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[28701] 【ネタ】 ゴーカイジャーVSスーパーヒーロー (旧タイトル:もう一つのレジェンド大戦)
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/05 23:16
 ・自分の手違いで書いたのが全部消えて、相当落ち込み、暫く書く気力が起きなかったのですが、来週のゴーカイジャーでギンガレッド役の俳優さんが引退したのに復帰するのを知り、再び書こうと思ってもう一度書きました。

 ・本当に今回はご迷惑をおかけして申し訳ありません!!

 ・以前書いていたのは、199ヒーロー大決戦のように話を進ませてからもう一度投稿し直そうと思っています。

 ・更新は私情で申し訳ないのですが、用事が立て込んでいるので以前と比べて相当遅くなります。

 ・感想掲示板での知らせで前の作品を発見できたので5、6話位まとめて出しました。

 ・以上の点を見て、読んで貰えたら幸いです。



[28701] スーパーヒーロー結集!!
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/05 23:19
 地球は史上最大の危機を迎えていた。

 全宇宙を支配しようとする宇宙帝国ザンギャックの大艦隊が破壊の限りを尽くして人々を恐怖のどん底に陥れていたのだ!!

 だが、地球にはその強大な悪に立ちはだかる戦士たちが存在した!!

 愛と、夢と、平和と、人々の平和を守り続けてきた34のスーパー戦隊だ!!

 この戦いが世にいうレジェンド大戦である!!

 しかし、地球を守ってきた戦士たちは彼らだけではない!!

 これは語られることのなかったもう一つのレジェンド大戦である!!



 34のスーパー戦隊が日本でザンギャックの大部隊と戦っていた頃、世界各国の都市もザンギャックの襲撃を受けていた。

 ザンギャックの目的は地球征服。

 故に、他の国へと襲撃を行うのは必然であった。

 しかし、スーパー戦隊の全ては日本に集結しており、ザンギャックに抵抗する戦力は無い。

 だからこそ、人々の脳裏や心によぎるのは絶望の二文字。

 ズゴーミンが腕のクローから、ゴーミンがライフルから光線を放とうとした時――――。

 一陣の風が吹き荒れ、一条の光が鮮烈に輝き、一筋の稲妻が轟く。

 それらは目を、耳を覆う程でありながら、希望を失いかけていた人々に何処か穏やかさを感じさせた。

 人々が目を開けた瞬間、そこには――――。



 そこには11人の姿があった……彼らには共通している秘密がある。ジャッカ―電撃隊のメンバー同様に改造人間という共通点が。

 誰もが戦いを望んで成った体ではない――――だが、彼らはその鋼の体を、人々を守るために使い、歴代の悪の組織や宇宙からの侵略者との戦いを勝ち抜いてきた歴戦の戦士たち。

「皆、行くぞ!! 変身だ!!」

「「「「「「「「「「「おお!!/はい!!」」」」」」」」」」」

 伝説の始まりである本郷猛の号令と共に、各々が固有の構えを取る。それは、己を戦う姿へと変えるスイッチ!!

「ライダァァッ変……身!!」

「「「「――――変……身!!」」」」

「変……身、V3ャァァッ!!」

「――――ヤー!!」

「大・・変・・身!!」

「アーマーゾォォ――ン!!」

「変……身…ストロンガァァ!!」

「スカイ!! 変身!!」

 ベルトから――或いは、体全体から光を放ち、それが収まった後には人の姿はなく、いたのは仮面で素顔を隠した戦士――――仮面ライダーの姿!!

 彼らは疾風となり、臆することなくザンギャックの部隊へと突撃した!!



 ここには三人の姿がある……彼らも仮面ライダーと同様に共通している秘密を持っている。それは、特捜戦隊デカレンジャーたちと同じ宇宙刑事。

 そう、嘗て自分の命を真っ赤に燃やし、青春の熱い血潮をぶつけて、地球を、全銀河を、守り、戦った、平和を栄光とする3人の無敵の宇宙刑事の姿が!!

「「「蒸着!!/赤射!!/焼結!!」

 その叫びと共に、衛星軌道上にある各々の戦闘艦から電送されてくるコンバットスーツを纏った勇者――――宇宙刑事へと姿を変える!!

 彼らは各々のブレードを手に敢然とザンギャックの部隊へと立ち向かっていく!!



 楽器が奏でる音色と共に四人の男の姿があった。人造人間の兄弟、超能力者、全てにおいて頂点の男の姿が。

 彼らには仮面ライダーや宇宙刑事たちのようにスーパー戦隊と共通したモノはない。が、悪を挫き、弱き人々を助けた――ヒーロー足りうる存在!!

「「「クロスボディ・ダブルチェンジ!!/超力……招来!!」」」

「ズバッと参上、ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー!快傑ズバット!」

 今、晴天の青空を背に四人のヒーロー――キカイダー、キカイダー01、イナズマンF、快傑ズバットが降臨した!!

 彼らも、仮面ライダー・宇宙刑事たち同様に勇猛果敢にザンギャックの部隊と戦いの火蓋を切った!!





 仮面ライダー達の拳が、蹴りが唸りを上げ、ズゴーミンとゴーミン達を吹き飛ばし――。

 宇宙刑事たちのブレードから剣閃が放たれれば、ズゴーミンとゴーミン達を斬り裂かれ――。

 キカイダー兄弟の息の合った連係が、イナズマンFは超能力と技で、ズバットは稲妻の如き鞭捌きで、ズゴーミンとゴーミン達を一蹴する――。

 だが、ザンギャックは宇宙帝国を名乗り、スーパー戦隊達も個々で対応できない巨悪!!

 質で言えば、彼らに勝てないが量で対抗する奴らに彼らが採った手段、それは――――。





「一文字、風見、ライダートリプルパワーだ!!」

「「おお!!/はい!!」」

 1号と2号とV3はズゴーミンを殴り飛ばすと、サイクロンを呼び出して3人のエネルギーを集中させて突撃する。

「――――ズゴー!!」

 叫び声を上げながら複数のゴーミン達は成す術もなく吹き飛ばされ――

「――――ネットアーム、今だ!!」

「――――チェーンジ冷熱ハンド、超高火炎!!」

 ライダーマンのネットアームに捕らわれたゴーミン達がスーパー1の超高火炎に燃やされ――

「――――ライドルホイップ!!」

「ケケ――――!! 大、切、断!!」

 Xライダーとアマゾンの切断技によってゴーミン達は切り裂かれ――

「スカーイ、スクリューキーック!!」

「――――ZX穿孔キック!!」

 空中にあるザンギャックの戦闘空母はスカイライダーとZXの二人が放つ貫通蹴りに――。

「――――超電子ウルトラサイクロン!!」

 万全の状態で放つストロンガー最大の超電子の技の前にゴーミン達は耐え切ることなどできず――。

「俺は、炎の王子!! RX・ロボ、ライダー!!」

 ズゴーミン達の光線を吸収し、それをパワーに変えたロボパンチが唸りを上げてゴーミン達を吹き飛ばし――

「――――ボルテックシューター、ハードショット!!」

 右太もものホルダーから引き抜いた光線銃が火を噴き、ズゴーミン達へ光線が着弾する――。

 RXの攻撃はそれだけでは終わらず――――

「俺は、怒りの王子!! RX・バイオ、ライダー!!」

 名乗りを上げるとともに己が肉体をゲル化させ、ズゴーミンとゴーミン達にバイオアタックを炸裂させ――

「――――バイオブレード、スパークカッター!!」

 ズゴーミンとゴーミン達が最後の悪足掻きとなる光線を発射するが、バイトブレードに吸収……または反射され、近づいたバイオライダーに一切の抵抗もできずに切り裂かれ――

 仮面ライダー達が技を放った後方で、空中で沢山の爆発が連鎖する。

 そう、彼らの相手をしていたザンギャックの部隊が!!

「よし、皆。日本でザンギャックの大部隊と戦っているスーパー戦隊達の援護へ向かうぞ!!」

「「「「「「「「「「おお!!/はい!!」」」」」」」」」」

 1号のその言葉に、ライダー達は各々のマシンに跨り、日本へ向かう!!

 同じ地球を守り続けてきた仲間たちを助けに、彼らは再び疾風と化した!!





  ズゴーミンとゴーミンの部隊をシャイダーがビデオビームガンで牽制し

「「――――レーザーZビーム!!/クライムバスター破壊ビーム!!」」

 ギャバンとシャリバンの破壊光線が放たれる。

「――――ズゴー!!」

 その破壊力に耐え切れず爆発するのもいれば、直撃を免れて吹き飛んでいくザンギャックの部隊!!

 だが――――

「――――ズゴー!!」

 その穴を埋めるべく、残りの部隊が愚直に前進してくる。

 それらを前に――――

「「「――――レーザーブレード!!」」」

 ギャバン、シャリバン、シャイダーは臆することなく、己がブレードにバードニウム・ソーラー・光子エネルギーを注ぎ込み、刀身を青く輝かせて切り込んでいく!!

 その戦う様は正しく迅雷!!

「――――ギャバン、ダイナミック!!」

 巨大化した相手すらも倒したギャバン最大の技の前に、ズゴーミン達は抵抗すらできず、一刀両断に切り裂かれ――

「――――シャリバン、クラッシュ!!」

 シャリバンの体から溢れ出るエネルギーが、ゴーミン達の目には背に日輪を背負ったかのように見えた時、シャリバン最強の技が炸裂し――

「――――シャイダー・ブルーフラッシュ!!」

 シャイダーの放つ不敗の必殺技が、残った部隊を真っ二つに切り裂く!!

 宇宙刑事達が振り返った時、後方で大爆発が起きる!!

 それは、ザンギャックの兵士部隊の敗北の証!!

「――――よし、スーパー戦隊の援護に行くぞ!!」

「「――――はい!!」」

 ギャバンのその言葉にシャリバンとシャイダーは戦闘母艦へと乗り込む!!

 自分たちの後輩であり、友でもあるデカレンジャー達を含めたスーパー戦隊が戦っている場へと急行するために!!





 キカイダー、キカイダー01、イナズマンF、快傑ズバットとズゴーミンとゴーミン達の部隊は不思議な空間にいた。

 これこそ、イナズマンFが超能力を用いて作り出した異次元!!

 ザンギャックの部隊は先程まで人々がいた場所から空間に変わったことに驚いているが、ヒーローである彼らはそうではない。

「何の罪もない人々を苦しめ、殺し! あまつさえ……地球を侵略しようとしているザンギャック!!」

 ズバットがザンギャックの罪を挙げながら、右手の指をザンギャックの部隊へ向ける。

 キカイダーや01、イナズマンFは何も言わない。が、気持ちはズバットと何ら変わらない。

 そう、彼らはザンギャックという巨悪に『怒り』を感じていた。

「――――許さん!!」

 ズバットが言い終わるや否や、彼らはザンギャックへと突撃していく。

 ズゴーミンとゴーミンの複合部隊は光線を彼らめがけて一斉に発射する。

「――――デェッ!!」

 ズバットは叫び、Z型の赤い柄を持った鞭を取り出して振るう。

 驚いたことに、一振りで、光線は全て叩き落されるか跳ね返され、前方にいたゴーミン達が吹き飛ばされる。

 それを目にして驚かずにはいられないザンギャックの部隊。

 だが、ズバットは情け容赦なく鞭を振るう。振るわれた鞭が赤い閃光となり、ゴーミンの首に巻きつく。

 その状態でズバットは鞭を勢いよく振り上げる。

「ズゴー!?」

 悲鳴を上げたときには既にゴーミンの身体は宙に浮き、地面に叩き付けられる。

 その際に生じた衝撃波で周囲にいたゴーミン達は吹き飛ばされる。

 鞭だけでゴーミンを軽々と投げるその姿にザンギャックの部隊は戦慄せずにいられなかった。

 更に、ズバットの鞭が生き物のように動き、ズゴーミン達を叩き伏せ、投げ飛ばす。

 そして、鞭で叩かれるだけでもゴーミン達は数百メートルまで吹き飛ばされる。

 かつての戦いから、数十年経った今でも鞭の冴えは衰えるどころか、更なる磨きがかかっている。

 それを相手にして、ズゴーミン達如きが反撃することなどできはしない!!

「――――兄さん、いくよ!!」

「――――ああ!!」

 キカイダーと01、お互いの腕をクロスさせて同調する「クロスボディ」を発動させてエネルギーを凝縮させる――――

「――――ダブル・ブラザー・パワー!!」

 01の左腕とキカイダーの右腕から光弾が放たれる!!

 一歩間違えれば、自分たちが爆発してしまう技を躊躇わずに使うのは、この星を、そこに住む人々を、命を懸けてでも守るという決意があるからこそ!!

 その決意の前に、命令に従うだけのズゴーミン達が勝てる訳がない!!

 ズゴーミンとゴーミン達の大多数はこの異次元を生み出しているイナズマンFに向かっていく。

 恐らくは、この空間の生成に力を割いているのでズバット、キカイダー、01よりは倒し易いと踏んだのだろう。

 だが、その考えは最大の愚行だ。

 人々を傷つけた巨悪に抑えきれない怒りを爆発させた地球のヒーローにそんな計算など通用しない!!

「――――超力稲妻落とし!!」

 イナズマンの頃に多用していた必殺技が、接近してきたズゴーミン達に炸裂する。

 その威力たるや、かつて以上の強烈さ!!

 接近では分が悪いと察したのか光線に切り替えて攻撃するが

「――――ゼーバー・逆転チェスト!!」

 赤い突起を展開したゼーバーを掲げて、光線を反射されて逆にダメージを受ける。

「ズゴー!!」

 イナズマンFから感じる威圧感に、恐怖を覚えたズゴーミン達は逃げようとする。

「――――逃がさん!! ゼーバー・イナズマンフラッシュ!!」

 ゼーバーの稲妻状のアンテナによって増幅された雷撃が放たれ、ズゴーミン達は逃亡を果たせずに爆発する。

 それが最後――――日本以外の世界各地に襲撃したザンギャックは壊滅した!!

「――――皆、俺の傍に!!」

 イナズマンFのその言葉に、キカイダー、01、ズバットが傍に寄る。

 それを確認すると

「――――ゼーバー・テレポーテーション!!」

 青い突起を展開したゼーバーを掲げて、イナズマンFは全員を瞬間移動する。

 向かう先は、スーパー戦隊が結集している――――彼らの故郷でもある日本!!





  地球で大勢のレジェンドが戦っている頃、果ての無い大海原――――宇宙では、地球へと向かう複数のエネルギー反応があった。

 そのエネルギー反応の通った後には――――宇宙帝国ザンギャックの艦隊の残骸があった!!

