福島第一原発の事故に苦しむ福島県の高校生と、来日中の潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長の対話集会が8日、福島市であった。避難生活を送る県立双葉高2年の渡辺美波(みなみ)さん(17)が「住み慣れた家には帰れないかもしれない」と語ると、潘氏は「皆さんの声を国連に持って帰る」と約束した。
双葉高の生徒たちは、集会の会場となった福島南高校など4校に分かれ、学校生活を続けている。渡辺さんの自宅は第一原発から10キロ余りで、現在は福島市のアパートから高校に通う。1週間前から毎日約3時間、英語の発音などの特訓を受けてきた。渡辺さんは今の生活を語ったうえで「どんな逆境にも負けない人間になりたい」と語った。
潘氏は「あなた方の声は総理大臣より政治家より強い。皆さんが明日の日本を担っていくんです」と応じた。
ほかの高校生らは「原子力を保有する国に国連はどう関わるのか」「原発をなくすべきだと思うか」と質問をぶつけた。潘氏は「原発の安全性評価や緊急時対応の改善を進める必要がある」などと述べるにとどまった。
集会後、潘氏から国連のバッジをプレゼントされた渡辺さんは「『福島は絶対に復興できる』とおっしゃったので、希望が持てました」。(小島寛明)
「生涯被曝」という衝撃的な言葉に、私たち日本人はさらされるようになった。私たちは、どのような考え方に立って一生に浴びる放射線量を抑え込んでいったらよいのか。