【コラム】「竹島返還作戦」

【政治部=李河遠(イ・ハウォン)次長】 「竹島(独島の日本での呼称)は日本の領土だから、韓国は日本に竹島を返さなければならない」

 ソウル市鍾路区にある外交通商部(省に相当)庁舎前で、ある米国人がプラカードを掲げデモを始めた。これを見た通行人たちは怒った顔で集まってきた。その中の一人が興奮し、とうとう「お前、日本人の手先か?」と米国人の胸ぐらをつかんだ…。今年6月に韓国で出版された小説『竹島返還作戦』の書き出しだ。小説では、このデモに続き「独島上陸作戦」を繰り広げた日本の極右派が殺害され、両国が一触即発の危機に直面することになる。

 現職判事が2年前に書いた小説『独島イン・ザ・ハーグ』は、自衛隊所属の軍艦が独島侵略のため出動する。緊急出動した韓国のKF-15戦闘機2機が独島近海で日本により撃墜されると、国連が介入を始める。結局、韓国政府は国際司法裁判所(ICJ)で問題を解決せよという国連の仲裁を受け入れる。独島がどの国の領土なのかについて、国際機関が決定を下すことに同意したのだ。

 この二つの小説は言うまでもなくフィクションだ。ところが、最近の日本の行動を見ると、小説の中のこうした出来事が絶対に起こらないと断言するのは難しそうだ。

 日本の自民党の「領土に関する特命委員会」所属議員3人が独島の領有権を主張、「韓国の鬱陵島を訪問する」と立ち上がる状況を、誰が予想しただろうか。日本の外務省は「3議員の身辺の安全を保障してほしい」と要求までしてきた。「あなたの家に強盗が入るが、何も騒動が起きないよう面倒をよく見てから返してほしい」と言ったのだ。

 新たな航空機を導入した大韓航空が、独島領空までデモ飛行を行った。このデモ飛行を理由に、日本の外務省が自国の外交官に「大韓航空機搭乗禁止」措置を取ると予見した人もいなかった。

 冒頭で紹介した二つの小説を読むと、韓国政府と韓国国民の対応は現実とそっくりだ。日本の右翼は、綿密な脚本を作った上で問題を起こす。韓国がどう出てくるかも知っている。『独島イン・ザ・ハーグ』で、日本の右翼が「韓国人は(独島問題を)プライドの問題と考えているが、日本は利益の問題と考えている」「(韓国人たちは)放っておいても、そのうち駄目になる」と言うのは象徴的だ。

 自民党議員3人は騒動を起こしたものの、韓国政府の入国禁止措置により目的を達成できなかった。しかし、自民党では「全議員が順に鬱陵島を訪問すべき」という意見が公然と出るほど、挑発のレベルが高まっている。恐ろしいのは、こうした挑発が、先の小説が提起したように、新たな挑発の開始である可能性もあるということだ。

 ソウルのど真ん中にある光化門で「竹島を返還せよ」と叫ぶ一人デモも、独島に上陸しようという日本のボートも、いつでもわれわれ韓国人の目の前に姿を現す可能性がある。

 予想もつかない方法で、日本が「独島挑発」をかけてくるとき、韓国がどのような一貫した対応を取るかについて、知恵を寄せ合うべき時が来た。小説でそうだったように、愛国心と超能力で武装した公務員1-2人が日本の妄想を打ち破り、韓国を守ってくれると期待することはできないだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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