 そして、そのエネルギー反応の場では――。

「クッ、これ以上お前を通す訳には行かねぇ!! 地球で戦っているカクレンジャー達のためにも!!」

「貴殿のような存在は絶対に止めてみせるでござる!!」

「大神龍だが、何だか知らないけど恭介が命を懸けてザンギャックと戦って守っている地球には行かせないわよ!!」

 宇宙の秩序を守る為に大宇宙が生み出した超宇宙生命体――――大神龍とそれを食い止めんとする姿があった。

 三神将の弟子であるニンジャマン!!

 六億年の時を生きたキングレンジャーでさえ詳細を知らない謎の魔神・ガンマジン!!

 妹であるラジエッタ・ファンベルトと共にファンベル星の第一王女・バニティーミラー・ファンベルトが搭乗できるように改良したのであろうラジエッカーロボで奮闘していた。

 彼らが必死に食い止めているのは――――大神龍が、争う者は正義も悪も関係無く、全てを無にするまで破壊の限りを尽くす、地球にとっては最悪の調停者だからだ!!

 現に、その存在理由に恥じず、ザンギャックの地球に送った戦力の八割は大神龍によって壊滅させられたのだ。

 逆を言えば、大神龍の存在があったから地球のレジェンド達がザンギャックとの戦いを現在も持ち堪えられていると言える。

 しかし、ダイレンジャーの戦闘以降は地球に介入したことがない大神龍が動くということは、地球を破壊するために動いている可能性が高い。

 そう、レジェンド達が今まで命を懸けて守ってきた地球という星の存在は、全銀河から見たら辺境の惑星。が、全銀河を揺るがす程の侵略者が狙ったことは数知れない。

 見方を変えれば、地球という星こそが争いの中心点ともいえるのだ!!

 本来ならば、巨大ロボを含めたレジェンドの全戦力を動員して、漸く止められるかどうかという存在を前に彼らは健闘しているが――――。

「「「「ウワァァァァ――!!」」」」

 鬱陶しげに大神龍が頭を振るわせただけで彼らは吹き飛ばされる。

 このままでは、大神龍が地球へと向かってしまう、と彼らが思った時――――

「「「「「「「――――デュワ!!」」」」」」」

「「――――イヤァァァァァァ!!」

 強大な光線と赤熱化した蹴りが大神龍に直撃する。

 次の瞬間、大神龍の前に九つの赤い球体が進路を防ぐように現れる。

 彼らの正体、それは――――決して諦めず、不可能を可能にする光の超人たち!!

 そう、M78星雲と獅子座L77星の超人である――――ウルトラ兄弟!!

 ウルトラマン、ゾフィー、セブン、ジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、80!!

 しかし、彼らの一斉攻撃をもってしても、大神龍は全くの無傷だった!!

「「「「「「「「「――――何だと!?」」」」」」」」」

 それを見た彼らは驚愕を隠せずに声を上げる。

 大神龍は未知の金属メガトロニウムで覆われた身体。

 その体の前には如何なウルトラ兄弟の一斉攻撃といえども、無力だというのだろうか……。

「―――――ッ、不味い!! 皆、彼らを守るぞ!!」

 ウルトラ兄弟の長兄であるゾフィーが大神龍の挙動から何かを察し、ウルトラマン達に告げる。

 その言葉と共にウルトラ兄弟は全員の力で、ウルトラグランドウォールを発動させる。

 それと同時に大神龍の全身からプラズマ衝撃波が放たれる!!

「「「「「「「「「――――グゥゥゥゥゥ!!」」」」」」」」」

 その威力は、かつてのダイレンジャーとゴーマの戦いの時以上の威力!!

 ウルトラ兄弟でさえ、少しでも気を抜けば展開しているバリアを突破されかねない。

 彼らだけならば、沢山ある超能力で回避できたかもしれないが、後方に守るべき存在――――ニンジャマン達がいる限り、それはできない。

 しかし――――

「「「「「「「「「――――ガァァァァァ!!」」」」」」」」」

 彼らの全力をもって作り出したウルトラグランドウォールは、遂に突破され、彼らもニンジャマン達の所へ吹き飛ばされる。

「……!! テメェ、よくもやりやがったな!!」

 そんな彼らの姿を見て、ニンジャマンの怒りは、今頂点に達した!!

「――――怒り爆発!!」

 その掛け声とともに真の姿であるサムライマンへと姿を変えた!!

「例え、勝てないとしても地球を壊すかもしれないテメェを行かせてたまるか!!」

 サムライマンが、己が命を懸けて大神龍へと特攻しようとした時――――輝く三つの光球が彼の目の前に降り立つ。

 光球から姿を現したのは、超人であるウルトラ戦士たちから、そして違う並行世界のギャシー星人に神と謳われている――――ウルトラマンキング、ウルトラマンノア、ウルトラマンレジェンドの姿があった!!





 猛威を揮い、ウルトラ兄弟とサムライマン達を圧倒した大神龍の前に伝説のウルトラマン達が降臨した!!

 ウルトラ族伝説の超人で、光の国のプラズマスパーク建設に尽力し、ウルトラ長老の一人にして、ウルトラ戦士達から見ても、神のような存在とされているウルトラマンキング!!

 宇宙の大いなる2つの力であるウルトラマンコスモスとウルトラマンジャスティスの二人が合体して誕生する宇宙の神であるウルトラマンレジェンド!!

 太古より全宇宙の平和を守り続ける伝説の存在であり、M78星雲ではキングと双璧を為すウルトラマンネクサスの究極の姿であるウルトラマンノア!!

 彼らが集まる事など、史上初の出来事である。

 何せ、彼ら一人だけでも地球で命を賭けて戦い、倒したレジェンド達の宿敵達を倒せる程の強さを持っているのだから。

 逆を言えば、大神龍の強さは彼ら三人が集まらなければ対応できないということを意味する!!

 そう、大神龍に一蹴されたウルトラ兄弟とサムライマン達は弱いのではない。

 彼らとて、地球で戦っているレジェンド達に勝るとも劣らない強さは持っている。

 ただ、大神龍の強さがそれを遥かに上回っていただけなのだ。

「――――大宇宙が生み出した存在よ、地球が如何な戦いの中心点であってもそこに生きている命がある限り、お前の行動を認める訳にはいかん」

 キングのその言葉と共にノア、レジェンドが大神龍の左右の後方へ瞬時に移動する。

「お前の身体は我々の力を持ってしても破壊する事は叶わないだろう。しかし、我々の力を使い果たしてでもお前をここに封印してみせる」

 キング、ノア、レジェンドの三人の身体が金色に輝き、辺り一帯の宇宙を照らす!!

 それは、彼らの力でもあり、体を構成する光を解放させている兆候。

「「「「「「「「キング、それは我々がやるべき事です!!」」」」」」」」」

 漸く立ち上がったウルトラ兄弟がキング達の行動を止めようと叫ぶが

「ウルトラ兄弟よ、残念だがお前達ではこの存在を封印する事は出来ない。故に、これは我々の役目なのだ」

 後ろにいるウルトラ兄弟達に振り向きもせずに答えるウルトラマンキング。

「それに、新たな光の戦士達もいる。
 そして、地球での戦いを経て成長したお前達になら宇宙の平和を任せられる。だからこそ、我々はここで命を賭けれるのだ」

 その言葉にウルトラ兄弟は何も答えることができなかった。

「後は任せたぞ、ウルトラ兄弟達よ!!」

「「「「「「「「「ウルトラマンキング!!」」」」」」」」」

 次の瞬間、金色の光が一層輝きを増して漆黒の宇宙を満たした!!

 輝きが消えたその場にはキング、ノア、レジェンド――――そして、大神龍の姿はなかった。





 その場から遠く離れたM78星雲のプラズマスパークタワーでは

「「……おお/……ああ」」

 ウルトラの父と母がキング達の行動を察したのか、嘆き声を上げ

「「どうしたのですか、ウルトラの父、ウルトラの母!! ……まさか兄さん達に何か!?」」

 ウルトラの父と母のその行動に驚き、自分達の不安を尋ねるメビウスとヒカリ。

 彼らも最初はウルトラ兄弟と共にザンギャックが侵略を開始した地球を救援に行こうとした。

 だが、他ならぬウルトラ兄弟に止められたのだ。

 自分達にもしもの事があった時、若いウルトラ戦士の訓練生達を鍛える戦士が必要だ、と言われて。

 そんな不吉な言葉を聞いたからこそ、彼らは尋ねたのだが

「……メビウス、ヒカリ、心落ち着いて聞くのだ。
 たった今、ウルトラマンキング、ノア、レジェンドの三人が自身の命を賭けて地球へと向かっていた大神龍を封印した」

「「――――そんな馬鹿な!?」」

 返って来たのは予想外の答えだった。

 情報としては大神龍の事は知っているが、実際に遭遇したことがないのでその強さをメビウスとヒカリは知らない。

 だが、ウルトラマンキングの強さは自分達を圧倒したべリアルも容易く封じ込め、ノアとレジェンドに至っては言うまでもない。

 だからこそ、その三人が命を賭けて封印しかできなかった存在がいるなど信じられないのだろう。

 しかし、驚愕から我に帰ったメビウスとヒカリはウルトラの父に自分達も地球に行かせて欲しいと頼み込もうとするが――――

「太陽系外のザンギャックの部隊はグレートとパワード率いるウルトラ戦士達によって何とか食い止めている……後は、地球にいる戦士達に任せよう」

 それを察したウルトラの父が彼らを制するかのように告げる。

「「ですが――――」」

「メビウス、ヒカリ……ザンギャックは史上類を見ない大勢力です。
 それが証拠に、地球へ送り込んだ戦力には他の星の侵略行為の時にいた行動隊長を送り込まず、地球の戦士達に苦戦を強いらせています。
 この戦いを乗り越えれば、今度こそザンギャックは全戦力を賭けて地球を征服しに行くでしょう。
 その時に備える為にも、あなた達には未だ若いウルトラ戦士の訓練生達を鍛えなければなりません」

 更に懇願しようとしたメビウスとヒカリをウルトラの母が彼らを戒める。

 そう、恐るべきことにザンギャックは行動隊長を送り込まずに、物量だけで地球のレジェンド達を苦しめているのだ。

 その言葉を聞き、今度こそメビウスとヒカリは押し黙る。

 彼らとて分かっているのだ、ザンギャックの脅威は。

 しかし、彼らは機械ではない……頭で理解していても心では納得できないのだ。

「……分かりました、僕らが地球で学んだことの全てを賭けてウルトラ戦士の訓練生達を鍛えて見せます」

 その言葉と共にメビウスは、訓練生達がいる場所へ向かう。その後にヒカリも続く。





  ザンギャックの地球侵略部隊が未だ活動を続けている日本では――――

「「「「「――――ウオォォォ!!」」」」」

 地球を護る使命を持つ護星天使たち――――ゴセイジャーがザンギャックとの戦いで力尽きたゴーカイグレートを背にズゴーミンとゴーミンの部隊と戦っていた!!

 彼らの他にも、日本各地に攻めてきたザンギャックの部隊と33のスーパー戦隊が各地に散って戦っている。

 しかし、その戦力は世界各国に攻めてきたザンギャックの部隊よりも多く、スーパー戦隊が誇る飛空戦艦と巨大ロボが半壊してしまった!!

 だが、それでも彼らは怯むことなくザンギャックと戦っている。

 しかし―――――

「ズゴ―!!」

「「「「「――――ウワァァァ!!」」」」」

 遂に数の差に押され、ズゴーミン達が放つ光線に吹き飛ばされるゴレンジャー達。

「――――皆、一端引くんだ」

 ゴセイレッドのその言葉に、ゴセイピンク、ゴセイブラック、ゴセイイエロー、ゴセイブルーは大樹の傍まで避難する。

「一体、何なんだ。これまで地球を侵略してきた奴らと桁違いの数の多さだぜ」

「ああ、一人一人は強くはないがそれを数の多さで補っている」

「でも、もう少しでこの星を守ってきた先輩たちに逢えるんだ。皆、頑張ろう――――」

 ゴセイレッドが激動の言葉をかけた時

「ズゴー!!」

 彼らをズゴーミン達が発見し、腕のクローとライフルを構え、ゴセイジャー達に光線を発射しようとする。

 それを見て、テンソウダーとゴセイカードを取り出し、ゴセイジャー達が反撃しようとした時

「――――レッドビュート!!」

「――――サイクロンアタック!!」

 赤い閃光と緑の疾風がズゴーミン達を吹き飛ばす!!

 吹き飛ばされたズゴーミン達は爆発し、爆風が起きる。

 それが晴れた時、そこには二人の戦士が立っていた。

「――――あなた方は、初代スーパー戦隊と仮面ライダーを率いて悪と戦った、アカレンジャーに仮面ライダー1号!!」

 ゴセイレッドがその姿を見て、彼らの名を叫ぶ。

「「いかにも、私の名はアカレンジャー!!/仮面ライダー1号!!」」

 同じ地球を護ってきた後輩に名乗る歴戦の戦士であるアカレンジャーと仮面ライダー1号。

 その勇姿はゴレンジャー全員に感銘を与えずにはいられない。

 だが、その隙を狙ってゴセイジャー達の後ろでズゴーミン達が攻撃しようとし――――

「「――――トォ!!/デェッ!!」」

「ズゴ~!!」

 白と赤の迅雷の前に敗れ去る!!

 爆発の音を聞き、ゴセイジャー達が後ろを振り向くとそこには

「ジャッカー電撃隊の行動隊長ビッグワン、さすらいのヒーロー・快傑ズバット!!」

 白い鳥人・ビッグワンと赤い超人・ズバットの姿があった!!

「「アカレンジャー、仮面ライダー1号、地球を護るために全てのレジェンドが集結した!!」」

「「――――うむ。ゴセイジャー、我々はこれから命を賭してザンギャックとの戦いに挑む。君達も来てくれるな?」」

 本来ならば、聞くまでもなく答えは分かっているのに、アカレンジャーと仮面ライダー1号は尋ねる。

 それなのに尋ねるのは、覚悟を確かめるためか……あるいは、若いゴセイジャー達の身を案じているのか……。

「「「「「――――はい!!」」」」」

 ゴセイジャーの全員が返した答えは肯定――――戦う覚悟。

「「――――よし、それでは皆の元へ向かうぞ!!」」

 アカレンジャーと仮面ライダー1号は、その答えを聞き、この場にいる全員を率いて、レジェンド達が集合している場所へ向かおうとして――――

「ズゴー!!」

 ズゴーミン達がその行く手を遮るように立ち塞がる。

 それを見て強行突破するしかないと各々が構えた時――――

「ズゴー!!」

 ゴーミンの頭に名刺のような金属製で銀色のカードが突き刺さる。

 それを見て残りのゴーミンやズゴーミン達は、カードが飛んできた方を見上げるとそこには――――特捜ロボ・ジャンパーソンと相棒であるガンギブソン、ジャンパーソンのサポートロボであるアールジーコの姿があった。

「――――ジャンパーソン、フォー・ジャスティス!!」

「ハッ、地球を征服しようだなんて俺たちがいる限り、無理だってことを教えてやるぜ!!」

「そうだ、そうだ!! ガンモドキの言う通りだ!!」

 彼らもスーパー戦隊や仮面ライダー、宇宙刑事達と同様に地球の危機に駆け付けたのだ!!

