クロアチア:EU加盟へ 13年めど、旧ユーゴ内戦国で初

2011年6月10日 19時25分 更新:6月10日 20時44分

 【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU、加盟27カ国)の内閣にあたる欧州委員会は10日、東欧のクロアチアとの加盟交渉終了を宣言した。今月23日からの首脳会議で加盟を決定、加盟を明記した新条約を各国が批准すれば、クロアチアは13年7月をめどにEU入りし、EUは28カ国体制になる見通し。旧ユーゴスラビア諸国で内戦を経た国からの加盟は初めて。加盟が実現すれば07年以来6年ぶり。EUは再び拡大へとかじを切った。

 欧州委のフューレ委員(拡大担当)が10日、「すべての前提条件が満たされた。加盟国もこの評価を共有するだろう」と述べた。同委員によると、欧州委が改革状況をチェックしていくという。

 クロアチアは05年から交渉を開始、終了は年末以降になるとみられていた。しかしセルビア人武装勢力指導者、ムラディッチ被告が先月26日に逮捕され、旧ユーゴ諸国加盟の最大の障害が除かれ終了判断が早まった。

 クロアチアのあるバルカン半島は、第一次世界大戦や旧ユーゴ内戦を引き起こしたことから「火薬庫」とも言われる。欧州委の宣言には、今回の統合をてこに半島を“無害化”する狙いがある。EUはセルビアとも早期に加盟交渉を開始し、旧ユーゴ全体の加盟を実現してバルカン半島の安定をはかる意向だ。旧ユーゴ諸国では04年にスロベニアが加盟している。

 バローゾ欧州委員長は10日の声明で、今回の交渉終了で「南東欧全体の改革が進み、欧州が安定に向かう契機になる」と述べた。

 ただ、07年加盟のブルガリアやルーマニアは組織犯罪・汚職対策が不十分でこの分野の改革はEUの監視下に置かれている。両国の加盟は「早すぎた」との声があり、クロアチアの加盟条約批准でも曲折が予想される。

 EUの機構を改革するリスボン条約(09年発効)の批准が難航、EU懐疑派も各国の議会で伸長した。共通通貨ユーロの危機も続き、EUの「拡大疲れ」が指摘される。今回の宣言にはこの流れを変える狙いもある。

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