1年以上居所不明児童生徒、昨年度の3.6倍1183人に
1年以上居場所が分からず、就学が確認できない義務教育年齢の児童生徒(日本国籍)が今年度(5月1日現在)、1183人(岩手、宮城、福島の3県を除く)で昨年度(同)の約3・6倍に上ることが、文部科学省の「学校基本調査」(速報値)で分かった。同省は「こうした子供たちがいることを区市町村で認識し、連携して対応してほしい」とする。しかし、区市町村の調査には限界があり、課題は多い。(村島有紀)
1年以上居所不明の児童生徒については、各自治体のずさんな調査実態が、産経新聞の調べで既に判明している。今年度から同省が調査方法の徹底を指導した結果、大幅に増えた。
特に小学生は851人と昭和35年の調査開始以来、過去最多となった。しかし、調査を担当する同省生涯学習政策局調査企画課は「過去とは比較できず、多いか少ないか現時点では言えない」と言葉を濁す。
地域別では愛知県272人、東京都200人など、大都市を抱える都道府県に集中。同課は「一般論だが、貧困問題を抱える都市部ではこういった問題が起こりやすい」とする。
居所不明の理由の一つとして、母親などDV被害者とともに住民票を残したまま姿を消すケースがある。同省は昨年、住民票を移さずに転居し就学を認めた事例を全国の区市町村と学校組合に調査。その結果、平成21年度は2101人の児童生徒が住民票のないまま就学していた。ある母子支援施設の施設長は「母親の意思で、どうしても知らせないでほしいという場合、以前通っていた学校には知らせず、居所不明になっていると思う」と話す。
住民票を残すことで、外国籍の配偶者と海外で暮らしながらも児童扶養手当などを不正に受給し続けるケースも考えられる。
米国在住の日本人女性によると、知人の日本人女性のうち少なくとも3人が不正受給をしているという。手口は、米国人と結婚し米国で生活していながら自分と子供の住民票は日本に残す。日本では婚姻届を出していないため、母子家庭として手当を申請。日本に一時帰国した際、金融機関から現金を引き出すという。
32人の居所不明児童生徒がいる川崎市教育委員会によると、住民票のある住所に「子供がいない」と分かった場合でも学校は1年経過するまで「長期欠席」として扱い、市の福祉部局や住民票を扱う市民課に連絡をすることはない。「可能性として不正受給はありうる」とする。
問題は、一家で犯罪に巻き込まれたり、借金の返済に困り子供を連れて夜逃げしたり、児童虐待の発覚を恐れて行方不明になったりして、子供を就学させないケースだ。同省初等中等教育企画課は「児童生徒の居所不明という問題を学校や教育委員会だけで抱え込まず児童相談所や警察、関係機関と連携し、子供の行方を捜してほしい」と訴える。
昨年度19人の居所不明児童生徒がいた相模原市は今年度、7人に減少した。教育委員会の担当者が直接、住所地を訪ねたり、通知を出したり、子ども手当の受給の有無を調べたりした。その結果、海外にいることが分かった子供もいた。
しかし、住民票に記載された住所に別人が住むなどして当事者がいないことがはっきりしたケースでは、住民基本台帳を担当する課が職権で住民票を削除。住民票がなくなると教育委員会が管理する学齢簿からも子供の名前が削除されるため、見かけ上は「居所不明者」はいなくなる。こうして“実在の子供”の行方は分からないままになる。
山梨県立大学の西澤哲教授(臨床福祉)は「住民票を基本にした制度の限界。子供の利益を守るという観点では全く破綻している。親が子供の利益を擁護しない場合、社会がその子の権利を擁護し、子の福祉を守るのが『社会が子供を育てる』の本来の姿なのに」と問題点を指摘する。
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