 そして、駆け付けたのは彼らだけではない。

「――――ベガスラッシュ!!」

「――――マージ・ゴル・ジー・マジカ、ブレイジングストームスラッシュ!!」

「――――スーパーファイナルブロー!!」

「――――カブトニックバスター!!」

 四つの必殺技がアカレンジャー達の行く手を塞いでいたズゴーミン達を吹き飛ばす!!

 爆炎が晴れた後には、歴代のスーパー戦隊と共に戦ったシグナルマン、黒騎士ヒュウガ、装甲ジーク、デカマスター、デカスワン、 デカブライト、ウルザード・ファイヤー、マジマザー、大剣人ズバーン、女シンケンレッドの十人の姿。

 そして、ジャマールとメルザード一族を倒したビーファイターの戦士たちの姿があった。

「アカレンジャー、仮面ライダー1号、ビッグワン、快傑ズバット、ゴセイジャー、ここは我々に任せて君たちは早く仲間たちの元へ!!」

 援護に来た戦士たちを代表してジャンデジックでゴーミン達を撃ちながら、ジャンパーソンがアカレンジャー達に先へ向かうように促す。

「「「「分かった、ここは任せるぞ!!」」」」

 アカレンジャー、仮面ライダー1号、ビッグワン、快傑ズバットはゴセイジャー達と共に、彼らにここを任せて仲間の元へ向かおうとするが、懲りずにズゴーミン達が立ち塞がろうとし

「「――――ハアッ!!」」

 ゲキレンジャーのライバルであった黒獅子リオとメレに吹き飛ばされる。

 それを予想していたかのようにアカレンジャー達は一切止まらずに先へ進む。

 仲間たちが戦っている地球の戦いでも史上最大の戦場へ臆することなく!!





 「「――――トォ!!」」

 アカレンジャーと仮面ライダー1号が、地球を護ってきたレジェント達の集合した中央に降り立つ。

 レジェンド達の前方には地球侵略に来たザンギャックの残存部隊の姿がある。

 その数は、今までレジェンド達が各地で戦っていた以上の数!!

 正に、物量こそがザンギャックの強みといわんばかりの人数を前に、地球を救ってきたレジェンド達は

「「――――皆、行くぞ!!」」

『――――おお!!』

 アカレンジャーと仮面ライダー1号の号令を受け、臆することなく突撃する。

 ザンギャックもそれに対抗すべく動くが

『ズゴー!!』

「「どうじゃい、どうじゃい、キレンジャー様の力は!!/どうした、どうした、その程度で地球を侵略しようなんて笑っちまうぜ!!」」

『――――ズゴ~!?』

 己の力を武器に敵に真っ向から戦いを挑んだ戦士たち――――キレンジャーと仮面ライダー2号を先頭に、ズゴーミン達を吹き飛ばしていく!!

「「――――エレキビュート!!/ライダーきりもみシュート!!」」

 その後に続くように、研ぎ澄まされた技を持つ戦士たち――――アカレンジャーと仮面ライダー1号を筆頭に惜しみなく技を放つ!!

「「――――稲妻斬り!!/新飛翔返し!!」」

 死を恐れることなく敵と剣を斬り結んだ戦士たち――――ダイヤジャックとバルイーグルが先陣を切り、それに続く形で数多の斬撃が乱れ舞う!!

「「――――いいわね? 行くわよ!!/涙を捨て、戦場に咲く桃の花!!」」

 女性の戦士たちも彼らに負けず劣らず、モモレンジャーとハートクイーンの後に続き、己が技を、武器を使ってザンギャックの部隊を倒していく。

『――――ハアッ!!』

 ニンジャレッドとハリケンレッド……そして、忍者ライダーの異名を持つZXの三人の赤き剣閃が煌き

『――――トォ!!』

 リュウレンジャー、ゲキレッド、スーパー1、三人の磨き上げた拳法が炸裂する。

『――――タァッ!!』

 ジェットマンとスカイライダーの上空からの攻撃が崖に立っていたズゴーミン達を叩き落とし

『――――ガオッ!!/ケケー!!』

 ガオレンジャーとアマゾンの野獣の如き攻撃がズゴーミン達に襲い掛かる。

「――――トォァ!!」

 リボルケインを使って戦っているRXの背後をズゴーミンが腕のクローから光線を放とうとして

「ズゴー!?」

 突如、血を連想させる朱い斬撃が襲い掛かり、失敗に終わる。

 ――――カシャン、カシャン、カシャン!!

 そんな金属音と共に彼が、この戦場にやってきた!!

「――――RX、お前を倒すのはこのシャドームーン、唯一人!! こんな奴らにやられるなど断じて許さん!!」

 そう、仮面ライダーBLACK RXの宿敵にして最強のライバル――――もう一人の世紀王・影の月……シャドームーンが!!

「――――シャドームーン、お前まで来てくれたのか!!」

 RXの声には驚きと共に歓喜の感情も交じっていた。

 歴代のスーパー戦隊で戦死した戦士も地球の危機の前に復活を果たして戦っているのでシャドームーンがいてもおかしくはない。

 だが、それでもRXは嬉しかったのだろう。

 かつての戦いでは、殺し合うしかなかったのに、この場限りでも、共闘できることが!!

「――――何度も言わせるな、お前を倒すのはオレだけだ!!」

「――――分かった、今はそれでもこの地球の為に、共に戦おう!!」

 恐らくは、最初にして最後ではあるが、ここにRXとシャドームーンが背中を合わせて共闘する!!

『――――ズゴー!!』

 レジェンド達によって仲間がやられてもその屍を乗り越え……あるいは、踏み越えながらザンギャックの部隊は挑んでくる。

 だが――――

「「モモ、ゴレンジャーハリケーンだ!!/ビーック、ボンバー!!」」

 地球を護ってきたレジェンド達は怯むことなく、アカレンジャーとビッグワンが必殺技を放つべく、メンバーに告げる。

『いいわね? 行くわよ、ゴレンジャーハリケーン、キー!!/まかせんしゃい、ミドー!!/オーケー、アオ!!/オーライ、アカ!!』

『セット1!!/セット2!!/セット3!!/行くぞ、コンバイン!!――――ビッグワン!!』

「――――エンドボール!! 頼むぞ、ビッグワン!!」

「オーライ、ゴレンジャーハリケーン・ビーック、ボンバー!!」

 かつて、ゴレンジャーハリケーンとジャッカーコバックが通じなかった四天王ロボを破壊するために使った必殺技が三十余年の時を超えて再び放たれる。

 その威力は、かつての戦いの時と勝るとも劣らない!!

 そんな先輩たちの勇姿をみて、他のスーパー戦隊も各々の合体技を発動させる。

『ズゴ~!!』

 これらの強力な技の前にザンギャックの部隊は耐え切れずに爆発する。





 一方、レジェンド達の援護に来た戦士たちもザンギャックと戦っていた。

 ザンギャックも必死に戦うが――――

「「ジックキャノン、ファイヤー!!/スピンドルキャノン!!」」

『ビートルブレイク!!/レイジングスラッシュ!!/トルネードスパーク!!』

『ライザーブラスト!!/グラビティクラッシュ!!/クロスウェイスライサー!!』

『ドラゴンフライング!!/ライトニングキャノン!!/リンガーソード!!/ビームシャワー!!』

 メタルヒーローの必殺技が次々と放たれて吹き飛び、爆発する。

「「本官の許可なく、地球侵略など絶対に許さん!!/――――黒の一撃!!」」

 シグナルマンは万能ツール・シグナイザーで、黒騎士ヒュウガはブルライアットを用いて斬撃を放ち

「「烈火大斬刀、百火繚乱!!/ベガインパルス!!」」

 それに続く形で女シンケンレッドとデカマスターの超必殺の斬撃がザンギャックの部隊に襲い掛かる。

 残ったザンギャックの部隊も他のメンバーにやられていく。

 だが、最後の悪足掻きとでもいうのか捨て身で一人のズゴーミンがブルービートに向けて突貫してくるが――――

「――――邪甲!!」

 その叫び声と共に紫色のエネルギー弾がズゴーミンに当たり、爆発させる。

 ―――――コツ、コツ、コツ、コツ!!

 そんな足音と共に、シャドームーン同様、悪でありながら誇り高き戦士――――ブルービートの影・ブラックビートが姿を現した!!

「――――ブラック、ビート…なのか?」

「何を呆けている、ブルービート。さっさと、こいつらを片付けるぞ」

 そう告げると、ブラックビートはスティンガービュートを構えてザンギャックの部隊に突っ込んでいく!!





 歴代のレジェンド達の必殺技がザンギャックの部隊の大半を壊滅させた時――――

「「――――ムッ、アレは!?」」

 アカレンジャー、仮面ライダー1号が空中に目を向けるとザンギャックの空中母艦からズゴーミン達とは桁違いのビームが放たれる。

『ウワァァァ――――!!』

 そのビームの前には、さしものレジェンド達も直撃を喰らってしまう。

 連戦に続く連戦、更には必殺技を発動させて疲労が蓄積された時の追撃!!

 もはや、これまでかと思われた時、レジェンド達が戦っている場に一人の少年が現れる。

 少年の名は風太郎――――またの名をゴッドパワーアニマル・ガオゴッド!!

 彼の体が光に包まれ、五つの光球に変わり、ゴッドパワーアニマルが現れ、合体してガオゴッドが降臨し、

「――――天誅、パワーアロー!!」

 パワーボウから放たれた光の矢がザンギャックの空中戦艦を貫く!!

「「「「「「――――ガオゴッド!!/千年の友!!」」」」」」

 心強い援軍にガオレンジャー達がガオゴッドの名を叫ぶ。

「――――地球を護ってきた戦士たちよ、お前達だけに命を懸けさせはしない」

 そんな彼らに返答を返すガオゴッド。

「この星の生きとし生ける命を守るために、世界中のパワーアニマルたちも再び集結した」

「「「「「「――――えっ!?」」」」」」

 ガオゴッドの言葉に驚き、上空を見上げるとかつてのセンキとの最終決戦で一度だけ集結した世界中のパワーアニマルたちの姿があった!!

 そう、百獣の名の如く、百体のパワーアニマルの姿が!!

 それを見たガオレンジャー達は、獣皇剣とガオハスラーロッドを構えて

『よし、皆行くぜ!! ――――森羅万象・天地轟鳴・百獣アニマルハート!!』

 百体のパワーアニマルと共にガオソウルを一斉にザンギャックの空中戦艦に放つ。

「――――神獣、荒神剣!!」

 それに続く形でガオゴッドも必殺の斬撃を解き放つ!!

 正しく、人だけでなく地球の全てを結集させて放たれた攻撃にザンギャックの部隊は壊滅した……かに見えた。

『――――何!?』

 空間が歪み、そこから出てきたのは、青い大空を覆い尽くす程のザンギャックの空中戦艦の部隊!!

 そこから放たれた一斉のビームを受け、ガオソウルと必殺技を放った後で消耗したガオゴッドとパワーアニマル達は吹き飛ばされる。

 それを見て、アカレンジャーと仮面ライダー1号は

「「こうなったら、止むを得ん……皆!!」」

 ある決断を下し、レジェンド達を集合させる。

「「――――我々レジェンド全員の力を結集して、地球を護るぞ!!」」

『――――おお!!』

 アカレンジャーと仮面ライダー1号のその言葉に躊躇うことなく、返答を返すレジェンド達!!

 彼らが持つ力には、仲間と出会えた絆、自身の使命を果たすためという特殊な意味を持っている。

 それを失うかもしれないのに、彼らは躊躇わずに決断した。

 全てはこの命溢れる星――――地球を護るために!!

 レジェンド達の力が光となり、アカレンジャーと仮面ライダー1号に集まる。

 その光は、サポートに来ていた戦士たちの目にも見えていた。

「――――皆、我々も地球を護るために!!」

 ジャンパーソンの言葉と共にサポート戦士たちも力を開放させる!!

 それらの力を託されたアカレンジャーと仮面ライダー1号は、ザンギャックの空中戦艦の部隊へ突撃し

「「――――ゴー!!」」

 それらの力を一斉に掛け声と共に解放した!!

 その力は瞬く間にザンギャックの空中戦艦の部隊を壊滅させて行く。

 そして、レジェンド達の力が大空から宇宙(そら)へと散ばろうとした時

『――――デュワ!!』

 大神龍との戦いで負傷しながらも地球にウルトラ兄弟が到着した!!

「――――これは!? 地球のレジェンド達の力が宇宙へ散ばろうとしている!!」

「いかん!! ザンギャックは確かに帝国の大半を送り込んではいるが、未だ皇帝直属の戦力は送られていない。
 それなのに、レジェンド達が力を失えば、地球は対抗する術を失う」

「――――ゾフィー兄さん、レジェンド達の力を残し、ザンギャックの地球侵略を遅らせるためには……あの技を使うしかありません!!」

「――――ファイナル、クロスシールド」

「しかし、その技を使えばUキラーザウルスの時のように変身能力は失われてしまう」

「……やりましょう、ゾフィー兄さん。 我々が……そして、地球のレジェンド達が命懸けで護り、愛したこの星の為に」

 弟たちの言葉にウルトラ兄弟のまとめ役であるゾフィーは……静かに肯定した。

『――――デュワ!!』

 ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、80は地球を囲むように配置につき、自分たちの変身能力を代償に膨大な光エネルギーを放出する!!

 それは宇宙へと散ろうとしていたレジェンド達の力を、一部を除いて、地球へと押し戻し、光の結界を地球に展開させた!!

 それが終わった時、宇宙には光の超人であるウルトラマン達の姿は消えていた。

 この日を境に、地球を護ってきたレジェンド達は表舞台から姿を消した……そして、時は流れ――――




[28701] 誕生!! 孤高の修羅
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/05 23:20
 広大な大海原である宇宙で一人の男がザンギャックの追撃部隊から逃げている。

 男の名は――シド・バミック。

 帝国の正体に気づき、後輩であり、弟子でもあったジョー・ギブケンと共に途中まで脱走していたが、一緒に行動していては両方助からないと察し、せめてジョーだけでも逃がそうと思い、追撃部隊の目を引きつけながら逃げていた。

 本来の彼ならば、逃げずに撃退できるほどの実力がある、が休むことのない追撃に精神・体力共に尽きかけていた。

『ズゴー!!』

 そして、遂にザンギャックの部隊に囲まれてしまった。

(……ここまでか。ジョーを逃がせたのは幸いだったな――だが!!)

 彼は持っていた剣を構え

「――無抵抗で殺せると思うなよ。
 俺は寂しがり屋でな……ここで死ぬというのなら、一人でも多く死出の道連れを生み出してやる――さぁ、死にたい奴から掛かって来い!!」

 追撃部隊に切っ先を向けて叫ぶ!!

