憂楽帳

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憂楽帳:組織論

 つまらない、と思う仕事ほど面白くなる、というのが私の経験則のひとつだ。現在の担当は環境問題だが、最初に「担当せよ」と告げられた際は「エコとは縁遠い生活なのに」といぶかしみ、「まあ、会社員だから」と気を取り直した。だが実際は、これほど心躍る取材対象はなかった。

 生殖補助医療、食品安全、経済、政治……地方勤務を含め、同様の経験を繰り返した。特ダネ記者でもなく同僚に迷惑をかけてばかりだが、違う分野に取り組むたびに、記者としての筋肉がついていくのを実感する。

 原子力規制のあり方が政治課題に浮上した。複数の省庁の幹部やOBに尋ねたが、「よい組織にするには、専門家の育成と同時に『別の仕事もできる』体制が必要だ。そうでないと幅広い視野の人材が育たない」との指摘があった。異分野の仕事が役に立った経験から、組織論としてよく理解できる。

 新設される「原子力安全庁」(仮称)はもちろんプロ集団であるべきだが、彼らが時折、専門外の職務を経験するのは悪くない。【江口一】

毎日新聞 2011年8月8日 12時24分

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