菅直人首相の資金管理団体「草志会」(東京都武蔵野市)が相模原市の政治団体に3年間で計6250万円を献金していたことに対し、自民党が「不透明だ」と追及姿勢を強めている。同会に関係する地域政党「市民の党」が今春の東京都三鷹市議選で、北朝鮮による日本人拉致容疑者の親族を擁立(落選)したことも指摘し、北朝鮮と菅首相との「近さ」を印象づける狙いがある。
この政治団体は「政権交代をめざす市民の会」。政治資金報告書によると、草志会は市民の会に対し▽07年=5000万円▽08年=1000万円▽09年=250万円--の計6250万円を寄付している。この間、民主党から草志会への寄付は計1億4980万円で、首相は民主党代表代行を務めていた。参院選と統一地方選があった07年の献金額が突出して多い。
自民党の古屋圭司氏は8日の衆院予算委員会で、献金の目的について「選挙支援」を含むか繰り返し確認した。これに対し首相は「連携、あるいは支援のためだ」と述べるにとどめた。自民党は「(選挙)運動員買収の可能性もある」(古屋氏)と指摘し、市民の会の使途も追及する方針。東日本大震災発生直前に発覚した草志会への外国人からの約104万円の献金問題と合わせ「クリーンでオープンな民主党」を売り物にしてきた首相のイメージダウンを狙う戦術だ。
市民の会に対しては、07年に鳩山由紀夫前首相の資金管理団体が1000万円を献金するなど、同年に民主党議員3人の関連政治団体が計1890万円を献金。市民の会の同年の収入8770万円のうち7割以上にあたる6890万円が同党側からのものだった。
脇雅史参院国対委員長は8日、毎日新聞の取材に「国民を愚弄(ぐろう)する大きな政治スキャンダルだ。問責決議案提出の大きな理由になり得る」と強調した。
これに対し、民主党の岡田克也幹事長は同日の記者会見で「私は市民の党というのは初耳だ。幹事長や代表を長くやっているが、その過程で接点はない」と同党との関係を否定した。【西田進一郎、佐藤丈一】
毎日新聞 2011年8月8日 22時36分(最終更新 8月8日 22時47分)