『ズゴー!?』

 もはや手負いの獣同然の筈なのにその気迫に追撃部隊の面々は圧倒される……が、それも一瞬のこと、接近戦を割け、クローとライフルから発射する光線で仕留める方針に固める。

 軍人としては正しい判断――しかし、剣士としては侮辱されたに等しい対応にシドは

「――――貴様らァァァ!!」

 怨嗟の叫びを上げる。

 追撃部隊が光線を放ち、それがシドに当たろうとした時――――黒色の光がシドを包み込んだ!!





「……ッ!!ここは、一体?」

 シドが目を開けて見えた光景――――それは、地球のコロッセオに似た場所だった。

 無論、地球人でない彼にそんなことが分かる訳がなく混乱している。

 それも当然、彼はつい直前まで追撃部隊に囲まれて光線を放たれたはずなのに傷一つないのだから。

 そんな彼の耳に笛の音色が聞こえ、その方向へ振り向くとそこには全身を黒い鎧で固め、狼の様な顔、額に一本角が生えた鬼――――デュークオルグ・狼鬼の姿があった!!

 その姿を見て咄嗟に剣を構えようとすると、後ろに複数の足音が聞こえ、背中越しに見てみるとそこには四人の姿があった。

 かつて、宇宙海賊バルバンに故郷を滅ぼされ、弟・クランツをゼイハブに殺されたタウラス星の戦士――――黒騎士ブルブラック!!

 魔導馬バリキオンを従え、闇のエレメントを持つ黒(紫)色の魔法使い――――魔導騎士ウルザード!!

 ジャマール科学によって生み出された昆虫戦士、悪のビーファイターにしてブルービートの宿敵――――ブラックビート!!

 リプラスフォーム以上の硬度を誇るシルバーガードに覆われ、両肘の強化装具エルボートリガー、両足の強化装具レッグトリガーで武装している仮面ライダーBLACK RXの永遠のライバル――――シャドームーン!!

 狼鬼を含めたこの五人にはある共通項がある……それは、誰もがレジェンド達と戦いながらも、誇り高い戦士だったということだ。

 彼ら五人を代表してシャドームーンがシドへ近づき

「――――貴様の先程の怨嗟の叫び、確かに我々が聞き届けた……故に、選べ――ここで安易な死を選ぶか、それとも……果てのない修羅の道を選ぶかを。
 後者を選ぶというのなら、その為の力を我々がお前にくれてやる」

「何故、お前たちと何の関係もない俺にそこまでする?」

「フン、貴様にそこまで話す義理はない……と言いたいところだが、ただ一人で戦い、敵対した連中に殺されかけている貴様の境遇がどこか我々に似ているからだ」

 冷暖な声でシドの問いに珍しく返答を返すシャドームーン。

 それを聞き、シドは

「……そうだな、ザンギャックを潰すためなら果てのない修羅の道だろうと歩んでやる!!」

 修羅の道を歩むことを選択した!!

 その返答を聞き、シャドームーンは柄・刀身共に黒で統一されている両刃の剣と同色の鞘、一つのレジェンドキーを差し出す。

「――――これを使い、お前は孤高の修羅となれ!!」

 それをシドが受け取ったと同時にシャドームーン達の体が光に包まれてレジェンドキーとなり、彼の手元に舞い降りる。

 それと同時にこの空間も消滅する。





 黒い光が収まった時、そこには――――

「――――掛かって来い、ザンギャック。貴様らの最大の敵は赤き海賊団ではなく、この俺だということを教えてやる!!」

 黒のカラーリンクに赤いゴーグル、黒いマントを着用した――――ゴーカイブラックの姿があった!!

『ズゴー!?』

 追撃対象の突然の変身に驚いてしまう追撃部隊。

 しかし、気を取り直して光線をゴーカイブラックに向けて放つ。

 だが――――

「――――ハァッ!!」

 ゴーカイブラックは自身専用の武装であるゴーカイブレードを取り出し、弾き返す!!

 弾き返された光線に当たり、吹き飛ぶ追撃部隊。

 それによってできた隙を使い、ゴーカイバックルに一つのレジェンドキーを入れ

「――――豪快チェンジ!!」

【ガ――オ、レンジャー!!】

 彼の叫びと電子音声が鳴り響き、黒い光がゴーカイブラックを覆った次の瞬間、そこにはガオレンジャー達と戦った狼鬼の姿へと変わっていた。

 そして、ゴーカイブレードから三日月剣へと変わった獲物を構え

「――――クレセントウェーブ!!」

 追撃部隊たちへ必殺技を放つ。

 その技の威力はかつてガオレンジャーを苦しめた時と何ら変わりはない。

 故に、追撃部隊に訪れる運命は爆発という名の死。

 爆炎を背に、狼鬼からゴーカイブラックへと姿が戻る。

 今ここに、正史では存在しない孤高の修羅・ゴーカイブラックが誕生した!!



[28701] 疾風、列火‼ 復活、歴戦の戦士‼
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/06 20:40
 地球の周辺の宙域でザンギャックの艦隊の残骸が転がっている。

 そして、それを月面で見ている姿がある――――宇宙開発の為に自ら志願して改造人間となった仮面ライダースーパー1!

 レジェンド大戦以降、姿が見られなかった彼は

「――――ザンギャックの艦隊と戦ったあのロボット。どう見ても、スーパー戦隊たちのロボットに酷似している……一体どういうことだ?
 いや、その前にザンギャックが再び動き出したことを知らせなければ!!」

 一瞬だけ、ゴーカイオーに疑問を抱いたが、再び迫ってきた地球の危機を優先させるべくVジェットを駆ってネジレジアとの最終決戦で破壊されたが、再建したI.N.E.Tの活動拠点である月面基地に向かう。

 本来ならば、スーパー1も日常の世界で生きている戦士たちを再び戦場へ戻すことに躊躇いはある。が、人々を護るために絶望の中で何度も立ち上がった彼らならばそれでも戦ってくれると信じて。





 一方、地球ではザンギャックが本格的な地球侵略を再び開始していた。

 そして、レジェンド大戦の時に目撃されていなかった行動隊長の姿もあった。

 ビルは壊され、それによって生じた火が人々を襲う。

 そんな中を逃げていた子供たちと二人の先生をシカバネンが見つける。

 かつて、ヒーロー達が戦った怪人のように、シカバネンも彼らを痛めつけ、恐怖に引き攣った顔を見て悦に浸っている。

 その様を見て、不快感を覚える地球に降り立っていたゴーカイジャーの5人。

 その中でもキャプテンであるマーベラスは、カレーを食い損ねたことで機嫌が悪いのも重なって、ぶっ潰そうかと思いかけた時――――

「「――――待てィ!!」」

 その場にいたザンギャック、逃げ惑う人々、ゴーカイジャーの全員が思わず止まってしまう程の威圧感溢れる声が辺りに木霊する。

「……なっ、何者だ!?」

 真っ先に動き始めたシカバネンが、声があった方向を見ると、そこには逆光を背にした二人の男がいた。

 一人は高齢でありながらも弱さではなく凄みを感じさせ、もう一人は若いが、その佇まいからは多くの激戦を潜り抜けてきた者にのみ宿る気迫がある。

「「ザンギャック、お前たちが何度この地球を侵略しようとも我々と新しく生まれた戦士たちがいる限り、そんな野望など叶いはしない!!」」

「え、ええい、そんなに死にたいのなら貴様らから殺してやる」

 突然現れた二人の言葉に怖気づいたのを認めたくないのかシカバネンは光線と爆弾を彼らに向けて放つ。

 それらは二人に向けて逸れることなく、直撃して彼らのいた場所を爆発で包み込む。

「……フ、フハハハハハハ!! 大きな口を叩いておいてこの程度――――」

 その様を見てシカバネンは大笑いを上げたが

「「ゴー!!/ライダァァァ、変身!!」」

 その笑いは爆発の中から聞こえてきた掛け声に遮られる。

 そして、爆発が消えたその場にいたのは

「「アカレンジャー!!/仮面ライダー1号!!」」

 レジェンド大戦で戦士たちを率いて戦った赤と緑の戦士の姿があった!

 それを見て

「き、貴様らは先の地球侵略で我々の大艦隊を退けた者共――――!!」

「……おい、マーベラス。緑の方は兎も角、赤の方は――――」

「わかってる……だが、一体どうなってやがる。あのレジェンドキーは船の中にある筈だ」

「先生、あれって?」

「地球で初めて結成されたスーパー戦隊、秘密戦隊ゴレンジャーのリーダー・アカレンジャーとそんな彼らよりも前から戦っていた仮面ライダーを率いて戦ったリーダー・1号ライダー……でも、レジェンド大戦以降姿を消していた彼らが何故?」

 この場にいた誰もが驚愕に包まれる。





「「――――トォ!!」」

 その場の全員が動けない中、アカレンジャーと1号ライダーはザンギャックへと飛び掛かる。

「え、ええい、ゴーミン共、奴らを倒せぇ!!」

 行動隊長であるシカバネンは、部下であるゴーミンたちをアカレンジャー達に攻撃させる。

 だが――――

『ズゴ~!?』

 歴戦の――――それも、技に秀でたアカレンジャーと1号の多彩な技がゴーミン達を圧倒する。

 そんな彼らの姿を見ているゴーカイジャーは

「……あいつら、相当できるな」

「へぇ、ジョーが他人を褒めるなんて珍しいじゃん」

「でも、ジョーさんが言う様に本当に強い方々ですね」

「いや、ジョーもアイムも褒めるより先に、さっさとあの人達がザンギャックの相手をしている内に地球から逃げようよ!! ねぇ、マーベラス!?」

 ドン……通称、ハカセは生来の臆病さからアカレンジャー達が戦っている内に逃げようとマーベラスに促すが、彼は――――

「黙ってろ、ハカセ。今は、どうしてアイツがレジェンドキーも持ってねぇのにあの姿になれるか知るのが先だ。
 それに、ザンギャックがいる程度で宇宙最大のお宝を諦めてたまるか」

 それに反対し、アカレンジャー達の戦いに見入っている。

 一見、アカレンジャーと1号は各々でゴーミン達を撃退しているように見えるが実際は違う。

 如何に体を鍛え続けても老いによって齎される衰えは隠せないのか、アカレンジャーの動きは徐々に精密さを欠いている。

 だが、それをザンギャックに気取らせないよう、彼同様に技に秀でた1号が自然な形でフォローしている。

 それに気づけたのはこの場にいる中でもマーベラス、ジョー、ルカの三人。

 しかし、それは自分たちが彼らと戦っていないのと離れている所で見ているからだ。

 仮に、自分たちが戦っていたら見抜けたかどうかは分からないだろう。

「「――――トォァ!!」」

『ズゴ~!?』

 最後に残ったズゴーミンがアカレンジャーと1号の蹴りで吹き飛ばされる。

「……フン、多少は驚かされたが我々だけ相手にしていていいのか?」

 ズゴーミン達が戦っている間に余裕を取り戻したシカバネンが光線と爆弾を……未だ逃げていなかった子供たちの方へと放つ。

「「――――いかん!!」」

 それを見たアカレンジャーと1号は彼らを庇うために動こうとするが彼らと子供たちまでには距離がある。

 それは、如何に彼らが速く動こうと間に合わない……そう予測して放ったシカバネンの攻撃だった。

 だが、護るべき人々がいる限り、彼らはそんな常識を覆す!

 アカレンジャーと1号は己が身を盾と化し、子供たちを庇う。

 そのおかげで子供たちには傷一つない……だが、アカレンジャーと1号は

「「――――グッ!!」」

 直撃したせいか地面に片膝をつけてしまう。

「ハハハハハ、足手纏いの奴らを庇うとは馬鹿な奴らだ」

 その様を見たシカバネンは嘲笑する。

 真正面から戦えば自分もズゴーミン達のように倒されるかもしれない程の強い相手が無様な姿をさらしているからだろう。

『……あ、ああ』

 そして、この状況を生み出してしまった子供たちは絶句してしまう。

 自分たちを助けるためにヒーローが悪にやられている……その事実が彼らの目から涙を流させようとして

「「――――泣くな、私達があんな卑怯な奴にやられると思うか?」」

 アカレンジャーと1号の言葉がそれを押し止める。

『で、でも、僕たちを護るためにアカレンジャーと1号ライダーは……』

「「それは違う、護るべき君達がいるから我々は戦えるんだ。そして、戦いが終わらない限り、我々は死なない!」」

 アカレンジャーと1号はその言葉を証明するかのように立ち上がり、シカバネンに向き合う。

「ば、馬鹿な!? あれだけの攻撃を受けて立ち上がるだと!!」

 立ち上がった二人の姿に悪寒が走り、我知らず後ずさるシカバネン。

 しかし、今シカバネンが感じているのはレジェンド達と敵対した相手が例外なく感じた恐怖。

 それを振り払いたいのか

「こ、の……死にぞこない共がぁぁぁぁぁ!!」

 再び光線と爆弾を後ろに子供たちがいるので避けれないだろうという下劣な考えの元に放つ。

 だが、先程のように子供たちと距離があったのならば兎も角、背後に護るべき人が居る限り――――

「――――レッドビュート!!」

 彼らが負けることはない!!

「な、何だと!? 爆弾は兎も角、光線を鞭で弾くなど有り得――――」

「シカバネン、どこを見ている!! トォ!!」

 アカレンジャーによって自分の攻撃が弾かれて驚愕しているシカバネンに疾風の如く接近して、拳を叩き込む1号。

「ガアッ……!! お、おの――――」

「ライダー、パァァァンチ!!」

 何かを言おうとするシカバネンに1号は容赦なく必殺技を放つ。

 それを受けて吹き飛ぶシカバネン。

「行くぞ、アカレンジャー!!」

「おお、1号ライダー!!」

「「――――トォ!!」」

「……グッ、なんて強さだあいつら。ここは一端引いて――――!?」

 吹き飛ばされた先で何とか起き上ったシカバネンの目に映ったのは赤と緑の光を宿し、必殺の蹴りを放とうとするアカレンジャーと1号ライダーの姿!!

「ダブル、キィ――――ック!!」

「――――ガァァァ!!」

 彼らの攻撃を受けて数十メートル吹き飛び、爆発するシカバネン。

 それを見届けてこの場を去ろうとするアカレンジャーと1号だったが――――

「おい、おまえら……特に、赤いほうの奴。何で、レジェンドキーとモバイレーツもないのにその姿に変身できる?」

 それを遮るようにマーベラスが彼らの前に立ち塞がる。

 そんな彼を見て、光と共に変身を解く海城剛と本郷猛。

 果たして、彼らとの出会いはゴーカイジャーに何を齎すのだろうか?





 後書き ゴーカイジャーの第一話を自分風に変換してみました。どうでしたでしょうか?



