高木マニア堂

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314:追悼・宇野誠一郎さん~歌い継がれぬスナフキンのうた…

ノンセクション2011年08月06日 08:07 | フォルダ : 

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<2011年5月=東スポ携帯サイトより>


 作曲家の宇野誠一郎さんが4月26日に心不全のため亡くなった。享年84。

 宇野さんはNHKの夕方放送の人形劇「チロリン村とくるみの木」「ひょっこりひょうたん島」「ネコジャラ市の11人」、手塚治虫原作アニメ「W3」「悟空の大冒険」「ふしぎなメルモ」、カルピスまんが劇場の「ムーミン」「アンデルセン物語」「山ねずみロッキーチャック」、その他にも「ドカチン」「ちびっこ怪獣ヤダモン」「さるとびエッちゃん」「小さなバイキングビッケ」などの主題歌、挿入歌、劇伴音楽などの作曲で活躍。ついでに「ベルトクイズQ&Q」のテーマや、童謡「アイアイ」も宇野作品だ。

 特に意識しなくとも、これらの番組のオープニングやエンディングで流される「音楽・宇野誠一郎」というテロップで、その名を記憶している人も多いだろう。

 訃報記事にあった喪主の名を見て、女優の里見京子さんが宇野さんの妻だったことを初めて知った。「ブーフーウー」の冒頭で毎回、ネジを回したり、子豚たちの話し相手となっていた「さとみのお姉さん」である。

 宇野作品の魅力を一言では言い表す言葉は見つからない。作品群から分析すると、やはり「視聴者を一瞬にしてアナザーワールドへと誘う不思議な魅力があった」とでも言うべきだろうか。

「ひょっこりひょうたん島」(昭和39~44年)は、今や小学校などで合唱曲のスタンダードとなっている。ドン・ガバチョやトラヒゲを知らない、21世紀生まれの小学生たちが「♪丸い地球の水平線に~」と歌っている姿は、何とも不思議であり、微笑ましくもある。

 人形劇やアニメ作品は今後も再放送やソフト化されることによって、未来の子供たちにも、宇野さんが作ったメロディーが歌い継がれる。

 ところが、ひょうたん島と並ぶ、もっとも有名な宇野作品であるムーミンだけは、再放送やソフト化の機会が失われたままだ。

 昭和44年と昭和47年と、2度にわたって「カルピスまんが劇場」でアニメ化されているムーミンは、昭和60年代までは「再放送の王様」のような存在だった。

 だが、原作者のトーベ・ヤンソン氏が、ムーミン谷にクルマやお金が存在したりする、その日本的アレンジに嫌悪感を示しているとかで、1990年に原作に忠実な「楽しいムーミン一家」が制作されて以降、再放送はなくなった。

 ちなみに幼稚園や保育園の交通安全教室などで配布される「こうつうあんぜんえほん」(内閣府政策統括官監修、財団法人全日本交通安全協会発行)は、21世紀になってもなお、ムーミン一家がクルマに乗ったりしている、昭和時代のムーミンがキャラクターに使用されているが、こちらは大丈夫なんだろうか…。

 主題歌こそ、今も耳にする機会はあるが、昭和版ムーミンが抹殺されているこ
とで、ひょうたん島と同じく「宇野誠一郎作曲、井上ひさし作詞」の、「ムーミンは昨日」「スノーク家のしつけ」「ちいさなミイ」といった完成度の高い挿入歌や劇中歌まで、陽の当たらぬ状況になっているのがなんとも残念だ。

 特に、ある時期までは「最も有名な国産ギター音楽」であった「スナフキンのうた」(「おさびし山の歌」という表記もあり)が、昭和ムーミンを知らない世代に受け継がれていないのが残念。

「スナフキンのうた」は当時、レコード化もされたが、スナフキン役の西本裕行が歌唱しているにも関わらず、イントロ部分がギターではないため、劇中で強い印象を残した、あの独特なムードは表現されていない。

 ♪雨に濡れ立つ おさびし山よ 我に語れ 君の涙のその訳を――

 後世に残すべき代表的な宇野作品のはずなんだけどな…。

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