市)も、現在中国政府に「宇治茶」を商標として登録申請している。日本では地域団体商標を取得しており、日本貿易振興機構(ジェトロ)の講習会で、中国国内での商標登録状況などを知り、昨年4月に申請した。
同組合によると、「宇治茶」に関係する商標として、「宇治」「宇治金時」「宇治抹茶」「宇治露」の四つが中国国内で既に商標登録されていたという。
同組合は「中には、中国人が個人で登録しているとみられるものもあった。商標を使って問題のある商品も売られており、宇治茶が登録できれば、何らかの対抗措置を考えたい」としている。
ただ、出願しても必ず商標が登録できるわけではない。
京扇子団扇商工協同組合(京都市左京区)は、2008年7月に「京扇子」「京うちわ」を出願したが、昨年1月に、国内の特許事務所を通じて、登録できなかったとの連絡を受けた。「京」という字が、中国国内では「北京」を意味するためだった。
同組合は「北京を意味するなら、中国企業なども商標登録しにくいだろうと思い、断念した」といい、「京が駄目なら、京ブランドはすべて登録できないのでは」と危ぶむ。
ジェトロの知的財産課(東京都)は「中国でも、京や都の字に関連する商標は多く登録されている可能性がある。同じ漢字文化圏なので中国人も考えつきやすく、難しい面がある」としている。
【 2011年08月08日 13時50分 】
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