[28701] 幕間 No1
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/07 18:01
 海城剛と本郷猛――――その正体はアカレンジャーと仮面ライダー1号。

 そんな歴戦の戦士とゴーカイジャーは出会った。

 だが、彼らの戦歴を知らないマーベラスは尊敬の念を抱くことなくいつもの口調で尋ねる。

 何故、レジェンドキーとモバイレーツが無いのにアカレンジャーの姿になれたのか? と。

「……その問いに答える前に、何か食べないか?」

「はぁ? 何言ってんだ、俺は何であの姿になれたのかって――――」

 海城剛の返しに訳が分からず、再度尋ねようとしたマーベラスの腹がグゥ、と鳴る。

「ついてくるといい。……ああ、心配しなくとも我々の驕りだから遠慮しないでくれ」

 その様を見て、少し笑って自分たちについてくるように促して先を本郷猛と共に歩く。

「……チッ、腹が減ってんのは事実だから仕方ねぇか。おい、アイツらについていくぞ」

「まぁ、ただで食べれるってんならいいけどね」

「強いだけでなく、見知らぬ私達にここまで親切にしてくれるなんて良い方々ですね」

 そんな二人の後ろをマーベラスとルカ、アイムは何の躊躇いもなくついていく。

 そんな三人をみてハカセはジョーに一縷の望みを懸けて尋ねる。

「う~ん、アイムは兎も角としてマーベラスやルカまで、不用心すぎるよ。ねぇ、ジョーもそう思うだろ?」

「……諦めろ、ハカセ。マーベラスが一度決めたことを取り下げたことがあったか?」

 ハカセの肩を軽く叩き、三人の後ろに続いていくジョー。

「……ま、待ってよぉ、皆ぁぁぁぁ」

 そんな彼らを慌てて追いかけるハカセ。





 二人の後をついて行ったゴーカイジャーが辿り着いたのは、スナック・ゴン。

 ゴーカイジャーの彼らは知らないが、ここはゴレンジャーが黒十字軍と激闘を繰り広げた際に地下が指令室として使われた場所でもある。

「おう。大ちゃん、今帰ったぞ」

「お疲れ、海城どん。カレーが今出来上がった所じゃが、食べるかのう?」

「いや、俺は食べないがこの五人に食べさせてやってくれ」

「了解じゃ。……ああ、そういえば本郷どんに、懐かしい人が会いに来られとる」

 カウンター席でカレーの煮込みをしていた大岩大太は海城の言葉を聞き、気さくに返答を返しながらカレーライスを皿に盛りながら、思い出したかのように本郷へ告げる。

「ムッ、俺に。それも懐かしい人となると……おやっさんか滝だが――――」

「「――――猛/本郷、久しぶりだな」」

 一瞬、考え込む本郷に老齢といっても差し障りの無い老人と海城同様の歳に見える男が奥の席から声をかける。

 彼らはショッカーから続くバダンとの戦いで師事してくれ、人でありながら共に戦った仲間。

「……ん? 後ろにいる奴らは見ない顔だけど一体誰なんだ、猛?」

「……ああ、彼らは宇宙から来た――海賊ですよ」

「「「な、何で知ってんの/知ってるのさ/知っているのですか!?」」」

 おやっさんの質問に本郷があっさりと自分たちの素性を知っていたことにルカ、ハカセ、アイムの三人は驚く。

 だが――――

「少し、落ち着け。ハカセやアイムは兎も角、ルカ……お前まで驚いてどうする。地球にも宇宙警察がいることぐらい知っているだろう」

 直ぐにジョーが落ち着かせるためにネタをばらす。

「「「……あ、もしかして?」」」

「――――そういうことだ。レジェンドキーも無しに変身してザンギャックと戦っているこいつなら、同じようにザンギャックと敵対している宇宙警察との繋がりがあってもおかしくねぇ。
 そして、ザンギャックが態々賞金首にしている俺たちのことを宇宙警察が調べているなら、知ってるだろうよ……そんな事より、カレーはまだか?」

「おお、待たせてすまんかったのう。お待ちどうさん、お代わりもあるから遠慮せずに食ってくれ」

 マーベラスがいらいらしだしたのを見計らったかのように、大太がカウンターからカレー皿を5つ彼らの前に置く。

「それじゃあ、儂も久しぶりにコーヒーを沸かすとしよう。大ちゃん、カウンターを借りてもいいかな?」

「おお、藤兵衛のおやっさんのコーヒーが飲めるなんておまんら運がいいのぉ」

 そう言いながら、おやっさんと入れ替わるようにカウンターから出る大太。

 それから暫くして、この場にいる全員の分のコーヒーが配られる。

 それは、戦士たちにとっての一時の休息。





 後書き 今回は幕間にしてみました……主にカレーネタでキレンジャーの方を出させてみましたが、食べるのではなく作るようにしてみました。





[28701] 地球の戦士との激突! そして現れる光の戦士!
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:ec2de870
Date: 2011/07/10 22:00
「さて、カレーってのとコーヒーとやらも食ったことだし、いい加減教えてもらおうか。何で、おまえらがあんな力を持っているのか」

 食事を終えて腹が落ち着き、一服したので海城剛と本郷猛にマーベラスは不敵に問う。

「……海城、彼らがスーパー戦隊の力を受け継いだというのなら俺よりもお前から説明した方が良いだろう」

「ああ、分かっている。しかし、どこから離したものか。
 君たちはレジェンド大戦……いや、ザンギャックが以前にこの地球を侵略しようとしたことを知っているかな?」

「レジェンド大戦にスーパー戦隊とやらは知らねぇが、ザンギャックが俺達の来るより前に侵略したってのは風の噂で聞いたことはある」

 海城剛の言葉にふと思い出したかのようにマーベラスは呟く。

 それを聞いて我が意を得たかのように

「そう、数年前にザンギャックが地球に侵略に来た時、この星を長年守り続けてきた戦士たちが奴らと戦い、撃退した……この時の戦いがレジェンド大戦。
 そして、その戦士たちの中で五色の戦士が一丸となって悪と戦ったのがスーパー戦隊だ」

 海城剛がマーベラスの知らない部分を補足する。

「なるほど、少しはわかった……だが、そこの奴が変身した姿は一体なんだ? おい、お前さっきから黙ってねぇでなんとか言え」

 しかし、それだけでは納得がいかないのか本郷猛にも尋ねるが

「……君たちの言動から察するに俺の変身した姿を模したレジェンドキーを持っていないようだな」

「ああ? 一体それがどうだっていうんだ」

「それなら、君たちが俺や一文字、後輩たちの変身した姿のレジェンドキーを持った時に話そう」

 仮面ライダーの実質的のリーダーである彼は冷静に状況を判断し、合理的な答えを返す。

「テメェ、答えをはぐらかしてんじゃねぇ――――」

 その答えに納得がいかずに、本郷猛の方へ近づこうとした時、血の色をした蝙蝠がマーベラスの視界を遮る。

「――――本郷、ザンギャックとかいう無礼者がまた出てきたぞ」

「そうか、知らせてくれて感謝するキバットバットⅡ世。ところで、今回は一体誰が動いている」

「協調性がない馬鹿共と、そいつらのフォローに他のカブトの戦士たちが一緒に行った」

「天道に茂か、はぁ……」

「ま、まぁ、甲斐君に剣崎君、鳥羽君がいれば……すまん」

 キバットバットⅡ世の言葉を聞いて、本郷は溜息交じりに、海城は最初こそ大丈夫だと思い、訂正して謝罪の言葉を呟いた。

 確かに、天道総司に城茂という後輩のライダーの中でも一、二を争う我が強い後輩ライダーを抑えるのに彼らでは不可能。

 と、言うよりも彼らを抑えられるのはライダーの中でも本郷か、風見ぐらいだろう。

「「話の途中で本当にすまないが、我々は行かなければならなくなったので失礼する」」

 そう言ってスナック・ゴンから本郷と海城が出て行こうとし

「おい。さっきもそうだったが、何でテメェらはザンギャックと命を懸けてまで戦おうとする。
 アイツらは宇宙全土を支配しようかって程の奴らだ……そんな相手と何で戦う?」

 マーベラスの言葉で立ち止まる。

「「私たちをこの地球に住む人々が必要とし、助けを求めている。だから、戦う……ただ、それだけのことだ。
 君達とて、何か譲れないモノの為にザンギャックから賞金首にされたのではないのか?」

 そう言って、今度こそ彼らはザンギャックと戦っている後輩たちの元へ向かう。

 その後ろ姿を見て、何か思うところがあったのか

「……おい、おまえら。腹ごなしに、ひと暴れする気はねぇか?」

 マーベラスはクルーである仲間に尋ねる。

 そして、彼らがマーベラスに返した返答は――――





 一方、宇宙の司令部旗艦ギガンドホースではシカバネンがやられたのを知った司令官ワルズギルは

「何だ、シカバネンをあっさりと返り討ちにしたあいつらは? 地球にあんな奴がいるなど俺は聞いてないぞ……一体どういうことだ、ダマラス?」

 参謀長であるダマラスに尋ねていた。

「殿下、今回の地球侵略を任されたというのに敵の戦力も確認していなかったのですか?」

「う、うるさい、質問に質問で返すな! そんなことより、アイツらはいったいなんなんだ」

 内心では呆れ果てながらも、形式上では上官なのでそんなことは悟らせないように話し出すダマラス。

「……あの者たちは、我々ザンギャックの侵略の歴史でも類を見ない程の大規模な戦力を送り込んだ前回の地球侵略で抵抗し、更には退けた地球の戦力である戦士たちを纏め上げて戦っていた二人です」

「……ほう、珍しいではないか。ダマラス、お前が我らザンギャックの汚点といってもいい戦いを憤らずに喋るとは」

 そんな彼の話口調を珍しく思い、それを問う。

「遺憾ながら、我々の戦力……ズゴーミンとゴーミンの混成部隊で行動隊長がいなかったとはいえ、あの大規模の部隊を退けた地球の戦士たちは敵ながら称賛に値します。
 例え、皇帝陛下直属の者でもあやつらと一対一で戦えば負けるほど……それらを相手にして負けたのは当然でしょう」

「な、何!? ち、父上直属の者でもやられるというのか?」

「ええ。ですから、その戦士たちが護るこの地球を支配できた暁には、殿下が次期皇帝の座は確実でしょう」

「そ、そうだな。ダマラスがそこまでいう奴らを倒して地球を支配すれば、父上もお喜びになり、俺も次期皇帝の座は間違いなし……いいぞ、よく教えてくれたダマラス!」

 歓喜の声を上げるワルズギルを尻目にダマラスは内心で安堵していた。

(……やれやれ、このバカ皇子は本当に乗せやすい。あのままでは本国に連絡してしまうところだった。そうなれば、地球を侵略ではなく殲滅戦へとなってしまう。
 それでは、私がわざわざバカ皇子の下に来てまで願った本来の目的――地球の戦士たちとの闘いが出来なくなる)

