国際人権法チーム [ チーム ]
個人通報制度では、法律や人権問題の専門家で構成される条約機関(委員会)が、公正中立の立場で、通報者と通報された国家の双方からに意見を聞き、審理を進めていきます。
この手続きには、大きく分けて次の5つのステップがあります。
1通報: 人権侵害を受けた個人かその代理人が、国連にある条約機関に通報することから手続きが始まります。国連人権高等弁務官事務所(スイス・ジュネーブ)が通報を受け取り、各条約機関に所属する人権の専門家が審査にあたります。
2許容性審査: 正式に受理されるためには複数の条件があります。すでにその国の裁判手続きを尽くしていること(例えば最高裁判所で判決が出ている場合)、事件の内容が各人権条約で定められた権利の侵害にあたるなどです。条件を満たすと判断された通報だけが3の段階に進みます。
3本案審査: 2の受理許容性要件を満たしている通報のみ、本案審査の対象になります。実際には、時間の節約のためもあって、受理許容性の審査と本案の審査が同時に進行することが多くなっています。通報者と訴えられた政府の双方からの主張を聴いて、委員会は最終的な判断(見解)を下し、公表します。
4見解: 見解では、通報者の主張、政府側の反論、訴えの争点、そして条約機関が下した判断などが明らかにされます。人権侵害が認定されると、政府に対して、その是正と救済を求める勧告も出されます。勧告内容は様々ですが、被拘禁者の釈放や被害者への賠償、さらに制度の改善などが求められることもあります。
5フォローアップ: 見解発表後、条約機関は、発表した勧告がその国で実施されているかどうかをチェックします。具体的には、どのような救済措置を行ったのかについて政府から報告を求めるなど、人権状況の改善を促します。