2011年8月9日
約50人の遺族らが迎え火を見守った。「お父さんは最高の父です。ありがとう」「前へ前へ行くぞ」「絆」――。燃やされた333本の薪の一本一本には、津波で亡くなった人への思いや、復興に向けての決意が記されていた。
祖父母を亡くした高校2年の及川亮さん(16)は「自分の思いが炎とともに届けられたかな」と目を潤ませた。母と姉を亡くし、「鎮魂」とフェルトペンで書いた斎藤哲夫さん(51)は「(京都に受け入れられず)やるせない」。
薪にメッセージを記すことを呼びかけた鈴木繁治さん(66)は、送り火に使う計画の中止を伝えに来た「大文字保存会」(京都市左京区)の松原公太郎理事長(58)と共に見守った。保存会は被災者らの思いは受け継ぎたいと、薪に書かれたメッセージを護摩木に書き写し、16日に大文字でたくことにしている。