「さて、それでは今回の行動隊長のボンガンの様子を見、る、と……」

 ワルズギルがスクリーンに映っているボンガンの様子を見て絶句する。

 何故なら、彼の眼前に映っている光景は――――





「――――太陽の輝きを知るがいい」

 太陽の神――仮面ライダーカブトがそう呟いた次の瞬間には、複数のゴーミンが一斉に空中へと吹き飛ばされて爆発する。

「ゴーミンだろうが、ズゴーミンだろうが、行動隊長だろうが、一人残らずブッ飛ばしてやるから、さっさと掛かって来いや!」

 天に召された女と地に眠った男との誓いの為に、平和が訪れるまで戦い続ける正義の戦士・仮面ライダーストロンガーの超電子、電気技が惜しみなく解き放たれる。

「戦えない全ての人の為に、ザンギャック――お前たちは俺が倒す!」

 最悪の運命を己が力で切り開き、友の為に自らを人からアンデットになっても人の心を失わず、ライダーとして再び戦場に舞い戻った仮面ライダーブレイドの剣が唸りを上げる。

「尊い犠牲の元に成り立った地球の平和とこれからの未来をお前たちのような侵略者に踏み躙らせるものか!」

「そうだ、人と自然が美しく調和したこの星を簡単に破壊しようとするお前らを俺は絶対に許さねぇ」

 青と黄色の昆虫戦士が放つ二筋の斬撃が最後に残ったズゴーミンたちを吹き飛ばす。

「お、おのれ、これでも喰ら――――」

「「――――トォッ!」」

 ボンガンが五人の戦士の強さを目のあたりにして、怯えながらも攻撃を仕掛けようとするが、アカレンジャーと1号ライダーの蹴りで失敗する。

「え、ええい、シカバネンの奴を倒した奴らまで来たのか……ん?」

 二人の蹴りで体勢を崩しかけるが、何とか体制を整えたボンガンの目に地球の戦士とは別の5つの人影が映る。

「ヘッ、邪魔するぜ」

「……全く、わざわざこっちから面倒ごとに首を突っ込まなくてもいいものを」

「そんなこと言いながら、ジョーも結局ついてきてるじゃん」

「いいではないですか、あの方々にはこの星に来て間もない私たちに無償でご飯を食べさせて下さったのです。
 その恩を返さずに、ただ去るのは失礼でしょう」

「マーベラスやルカ、アイムにジョーまで……でも、僕もザンギャックは大っ嫌いだからさっさとやっつけちゃおう」

 それはスーパー戦隊の力を受け継いだ若者たちの姿。

 彼らは懐からモバイレーツとレジェンドキーを取りだし、叫ぶ。

『――――豪快チェンジ!』

【ゴ――――カイジャー!】

 電子音声と共に彼らの体が赤、青、黄、緑、桃色――五色の光に包まれて、それが晴れた時、

『ゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、ゴーカイピンク。 海賊戦隊、ゴーカイジャー!』

 そこには、35番目のスーパー戦隊――海賊戦隊・ゴーカイジャーの姿があった。

「――派手に行くぜ!」

 ゴーカイレッドのその言葉によって、地球において初めてのゴーカイジャーの戦いが、今幕を開けた。





「き、貴様ら、こんなことをしてどうなるか分かっているのか?」

 地球の戦士たちの強さを前に負けが確定しかけている戦場に、かねてからザンギャックの邪魔をしていた宇宙海賊の登場に驚きを隠せないボンガンは彼らに脅しを賭ける。

 だが、脅しとは相手が自身より弱い時に成り立つ行為。

 現状のボンガンの脅しには何の効果もない。

そして、前回の地球侵略の結果を海城剛――アカレンジャーから聞いた今となっては、背後の戦力であるザンギャックを利用しての脅しも無意味。

「ヘッ、気にいらねぇヤツはぶっ潰す! それが海賊ってもんだ」

 そう言って、ボンガンに向かって行くゴーカイレッドの後にゴーカイジャーの残りのメンバーも続いて行く。

 だが――――

「……クロック、アップ」

《CLOCK UP》

 仮面ライダーカブトの呟きと電子音声が鳴り響くと同時に姿が消える。

「――――ガッ、ガッ、ガァァァ!」

 次の瞬間、先程のゴーミンたちの様に空中に何度も吹き飛ばされて地面に激突するボンガン。

《CLOCK OVER》

「この地球をザンギャックから護るのに、お前たちのような海賊など必要無い」

 再び現れたカブトがゴーカイジャーに告げたのは一切の妥協なき拒絶。

「……いつ俺たちがこの星を護るだなんて言った? 俺たちはザンギャックが気にいらねぇからぶっ潰すだけだ」

「フン、そんな短慮なヤツが戦場に立てばこちらにとって足手纏いだ。さっさとこの場から消えろ」

 買い言葉に売り言葉、どちらとも譲る気のない彼らの会話は穏やかではないものに変わっていく。

 ゴーカイレッドとカブトの二人が一触即発になりそうな時

「……お、おのれェェェェ。これでも、喰らえェェェェェェ!」

 起き上ったボンガンが自身の武装を一斉発射する。

 アカレンジャーと1号ライダーが倒したシカバネンと同じような攻撃が、ゴーカイレッドとカブトに向かって行くが

「「――――うるさい/うるせぇ!」」

 その全てをゴーカイレッドはゴーカイサーベルとゴーカイガンで、カブトはカブトクナイガンのクナイモードでボンガンへと弾き返す。

「……は? ちょ、ちょっと待てェェェェ!」

 ボンガンは自分の攻撃がこうもあっさりと跳ね返されたのに一瞬驚き、焦って逃げようとするが間に合わずに直撃を喰らう。

「さて、邪魔なヤツもこれで暫くは手を出せねぇ。どっちがこの場にいたら足手纏いかどうか白黒つけようぜ」

「……いいだろう、身の程というものを教えてやる」

 邪魔が入らないことを確認し、ゴーカイレッドとカブトは気にいらないお互いを叩きのめすべく構える。

「おい、お前ら絶対手ぇだすんじゃねぇぞ/手出しは無用だ」

 そして、二人はこの場にいる仲間に助けはいらない事を告げて闘いだす。

 お互いに不得手がない彼らは己が武器を状況に応じて使い分け、五分の状況を作り出す。

「ヘッ、やるじぇねぇか。大口をたたくだけの事はあるな」

「……この程度を俺の実力と思っている時点でお前が弱いのは良く分かった――――クロック、アップ」

《CLOCK UP》

 だが、カブトがベルトのスイッチを押して電子音声が鳴ると共に戦況は変わる。

「何ィ、ガ、ガッ、ガァァァァ――――!」

 先程のボンガンの二の舞となるゴーカイレッドだが

「チッ、動きについていけねぇってんならこいつだ」

 ゴーカイバックルからターボレッドのレジェンドキーを取り出し、モバイレーツに差し込む。

「――――豪快チェンジ!」

【タ――――ボレンジャー!】

 モバイレ―ツの電子音声が鳴り響くと共にその姿はターボレッドへと姿を変える。

「――――行くぜ!」

 そして、ターボレンジャー固有の速さでカブトに追いつこうとするが

「何? あの野郎がどこにもいねぇだと」

 カブトの姿が見当たらず、困惑するゴーカイレッド。

 彼は知らない、カブトの速さが単なる高速移動ではなく、時間流を操作する事によって得られる速さだという事を。

「……ライダー、キック!」

《Rider Kick》

 カブトの速さについていけないまま、カブトの後方からの跳び蹴りに対応することができず――――

「ウワァァァ――――!」

 直撃を喰らって、光と共にターボレッドからゴーカイレッドの姿に戻る。

《CLOCK OVER》

 それと同時にカブトもクロックアップを解き、姿を現す。

「どうした、さっきまでの威勢はどこにいった……それとも自分が足手纏いだということに気付いたか?」

「……ヘッ、自分が少し速い程度で調子に乗ってんじゃねぇぞ」

 ゴーカイレッドはゴーカイサーベルを支えにゆっくりと起き上がる。

 その様を見て何かを感じたのか、カブトは追撃をしかけようとしない。

「――――貴様らは、ここで死ねェェェェ!」

 だが、それを邪魔するかのように巨大な光線がその場にいた全員を襲う。

『ウワァァァ――――!』

 それによって起こった爆発を受けるレジェンド達とゴーカイジャー。

「クッ、何がどうなってやがる?」

 爆発の衝撃から立ち上がり、攻撃が来た方向を見てみるとそこには巨大化したボンガンの姿があった。

「ハハハ、見たか。インサーン様によって巨大化させてもらった今の俺に貴様らなど敵ではないわ!」

 巨大化したことによって得た力に酔ったかのように叫ぶボンガン。

 だが、それを打ち砕くかのように上空から赤と黒が入り混じった光球がぶつかって来た。

 そして、その光が解かれた時――――

「……………………」

 そこには、かつてのウルトラ戦士たち同様の赤、銀……そして、黒の体色、赤黒く変色したボロボロのウルトラマントを着用している姿があった。

「……お、おのれ、奴らを殺す所に邪魔しおって――――死ねェェェ!」

 何度も吹き飛ばされ続けた事に、苛立ちを抑えきれずにボンガンはウルトラ戦士らしき存在に攻撃を放つ。

 それを見て、マントを右上腕部にある銀の腕輪に収納して上空へ跳ぶが

「無駄、無駄。この銃弾は全てホーミング式だ、空中に飛んだところで避けられはせん」

 銃弾は、彼にピッタリと追尾していく。

「――――ハァァァァァァァ!」

 回避できないと悟った途端、銃弾に……そして、その先にいるボンガンめがけて足に電撃を纏わせて蹴りを放つ。

 その蹴りの威力の前に銃弾は爆発し、更に爆炎の中を突き破ってボンガンへと直撃する。

「グワァァァァァァ――――!」

 銃弾を撃破した所為で多少威力が減少したせいか、致命傷にはならないモノの重傷には変わりない。

 そんなボンガンに止めを刺すべく、両手をL字型に組んで金色の光線を発射する。

 先程の蹴りで避けることも出来ず、光線の直撃を受けたボンガンが無事に済む筈なく、爆発する。

 それを見届けると、光と共に彼は姿を消した。

「一体何だったんだ、アイツは? おい、お前ら何か知って――――」

 姿を消したウルトラ戦士に似た存在の正体を地球の戦士たちに聞こうとして、言葉を失う。

 何故なら、その場にはゴーカイジャーのメンバー以外、誰もいなかったのだから。

 そして、彼ら以外にもウルトラ戦士に似た姿を見ていた者がいた。

 彼の名はウルトラマン、地球での名はハヤタ・シン。

「あれは、ウルトラマンオウル。しかし、彼は自ら強大な宇宙怪獣がいる場所へ向かった筈だが……」












 後書き 漸くゴーカイジャーを変身させれました!!

 それと、今回はカブト虫をモチーフとした戦士を登場させてみましたがどうだったでしょうか?
 
 カブトなら、最初はゴ-カイジャーを認めないキャラとして良いかなーと思い、ついでに全カブト虫戦士を出してみようと思って出しました。

 そして、最後に出させたウルトラ戦士はオリジナルですが……いかがだったでしょうか?

 キックはレオとゼロが炎を纏ってるので、このキャラは雷にさせました。



[28701] 幕間 No2
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:ec2de870
Date: 2011/07/11 22:57
 広大な大海原を航海する漆黒の船があった。

 その名は――――ゴーカイフリゲート、ゴーカイブラック専用のフリゲート船型スペースマシンにして、彼の生活および活動拠点である。

 その艦内には、ゴーカイブラックであるシド・バミックの姿と――――

『シド。直グ近クノ惑星デ、レジェンドキーノ反応。ソレト……フリージョーカーノ反応ガアルガ、ドウスル?』

 この船の航海・索敵システムを担当しているノーザンクロスの電子音声が響いていた。

 シドは生粋の剣士であり、それ以外の所も大抵は出来るが専門家に比べれば少し劣る。

 それを補う形でノーザンクロスがいるのだ。

「私掠船があるという事は、あの泥棒……バスコもいるということか。ノーザンクロス、レジェンドキーが何か判別できるか?」

『無論。私ニトッテ、ソノ程度ノ事は容易イ……判別終了。今回ノレジェンドキーハ、外道シンケンレッド』

「それは、確か……シンケンジャーの戦士だったか。ノーザンクロス、映像を頼む」

 シドが頼むと直ぐにノーザンクロスはスクリーンに外道シンケンレッドの映像を流す。

 その映像を見て剣士である彼の血は、自然と騒ぐ。

 本来のシンケンレッドの意思がないとは言え、戦士としての強さを身体に刻み込んでいる剣技を見て騒がない方が無理だろう。

「ノーザンクロス、その惑星に向かって舵を切れ。
 赤の海賊団の後継者であるゴーカイジャーならば兎も角、バスコなどにレジェンドキーをくれてやる訳にはいかん」

『――――了解』

 ノーザンクロスの返答と共にゴーカイフリゲートはアナザーレジェンドキーの一つである外道シンケンレッドの反応がある惑星へと舵を切る。

 それは同時にバスコとの戦いを意味していた。





「――――ウワァァァァ!」

「だから、言ったのに。怪我しない内にさっさとその力を渡せって……全く強情だね~。
 そもそも、その力は君のモノじゃないし、命を賭けてまで護るものじゃないでしょ」

 外道シンケンレッドの姿に変身した誰かが、バスコによって召喚された装甲ジーク、デカブライト、ダークゴセイナイトの攻撃を受けて吹き飛ばされていた。

「……た、例えこの力が僕のモノで無いとしても貴方のような人には渡す訳にはいかない。
 ザンギャックに攻められていたこの星を護る為に、この力を僕に託してくれたアカレッドさんの為にも!」

 シンケンマルを支えに立ち上がり、三人の戦士に闘う姿勢を見せる外道シンケンレッド。

 だが、彼の言った言葉に

「へぇ、消息不明となった今も俺の宇宙最大のお宝を集める邪魔をしてくれるんだ……ムカついたんでここからは遠慮なしで行かせてもらうよ」

 アカレッドというバスコにとっては忌まわしき名を聞き、怒りを覚えるバスコ。

 その怒りに連動したかのように装甲ジーク、デカブライド、ダークゴセイナイトの攻撃が強くなる。

 それを防ぐために、シンケンマルを烈火大斬刀へと変化させ、盾として使用する。

「クッ――――!」

 だが、徐々に三人の猛攻の前に烈火大斬刀を持ってしても耐えられなくなってくる。

 本来の変身者であるシンケンレッドならば、この状況を覆せるのかもしれない。

 だが、現在の外道シンケンレッドにはそこまでの実力はない。

 このままでは、変身が解かれて外道シンケンレッドのレジェンドキーはバスコに奪われてしまう。

 その時――――

『――――!』

 黒い斬撃が装甲ジーク、デカブライト、ダークゴセイナイトの三人に襲いかかって吹き飛ばした。

 その斬撃に見覚えがあるのか、バスコは

「あらら、厄介な人が来ちゃったね~……久しぶりぃ、シドちゃん」

 斬撃が来た……後ろの崖の方を振り向きながら声をかける。

 そこにはバスコの予測通り、黒一色で統一された格好のシドがゴーカイブレードと一つのレジェンドキーを持ったシドの姿があった。

「貴様に慣れ慣れしく呼ばれる筋合いはない。そして、貴様が彼から奪おうとしている様を黙って見ているつもりもない」

 そう言って、崖から飛び降りながらレジェンドキーを空に掲げて叫ぶ。

「――――豪快チェンジ!」

【ゴ――――カイジャー!】

 レジェンドキーから溢れ出た黒い光が彼を包み、それが晴れるとそこには孤高の修羅・ゴーカイブラックの姿があった。

「――――立て、その戦士の力を仮にも引き継いだのならば不様な姿を晒すな」

「……は、はい!」

 外道シンケンレッドの傍まで来て激動の言葉をかけるゴーカイブラック。

 それを受けて、立ち上がる外道シンケンレッド。

「へぇ、シドちゃんはそいつを助けるつもり? ……足手纏いにしかならないそいつを。
 まぁ、それはそれで構わないけどね……シドちゃんが持ってるレアなレジェンドキーを手に入れられそうだしね」

「……自惚れるなよ、バスコ。貴様が召喚するレジェンドなど魂のない操り人形にしか過ぎん。
 性能通りの実力を発揮出来たところで――――それ以上の力を発揮出来ない相手など、何体居ようが俺の敵ではない
 ……それに、ここまでやられていながらも諦めないこいつが足手纏いなものか――――そうだろう!?」

「――――はい!」

 ゴーカイブラックと外道シンケンレッドの二人が並び立つ。

 かつて、レジェンドの一つであるガオレンジャーが先輩のスーパー戦隊の戦士達に教えられた教えがある。

 戦士の魂……それは戦士の闘う意思、それを持っている外道シンケンレッドに変身している彼は未熟だが、戦士として大事なモノを持っている。

 ならば、その魂を持っていないバスコガ召喚した操り人形に負ける理由などありはしない。

「――――ゴーカイブレイク!」

「――――火炎の舞!」

 そして、放たれた必殺技が装甲ジーク、デカブライト、ダークゴセイナイトに炸裂し、彼らは光と共にレジェンドキーに戻る。

 それを、ゴーカイブラックは手に取り

「さて、お前が持っている残りのレジェンドキーもついでに頂くぞ」

「シドちゃん冗談は止してよ。
 三つもレジェンドキーを奪っておいて欲張り過ぎだって……だから、ここはコイツと戦っててよ」

 いつの間にかバスコの傍に来ていた宇宙猿であるサリーの腹部のハッチを開いて赤い戦闘用の疑似生命体を出現させる。

「――――ガーレー君だ、宜しく!」

 そう言って、フリージョーカーに乗ってこの場から退散するバスコ達。

 ゴーカイブラックは追おうとするが、ガーレー君が放つ光線に邪魔される。

「クッ、邪魔をするな!」

 ゴーカイバックルから、シャドームーン、黒騎士ブルブラック、ウルザードのレジェンドキーを取り出し

「世紀王シャドームーン、黒騎士ブルブラック、魔導騎士ウルザードの大いなる力よ、俺に力を!」

 そう叫ぶと共にレジェンドキーから黒い光が出てゴーカイブラックを包み込み、彼を巨大化させる。

「ノーザンクロス、ブラックビートと狼鬼の大いなる力を!」

 そして、ゴーカイフリゲートのノーザンクロスに要請して残りのレジェンドキーの大いなる力を発動させる。

 大いなる力が発動すると共にゴーカイフリゲートは、分解されてゴーカイブラックの各部を鎧のように覆う。

「――――降臨、ゴーカイザー!」

 ゴーカイザーに向かって攻撃するガーレー君だが、それを重装甲とは思えない身軽さで避けるゴーカイザー。

 これが、ゴーカイオーや豪獣神のようなロボットならばそうなったかもしれないがゴーカイザーはゴーカイブラックが巨大化して誕生した巨大戦士。

 ロボットでは実現できない柔軟な動きを実現できるのだ。

「さっさと蹴りをつけるぞ――――ゴーカイ疾風斬り!」

 巨大化した際に変化したゴーカイブレイカーを目にも止まらぬ速さでガーレー君を斬り刻む。

 ゴーカイ疾風斬りを受けて爆発するガーレー君、その爆発を背後にゴーカイザーの姿が映える。





「――――これは貴方に託します」

 ガーレー君を倒し、バスコを追いきれないと悟ったシドは巨大化を解いた所に外道シンケンレッドの姿を解除した青年がレジェンドキーを彼に渡そうとする。

「何故だ、これはお前がこの星を護るために知り合いから託された力だろう。それを一度助けただけの俺に渡していいのか?」

「……ええ。僕は今までこの力に頼り過ぎていました。でも、今日の貴方の言葉を聞いて思い出したんです」

「……俺の言葉で思い出した?」

「はい、この星がザンギャックの侵略にあった少しの間ですけどアカレッドさんと一緒に戦っていた頃の事を。
 この力がなくて今程の力はなかったけど、アカレッドさんが認めてくれたどんな時でも諦めずに立ち向かった魂を。
 だから、これからは自分自身の力で戦って行きます。もうこの力は必要ありません」

「そうか……なら、お前のその意思と共にこの力、譲り受ける!」

 外道シンケンレッドのレジェンドキーを受け取り、ゴーカイフリゲートに乗って惑星から去っていくシド。

 そして、去っていくゴーカイフリゲートを消えるまで手を振り、見送る青年の姿があった。





 後書き ゴーカイブラックの戦闘シーンを書いてみましたがどうだったでしょうか? 正直、自分的にはまだまだかなーと思っています。

ゴーカイブラックが持っている大いなる力はシャドームーン、黒騎士、ウルザードが巨大化の力でブラックビート、狼鬼が船を分解させて装着させる力にしてみました。

 さて、次回はゴーカイジャーの3話目をアレンジしようと思っていますが……マジシャイン、マジマザー、ウルザード・ファイヤーはだした方が良いですか?



