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【社会】

中学分断 道路計画 練馬 60年前の構想復活

2011年8月8日 07時07分

道路(点線)を校庭内に通す計画がある練馬区立大泉第二中学校(手前)。奥は西武池袋線の大泉学園駅=本社ヘリ「あさづる」から

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 東京都練馬区東大泉の区立大泉第二中学校の敷地を、十文字に分断する区の道路計画が物議を醸している。区は交通渋滞解消や安全対策が目的と説明するが、60年以上前につくられた計画で、地元住民からは「子どもたちの教育環境を犠牲にしてまで必要か」との声が上がっている。 (佐藤大)

 「震災時に全校生徒六百人が避難できるのか」「排出ガスや騒音はどうなるのか」

 七月下旬、区が大泉二中で開いた住民説明会で、厳しい意見が相次いだ。参加した「大二中を分断する道路計画を考える会」の鈴木達夫代表(61)は憤る。「学校が道路で分断されれば、盛んな部活動や校庭の桜並木にも影響が出る。区は緑を増やす政策を推進しているのに、それに逆行する計画だ」

 二本の区道はそれぞれ二車線。計画では、大泉二中の敷地のほぼ中心部を東西と南北に貫き、敷地は四分割される。道路面積は学校敷地の約二割を占め、グラウンドのほか武道館など建物の一部にもかかる。

 区によると、東西の道路は戦前の計画で、南北の道路は一九四七年に都市計画決定されたが、いずれも休眠状態だった。人口急増により五七年、大泉二中が先に建てられた。

 二〇〇四年、周辺道路の渋滞解消などを目的に都と区が「優先整備路線」に決定し、にわかに動きだした。区は道路の高架化や地下化も検討したが、「用地確保の問題で困難」とする。

 反発した地元住民らは昨秋、「考える会」を発足させ、約七千人分の署名を集めて区議会への陳情活動などを展開。周辺の生活道路の交通量が減少かほぼ横ばいだと主張し、子どもの安全確保や自然保護に問題があると訴えている。

 区は今年三月、まず南北の道路を整備し、校舎や体育館を道路の両側に建て替え、渡り廊下などでつなぐという構想をまとめた。しかし、住民説明会では「あくまでシミュレーションの一つで、これで決定したわけではない」と繰り返すにとどまり今後の具体的な進め方も明らかにしなかった。

 住民側は「道路ができることが前提になっている」(鈴木代表)と不信感を強めている。

◆道路整備は不可欠

 志村豊志郎区長の話 大泉学園駅南側地区の交通問題の抜本的な解決には、骨格となる都市計画道路の整備が不可欠。大泉二中については、子どもたちの教育環境の確保を優先し、現在地での再建や他の用地への移転を含め、あらゆる可能性を探りながら検討を進めている。

<大泉二中と道路計画> 2本の区道は、西武池袋線大泉学園駅方面などを南北に結ぶ道路(補助第135号線、幅員15メートル)と、西武池袋線と富士街道に挟まれて東西に延びる道路(補助第232号線、同16メートル)。練馬区は「学校建設当時、周辺に適地がなかったため、やむなく建てた」としている。学校の移転は大規模用地を確保しなければならず、困難とみられている。

(東京新聞)

 

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