2011-08-07 ネット対応テレビでの「ガラパゴス」不安
■[経営][日本][コンテンツ] ネット対応テレビでの「ガラパゴス」不安
日本では、民放の合弁でネットで番組を個別課金で配信、という話が出ている。ネット上での評判をざっと見ると「ダメに決まっている」、または「最初からガン無視」ということのようだ。私としては、「それでもゼロじゃなくて半歩を踏み出したことを評価すべきか、下記のようにかえってみんなに迷惑をかけることになりそうなのでdisるべきか」悩んでいる。
映像のネット配信は、それこそ90年代の最初のネットバブルの頃から、日本でもアメリカでもその他の国でも、いろんな人がいろいろなものを試していて、「成功例」というのはとても少なくて、それはクリエイティブに考えないとダメなのだけれど、少なくとも「こうすれば必ず失敗する」という経験値は膨大に積み上がっている。それと照らしても、これが成功するとはどうも思えない。
可哀想なのは、このプランに対応したテレビを作らされる家電メーカーである。ただでさえ、世界的には長期的かつ壮大なシェア争いで刀折れ矢尽きて、地上波デジタルで引っ掻き回されて、日立はテレビから撤退とかいう話が出ているところ。それなのに、日本の民放5社の「ガラパゴス」計画、それも前の携帯のときは日本国内で大成功したのでまだよかったが、今回は成功確率激低のものに、貴重な投資を割かなければいけない、というのはいくらなんでもと思ってしまう。私が読んだ記事では、具体的にどのような技術を搭載するのかわからないので、以下は「独自技術またはインターフェース」を作りこまなければいけない、ということだと仮定している。
さて、アメリカの数少ない成功例の一つが、前回エントリーでもちょっと触れたネットフリックス。
で、彼らが郵送によるオンラインDVDレンタルをやっていた頃は、「提携先」としてソニーや東芝などのDVDプレイヤー・メーカーの名前がよく出ていた。提携といっても、単にDVDなので、どちらかというと「営業提携」という感じだった。
ところが、彼らが2007年からストリーミング配信を始めてから、ユーザーの目から見てもはっきりわかるほど、日本メーカーは出遅れてしまった。
(プレスリリースベースで)2008年になってそれぞれ最初にネットフリックスのストリーミングに対応したのが、テレビはLG、OTTボックス(ネット動画をテレビで視聴するための専用機器)はRoku、ゲームコンソールはXboxと、いずれもアメリカや韓国のメーカー。その後次々と提携が発表されたが、日本勢がようやく追いついたのは、ソニーがテレビ・ブルーレイ・ゲームコンソールで対応すると2009年終わり頃に発表したときで、最初のLGの発表から2年近く遅れている。東芝やパナソニックなどは「その他大勢」扱いで、翌年のCES(家電見本市)でまとめて発表されている。
その後、例えば今年のCESでの「ワンクリック・リモート」(テレビなどのリモートに「Netflix」ボタンをつけたもの)の発表では、これらの日本勢も、LGやハイアールなどと一緒に含まれている。
たとえ日本でネット動画が遅々として進まないとしても、日本勢各社にとってアメリカは重要な市場なのだから、こうした動きにはそれなりについていくはずなのだが、これは「日本メーカーが情報戦に負けている、またはアメリカ市場を後回しにしている」ということなのか、「ネットフリックスから見て、最初に話を持っていくのはLGとかになって日本勢は後回し」ということなのか、などと考えるが、外から見ているとどうも「all of the above」のような気がしてしまう。ちなみに、これはネットフリックスだけの話ではなく、その他の動きも含めた「ネットTV」全体に関して言える話だ。(だからこそ、GoogleTVでは頑張って巻き返し、ソニーと東芝が動いたのだが、GoogleTVが派手にコケてしまい、両社はこれまた大迷惑を蒙った、というなんとも気の毒な話がこれに続く。)
動きについていくには、それなりに人を張りつけて情報収集や水面下の交渉をしなければならず、全く新しいモノを作るにはリスキーな先行投資がいる。いずれも先立つものが必要なので、それだけの投資をする余力が日本メーカーにない、というのが根本原因のような気がする。で、おそらく皆様もそれはわかっておられて、最近になってシリコンバレーにこれら家電メーカーを含め、日本人が戻ってきている様子がある。
そこに、失敗確率が非常に高い(失礼!)民放プランなどに足を引っ張られるというのは、今度はネットTVで「ガラパゴス化」を促進して、家電メーカーはますます体力を失い、裾野産業はますます弱まり、日本の国際競争力はますます落ち、失業はますます増え・・という迷惑スパイラルにはいりそうな気がしてしまう。
民放も、ネット配信を試すのは大いにいいけれど、ぜひ、メーカーがつくった対応機器が世界でも使えるような「国際標準的」な技術でやってほしいと思う。
一つの対応策としては、「日本は家電メーカーもテレビ局も数が多すぎなので、企業統合・部門売却とかをして長期投資ができる体力をまずつけるべし」というのが私の持論である。
・・とはいえ、もしかしてこれでさらにメーカーを追い詰め、本当ならやりたくない「統合」に向かわせよう、という、誰かの「孔明の罠」かもしれない、などと考えたりもするが。
ちなみに、アメリカでのテレビ周辺の「壮絶な混戦」については、下記の日経ビジネスオンライン記事を参照してほしい。
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