[28701] 勇気の魔法、新たな戦士への継承の時! Aパート
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/16 11:32
 ボンガンが倒され、地球の戦士が消えたのでスナック・ゴンへと戻ってみるとまるで幻の様に店が跡形もなく消えていた。

 なので、ゴーカイガレオンに戻った一同だったが

「……ねぇ、マーベラスの機嫌、今までで最悪の部類に入ってない?」

「――――そりゃ、そうでしょ。
 地球のヤツにコテンパンにやられて、鬱憤晴らしに巨大化したザンギャックのヤツを倒そうと思ったら、ウルトラ警備隊に似たヤツに倒されたんだから。
 むしろ、いらいらするなってのが無理ってもんよ」

「……ル、ルカ! 声が大きいよ、マーベラスに聞こえちゃう」

 ハカセが慌ててルカに注意するが、既に時遅し

「――――さっきからお前らの言ってることは聞こえてんだよ! おい、トリ……さっさと占え!」

 マーベラスはナビィに占いをするように告げ、普段ならばトリと呼ばれたことに反論するナビィも今回ばかりは文句を言わずに占いを始める。

「……普通の人が寄り付かない孤島~に良い事を教えてくれる人が居るぞよ~……ってな感じぃ」

 その占いの結果に胡散臭さを感じながらもそれ以外の手掛かりがないので信じてゴーカイガレオンを発進させる。

 果たして彼らは宇宙最大のお宝を手に入れられるのか?





 そんなゴーカイガレオンを地上から見つめているボロボロのマントを羽織った青年の姿があった。

 その左腕には何かの鉱石を填め込んだブレスレットがある。

「……一万年ぶりだな、オウル」

 そんな彼に高齢な老人――――ハヤタが声をかける。

「……確かに久々の再会だな。
 ウルトラ兄弟が前回の地球侵略で姿を消したと風の噂で聞き、まさかと思ったが本当だったとは」

「――――そうか、ならば我々がザンギャックとの戦いで変身する力がほとんどない事も分かるだろう」

「……ファイナルクロスシールドを全員の光の力を使って発動させたからだろう」

 無言で頷くハヤタに青年は何も言えず、沈痛な面持ちになる。

「オウル、そんな顔をするな。別に我々は力を失ったことに後悔はしていない」

「……ああ、ゾフィー兄さんにお前やセブン、ジャックとエース、タロウと私の知らない兄弟たちが自分の選択に後悔するなんて思ってはいない。
 そして、メビウスだったか……光の国で訓練生を鍛えている者達の代わりに、ウルトラの父から送られてきたウルトラサインを見て私がこの星に駆け付けた」

「……しかし、お前はそれでいいのか?
 かつて、自分の血に災厄を齎すかもしれないと言い、ゾフィー兄さん以上の力も資格もあり、ウルトラ兄弟にもなれたのにそれを捨て、自ら強大な怪獣がいる場へ赴く程の危険性を感じていただろう」

 ハヤタはかつて、オウルが恐れていた事を尋ねる。

「……確かに、私は今まで自らに流れている血に恐怖を感じている。いつかあのようになるのではないか、と。
 しかし、私はこの星に来て何故か分からないが血に対する恐怖が薄れ、自らの心の内にこの星を護りたいという想いが生まれた。
 だからこそ、私はこの星を……この命を懸けて護って見せる! ……今更、こんなことを言うのは図々しいかもしれないが、それが私の意志だ」

 その問いにオウルはこの星に来て得た想いをハヤタに告げる。

「……そうか、ゾフィー兄さんを除いた我々兄弟達がこの星で得た何かをオウル、君も感じたんだな」

 オウルの答えに納得がいったハヤタはオウルの肩を叩く。

「オウル、今のお前にならば我々が愛したこの星の平和を護ることを託せられる……頼んだぞ」

「――――確かに、託された。ウルトラマン、この星を護る使命はこの私に任せてくれ」

 二人は固く手を握り合い、託し、託された使命を再確認する。





 ゴーカイジャーが孤島を探している時、その目的場所である孤島では

「燃える、炎のエレメント――――赤の魔法使い、レジェンドマジレッド!」

「おのれ、シカバネンやボンガンの時の様に邪魔をし続けるか地球の戦士共め」

 レジェンド大戦の時には、強すぎる力が邪魔で他の戦隊との連携の邪魔になるので使わなかった強化形態を駆使し、レジェンドマジレッドがザンギャックの世界中の火山噴火させる作戦を阻止していた。

 無論、彼だけではなく世界中の火山の傍で同時に展開しているゴーミン達の作戦実行部隊と他のレジェンド達も戦っている。

 その中には、レジェンド大戦で彼と同様に力を失わなかった彼の父や母、義兄もいる。

 しかし、ザンギャックはダマラスの情報の元、地球の戦士たちを警戒している。

 だからこそ、前回の地球侵略で得たデーターを元に対策を練っているザンギャックたちを以前ほど容易く倒せずに苛立ちを隠せないレジェンドマジレッド。

(前のレジェンド大戦のザンギャックの部隊は容易く倒せたのに。バンさんの言ったように俺達の力を研究しているっていうのは本当らしいな……ッ!)

「流石にダマラス様が最大級の危険と認めているだけはある……だが!」

 その戦いを見ていたサラマンダムが自身に備わっている尾を地面に突き刺し、エネルギーを地面に流し込んで戦っているゴーミン達ごとレジェンドマジレッドを巻き込む爆発を生み出す。

 これで、終わりと思ったサラマンダムだったが

「――――レジェンドファイヤー!」

 爆炎の中からサラマンダム目がけて炎の竜巻が直撃する。

 そして、爆炎が晴れたそこには無傷のレジェンドマジファイヤーの姿があった。

「赤の魔法使いの俺に、この星の熱を利用した攻撃は効かない!」

「……くっ、オレとしたことが何たる迂闊! ここは引かせてもらうぞ、地球の戦士」

 逃げ台詞と共に去っていくサラマンダムを追わずに佇むレジェンドマジレッド。

「クソッ、逃げられた。今ここにいる戦士は俺だけだから、追えばここを護る人がいない……ッ!」

 本来ならば追いかけたいが、自分がいなくなればここを護る戦士がいないが故の葛藤を吐き出しながら、変身を解くレジェンドマジレッド。

 そんな彼の目に空を飛ぶ赤い海賊船が映る。

「……あれは、海城さんと本郷さんが言っていた宇宙海賊たちか。ここに来たという事は、宇宙最大のお宝の手かがり……大いなる力を手に入れるために来たのか」

 マジレッドこと、小津魁の胸中に浮かぶのは果たして何か?

 大いなる力とはなんなのか?





 後書き 全部書くほどは時間が無かったので今回も半分に分けて書いていくことにします。



[28701] 幕間 No3
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/08/06 16:52
「まさか、あの宇宙妖精が休眠期間から目覚めるなんてね……やっぱり、俺達の常識では測れないってとこかな?
 でも、その情報を俺だけじゃなくてハザード星人も掴んで――しかも、厄介なシドちゃんの所に向かっちゃうとはね」

 バスコは言動こそ穏やかだが、その顔には苛立ちの表情が浮かんでいる。

「まぁ、具現化する形跡はないし……宇宙妖精を手に入れるためなら仕方ない、か」

 そして、眼前にある宝箱を開けると――そこには、黒、紫、緑、白、朱の五つの光球があった。

 それを確認したバスコは三つのレジェンドキーを取り出してラッパラッターに差し込んで吹く。

 ラッパラッターの音色が船内を満たすと共に緑、白、朱の三つの光球が吸い込まれ、差し込まれたレジェンドキーが光に包まれる。

「――よし、完了っと! さて、シドちゃん……こいつらを相手にどう足掻けるかな」

 ふふふ、と笑みを浮かべながら再び宝箱を閉じる。

 果たして、今の行為に何の意味があったのだろうか? 





「――それで、ハザード星人が海賊に一体何の用だ?」

 ゴーカイフリゲートの操舵室でシドは一人の来訪者を迎えていた。

 来訪者――激走戦隊カーレンジャーを生み出したハザード星人・タップは宇宙妖精ピコットの情報を知らせ、同時に護って欲しいと告げる。

 タップが宇宙妖精ピコットの情報を知っているのは、過去に電磁戦隊メガレンジャーとカーレンジャーの二つの戦隊で護り通したその事件の関係者だからだろう。

 実質、レジェンド大戦であれだけの戦士が集結できたのはピコットの能力を使用したからだった。

 叶えた願いは地球から離れた戦士を呼び出すことと、死んでしまった戦士を蘇らせること、激闘で破壊されたロボの復元の三つ。

 残りの二つは更なる驚異の為に残していたのだが、ピコットはその性質上から一つの星に留まる事が出来ない。

 だからこそ、その次に行く星で悪に狙われないように宇宙警察やレジェンド大戦で力を失わなかった戦士たちが護っていたのだが――――。

「ザンギャックがピコットの特性に気付いて手に入れようと動き始めたんだっぷ。
 宇宙警察やレジェンド達も対応しているから、何とか膠着状態に持ち込めたんだけど……あの私掠船がその隙をついて動いているんだっぷ」

「……事情は分かったが、何故手配されている海賊の俺にそんな宇宙の命運を握る鍵の情報を教えに来た?」

「――僕は信じてるんだっぷ! 君が、恭介たちの様に地球を……いや、この宇宙を護る新たなヒーローの一人になることを!!」

「ヒーロー、か……ふん、そんな恥ずかしい顔を真顔で言う奴がいるとはな」

 タップの熱の入った言葉を茶化すかのように言うが、シドの手にはゴーカイブラックを含めた10個のレジェンドキーが握られていた。

「……協力してくれ――――」

 タップはそれを見て、自身の要望に応じてくれるのかと思い尋ねた瞬間、船に衝撃が走る。

『――シド、フリージョーカーノ砲撃! ソシテ、艦内ニ乗員以外ノ生体反応在リ……映像ニ出スゾ』

 ノーザンクロスの無機質な音声が室内に響き、スクリーンに侵入者の画像を出す。

 そこには砲撃を放った私掠船の主、バスコの姿があった。

『お久しぶり~、シドちゃん! 先手を打たせて貰ったよ! 俺ってほら、正々堂々とか大っ嫌いだからさ』

 そう言って、三つのレジェンドキーを差し込んだラッパラッターを取り出して吹き鳴らす。

 そして、現れたのは巨大恐竜を相棒として戦った戦士たちの姿が降臨する。

 魔剣ヘルフリードと獣奏剣を両手に携えた力の戦士・ドラゴンレンジャー

 他者により己が運命を大きく歪められた哀しき戦士・タイムファイヤー

 己が呪われた運命を断ち切ったときめきの白眉・アバレキラー

 三人は各々の獲物を艦内で振るおうとして前方から来た黒い斬撃を防御する。

 その斬撃が来た方向にはシドの姿があった。

「え、え、えええええええ!? さっきまでここにいたのに、いつの間にあそこに行ったんだっぷ!?」

 その光景をスクリーンで確認したタップは驚く。





「……やってくれたな、豪快チェンジ!」

 ゴーカイブラックのレジェンドキーが黒く輝き、一瞬でシドの姿を変える。

「――うんうん。シドちゃんには結構手こずらされたからさ、宇宙妖精ピコットを手に入れる時に邪魔されたくない訳よ。
 だから、俺も今回ばかりはそれなりの対価を払って来たのさ」

「ふん、変身前の斬撃を防いだ程度で図に乗るな!」

 ゴーカイブレードを構えてアバレキラー達へと突撃し――――

「歯ごたえのありそうな奴だ――久々にときめくぜ」

「何ッ!? グァァァ――――!」

 白い閃光の連撃を防げずに直撃を受けるが、何とか姿だけは捉える。

 ゴーカイブラックの視界に召喚された時とは異なる姿となったアバレキラー・アバレモードの姿が映る。

 それを見てゴーカイブラックは内心驚きを隠せない。

(今までバスコと戦った時にもこの戦士たちと戦ったことはあったが、こんな姿や武器は持っていなかった筈だ……一体どうなっている!?)

