インターネット上で実名で交流するサイト「フェイスブック」の利用者、関心を持つ人が実際に対面して親交を深める交流会が7月16日に佐賀市であった。世界で急速に普及しているコミュニケーションツールをどう活用できるのか。交流会に参加したところ、その可能性が垣間見えた。【蒔田備憲】
フェイスブックは、ネット上で会員がおのおのの情報を発信することで交流するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の一つ。米国で開発、普及し、交流やビジネスの場として活用されている。国内には「ミクシィ」などもあるが、フェイスブックが異なるのは実名での登録が必須なことだ。
交流会は、県内利用者の声かけで企画された。幹事役の県最高情報統括監、森本登志男さんらによると、発案から2週間、打ち合わせはほとんどフェイスブック上でやりとりした。
この日の参加者は、約70人。初対面同士が多い中、5、6人ほどのグループに分かれ「フェイスブックをどう使っているか」「これからどう使うか」をテーマに語り合った。
佐賀大4年の前田亮斗さん(22)は、就職活動にもフェイスブックを活用した。「イベント案内やOBの紹介など、人脈と情報量が一気に広がります」。フェイスブックから志願届を出す必要がある企業もあったという。
これまでパソコンにほとんど触れたことが無いという参加者も。佐賀市の大工、井手一雄さん(62)は「匿名の参加は怖いけど、実名だから安心感がある。大工に関心を持ってもらうようなページを作りたい」と目標を語った。
同じ地域に住む人同士が、ネット上で交流する意味とは何なのか。森本さんは「実名を明らかにするフェイスブック上の交流は、濃い人間関係の源泉になる」と説明する。
森本さん自身も、4月に縁のない佐賀県に赴任したばかり。しかしフェイスブックに参加することで「イモづる式に交友関係が広がった」という。「身近な地域に住んでいても、知り合う機会って意外と少ない。でも、フェイスブックで実名でやりとりをすると、実際に会って話したくなるんです」
ネット上で地域の輪が広がり、住民が交流する。フェイスブックの普及で、新たな地域交流のあり方がはぐくまれているのかもしれない。
2011年8月8日