「――シドちゃん、戦ってる最中に他の事を考えてると危ないよ?」

 そのバスコの声と共に気を引き締めるが、既に眼前にはタイムファイヤーが迫っていた。

 咄嗟にゴーカイブレードを振るうが、まるでゴーカイブラックの動きを知っているかのように紙一重で避け、DVディフェンダーソードを袈裟斬りに放つ。

 辛うじて避けるゴーカイブラックであったが、そこには余裕などまるでない。

 もはや、彼は眼前にいる三人の戦士は操り人形などと思っていはいない……戦士と生きてきて、最大の脅威と認識した。

 だからこそ、彼は着用していたマントを外す。

「あれれ? シドちゃんがマントを外すなんて珍しいね。俺が――二十体も召喚しても外さなかったのに」

「――当然だ。木偶ならば兎も角、そいつらは強さだけならば戦士だ……なら、こちらも相応の対応をとらなければ失礼だろう」

 マントは超重量の拘束具という訳でもなく、攻撃を弾く特性もないので全力で戦う時には纏わりついて邪魔にしかならない。

 だが、逆を言えば今までゴーカイブラックには全力で戦う程の相手がいなかったという事だ。

 故に、これから起こるのは強さだけならばレジェンド大戦時の三人と全力のゴーカイブラックの激闘を意味する。

 果たして、勝者はどちらか? ゴーカイブラックか、バスコか……結果は次の幕間にて。





 後書き 更新が遅れすぎ、本編も進まないで申し訳ありません!! 

 マジレンジャー編を書いていたデーターが手違いで亡くなったのと私生活の忙しさで中々手につかず、幕間だけならと思ってこうして書きました。

 今回バスコが召喚した三人がオリジナルの強さを持っていたのは、冒頭に出した光球が起因しています。

 あれは、バスコがラッパラッターで強奪した大いなる力が具現化しない状態という感じです……自分的にはレジェンド達が認めないまま力を手に入れても、ゴーカイジャー達みたいに具現化はしないんじゃないかなーと思ったので(^^ゞ

 ついでに、宇宙妖精ピコットはスーパー戦隊Vシネマで本文でも書いていますがカーレンジャーとメガレンジャーが共演した作品で出たキャラクターです。

 地球を離れたフラッシュマンやファイブマンならばピコットと出会っていてもおかしくないんですよね。
 
 レジェンド大戦に死んだ戦士たちが復活して参戦できたのはこれにしようと思いました。

 切欠は、今回のゴーカイジャーの夏の映画の願いを一つだけ叶えるってピコットの劣化版だなーと思って書いてみました。



[28701] 一発番外編 魔法少女まどか☆マギカ×平成仮面ライダー
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/08/06 16:20
 それは、ゴーカイジャーが来る前に地球で起きた出来事。

 世界中からみれば、ほんのちっぽけで……かつてのレジェンド大戦に比べれば些細な危機と救済の話。

 けれど、遭遇した少女たちにとっては決して忘れることのない英雄たちの戦い。

 レジェンド大戦で戦った仮面ライダーとは別の、改造人間とは違う悲しみを仮面の下に秘めて戦う戦士たちとの出会い。

「お前、こんなところで何やってんだ?」
 
 赤い魔法少女は夢を護る為に戦う赤い閃光の戦士と出会った。

「あ、やっぱりマミちゃんだ! 久しぶり!」
 
 黄色の魔法少女はかつて両親が生きていた頃に行ったことがあるレストランのオーナー兼シェフと再会を果たす。

「俺は、それでも戦いを止めたい。やっと……やっと思い出したんだ。それが正しいかどうかじゃなくて俺の……人としての叶えたい願いがそれだったことを」
 
 魔女と魔法少女の真実を黒の魔法少女から知らされ、死んだ友から託された力で戦い続け、永い戦いで自分が誰で何のために戦っていたかも忘れるほど摩耗していた青年は、漸く思い出した願いを告げる。

「誰に言われた訳でもない。俺はすべての人を護りたいと思った……だから、戦ってる」
 
 数日前にこの町に寄って出会った青の魔法少女に、何故戦うのかと尋ねられ、黒い服を着た人でなくなったが心は人のままの青年はそう答える。

「これは、俺の知り合いの子にも言った言葉なんだけど、まどかちゃんが本当に好きだと思える自分を目指せばいいと思うよ」
 
 自分を何の取り柄もない人間だと考え、誰かの役に立てるようになりたいと思っていた魔法少女になるための契約をしていない桃色の少女は目の前で車に轢かれそうになった子供を助けた2000の技を持つ青年に尋ね、一つの答えを得る。

「君たちの行動は、わけが分からないよ。君たちは、誰一人として普通の人間でないのに、何故人を護る為に戦うんだい?
 例え、一時は称賛されたところで君たちのような存在は何時か人から恐怖され、迫害されるというのに……迷いはないのかい、君達には?」

 宇宙から来た生命体は、他人の為に命を懸ける彼らの行動を理解できずに尋ねる。

「俺は、誰かが泣いてる姿を見たくない! だから戦うんだ!」

「マミちゃんたちの運命をお前が玩ぶっていうんなら、俺が……俺がお前から奪い返す!」

「俺は人を護る為にライダーになった……今更遅いかもしれない、それでも俺はその為に戦う!」

「人に裏切られるのは怖くはない。俺が人を裏切る方がすっと怖いからな……だがら、そんなことで迷っている内に人が死ぬ位なら、俺は戦う!」

「人が人を助けることが分からないお前には絶対わからない……俺は人を愛している。だから戦っているんだ!!」

 そんな生命体に各々の答えを出す彼ら――――相手が誰でも……例え、人でないとしても助けるために走る戦士たちは、変身するために構え

『――――変身!!』

 叫びと共にその姿を変える……悲しみを仮面の下に隠して戦う仮面ライダーへと!

 誰かの笑顔を護る為に戦い、古代の伝説を塗り替えた戦士――――仮面ライダークウガ。

 神の手から人間の運命を、未来を奪い返した戦士――――仮面ライダーアギト。

 友から受け継いだ力で、鏡の世界での戦いを終わらせた戦士――――仮面ライダーナイト。

 死に恐怖しながらも、永劫の命よりも短い命で懸命に生きることを選んだ戦士――――仮面ライダー555。

 友と世界を救う為に、第三の選択肢を選んだ心優しき戦士――――仮面ライダーブレイド。

 今、魔法少女たちの悲しき運命を覆すべくレジェンド達の様に世界を救った英雄たちが集った。

 彼らの眼前にいるのはワルプルギスの夜……具現化するだけでスーパーセルを引き起こし、数千人単位の犠牲者を出すとされる存在。

 しかし、仮面の下にある彼らの顔に絶望は存在しない。彼らの先輩であるライダー達はこれ以上の相手と戦って、勝利を収めたのだ。

 ならば、彼らの名を継いだ自分たちが護るべき人々がいるのに負けるという無様を晒すことができるだろうか……否、断じて否だ。

 だからこそ、彼らは挑む……ワルプルギスの夜に。

 戦いの果てに待つのは希望か、それとも……





 ワルプルギスの夜と戦闘を開始した五人の仮面ライダーたちだが、戦況は……

『ウワァァァ――――!』

 彼らがワルプルギスの夜に押されていた。

 何故なら、彼らの眼前にはかつての宿敵……あるいは、影が立ち塞がっていたからだ。

 グロンギの王にして、クウガと対をなす白き闇――――ン・ダグバ・ゼバ。

 怒りや欲望の力で変貌を遂げたアギト――――ミラージュアギト。

 違う世界で存在した兄である城戸真一が変身した――――リュウガサバイブ。

 オルフェノク達の王――――アークオルフェノク。

 ジョーカーの亜種にして、異端の55番目のアンデット――――アルビノジョーカー。

「君たちの介入の所為で予定していた分のエネルギーを回収できなかったけれど……555だったかな、君以外が秘めているエネルギーは素晴らしいよ。
 鹿目まどかが魔女に墜ちた時のエネルギーに匹敵するどころか上回るなんて、ね。
 リントが生み出した戦士クウガでありながら暴走せずに制御し、人を生み出した神と対をなす力を悟りにまで至らせたアギト、いかなる生物の始祖でもないアンデッド・ジョーカーの三つは兎も角としてナイト……君自身はただの人間なのに全宇宙を含めた一つの世界を所有しているね。
 全く、仮面ライダーといい、この星にいる戦士たちが秘めているエネルギーは本当に驚かされるよ」

 キュゥべえは自身の言動とは裏腹に、いつも通りに何の感情も浮かべずに淡々と述べる。

 黒き闇までなりながら、その力を完全に制御している初めてのクウガ。

 自力で悟りにまで至った、最初にして最後のアギト。

 ミラーワールド……現実の世界と対をなす世界、それは宇宙もあるということでそれを長き戦いで得たという、どの並行世界をみてもあり得ない特異個体であるナイト。

 バトルファイトに勝つという条件はあるが、勝てばダークローチを無数に生み出し続ける存在となったブレイド。

 その彼らの力をエネルギーに変換すれば、まどかと同等か下手をすればそれ以上のエネルギーを得られるかもしれない。

 だからこそ、ライダー達が介入しない本来の正史ならばこれほど強くなく、姿も明確ではないワルプルギスの夜の手下がこれ程までに強くなったのだ。

『あ、ああ、あああ……!!』

 その様を見ていたまどか達は絶句してしまう。

 彼ら仮面ライダーは自分たちの危機を幾度も救ってくれ、魔女との戦いで苦戦することはあっても圧倒されることはなかった。

 なのに、その彼らが圧倒されている……そして、まどかを除く魔法少女となったはずの自分達は変身するためのソウルジェムが意識を失わない位置にいるキュゥべえに奪われて動けないように操作され、助けに入ることもできない。

「――――さぁ、まどかどうする? 君が今ここで僕と契約して魔法少女になれば彼らを救えるよ。
 それとも見捨てるのかい……今まで君たちを自分の身を惜しまずに救ってきた彼らを?」

「――――ッ!」

 最悪の危機を演出しておいて契約を持ちかけるキュゥべえに絶句するまどか。

 確かに、自分がキュゥべえの言う通りに魔法少女になれば救えるのだろう。

 それは、恐らく間違いない。

 しかし、その後は……? 自分はあの魔女を倒し、それ以上の魔女になるだろう。

 別にそうなることは怖くない……とは言わないが、そうなれば自分の友達は泣いて五代さん達に自分と戦わせるという選択を強いてしまう。

 それだけが嫌だった……例え、五代さん達が魔女化した自分を倒せたとしても、彼らは自分を殺したという重荷を背負うだろう。

 もし、自惚れていなければ自分の友達であるほむらちゃん達は彼らを恨むことは無くても決して許せないだろう。

 そんな未来は嫌だ……だから、まどかは迷う、迷ってしまう。

「まどかちゃん、そんな顔しないで! 俺達はみんなの笑顔が見たいから、俺達のできる無茶をしてるだけなんだ。
 だから、まどかちゃんがそんな顔をする必要なんてない――――超変身!」

 そんなまどかを安心させるためにクウガは立ち上がりながら彼女に告げて、姿を変える。

 それは、心優しき五代が最も忌んでいた力、黒き闇であるアルティメットフォーム。だが、その瞳は自我と優しき心を持った赤き瞳。

「――――おっと、その姿になってもうのはやめてもらおうかな。
 この要求が聞き入れてもらえないなら、残念ながら彼女達のソウルジェムは砕かせて貰う――――」

 キュゥべえのクウガに対する警告は彼の体に打ち込まれた銃撃によって中断された。

 アルティメットフォームになったクウガの視力はその銃撃を放った人物を視界に入れ、歓喜の声と共にその名を呼ぶ。

「――――久しぶりです、一条さん!」

「――――ああ、久しぶりだな。……しかし、君との再会はこんな場ではなく平穏な場所でありたかったんだがな」

 グロンギとの戦いで五代をサポートし続けた刑事・一条薫の姿があった。

 そして、クウガ達の助けに駆け付けたのは彼だけではない。

「――――氷川さんに、葦原さん来てくれたんですか!?」

「津上さん、何で貴方は一般人なのにこんなことに首を突っ込むんですか。葦原さんから連絡がなければ、僕一人だけ以前の発電所の時の様に蚊帳の外でしたよ」

「津上、お前は俺に人として生きて行けることを教えてくれた。そんなお前が危機なのに来ない筈がないだろう」

「あはは、すいません。でも、皆さんが助けに来てくれて嬉しいです、俺!」

 G3-Xを装着した氷川とギルスに変身した葦原の救援に嬉しさを隠さずに感謝するアギト。

「木場に三原……お前らまで来るとはな」

「乾君、君は僕たちが来ないと寿命を縮めると分かっていてもブラスターを使うつもりだったろう?」

「チッ、このお節介共が……でも、ありがとな」

 カイザに変身した木場に図星を指され、それに追随するように頷くデルタに変身した三原に苛立ちながらも、ぶっきらぼうに感謝の意を返す555。

「橘さん、睦月、それに……始、お前どうして!?」

 かつての仲間であるギャレンとレンゲル、カリスの姿を見てバトルファイトが起きてしまうことを危惧する剣崎だが――――

「安心しろ、剣崎。一時的だが、この世界にディケイドを来させて世界のルール―を歪めてある」

「この短い間だけですが、今は剣崎さんと始さんは戦わなくてもいいんです」

「そういう事だ、久しぶりだな……剣崎」

「……そうか、ディケイドが。アイツにはあんな酷いことをしたっていうのに」

 仲間の説明に安堵すると共に、かつて自分が世界を進むためにディケイドにした行為を思い出し、申し訳なさを覚える剣崎。

「……いいな、やっぱり駆けつけてくれる仲間がいるっていうのは」

 その光景を見つめて、自分にはない絆を羨むナイトの傍の鏡から

「――――城戸、力を託した俺の判断を後悔させるな」

 今は亡き、蓮の声をした龍騎が現れる。

「う、うわぁぁぁぁぁ!! お、お前、蓮か……?」

「……はぁ、お前はさっきのライダーの仲間の言葉を聞いてなかったのか。
 ディケイドとやらの影響で、一時的にだがお前と……正確にはナイトのデッキと係わりが深い俺が蘇ったようだ」

「……そうか、ホントに、本当に良かった! 例え、一時的にでもお前とまた会えるなんて」

「……相も変わらず、暑苦しい奴だな」

 戦う運命にあるライダーの中でも、人であり続けた二人が再会を果たした。

 そして、キュゥべえにとられていたソウルジェムは一条の手で本来の持ち主の手へ戻る。

 世界の破壊者によって齎された奇跡によって、一堂に集まったクウガ、アギト、ナイト、555、ブレイドの仲間たち。

 もはや、完璧なこの布陣の前に負けはない……昇らない朝や明けない夜がないように。

 絶望の終わりと希望の光明は、最早目前に来ていた!





 後書き ……次の話で出すマジレンジャーのキャラが浮かばないので書いてしまいました。

 できれば、感想書きでマジレッド以外を出さなくていいか書いてくだされば嬉しいです。

 本編を書かないで申し訳ありません……<(_ _)>

 因みに、真司が龍騎でなくナイトなのはTVSP特別編の続編である漫画版の後だからです。



[28701] 一発番外編 魔法少女まどか☆マギカ×仮面ライダー響鬼
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/13 22:31
 それはベテランの魔法少女である杏子にしては珍しい……そして、最悪なミス。



 グリーフシードの欠如、体調の不備――――理由は挙げればきりがないけれど、魔法少女である彼女の敵、魔女との戦いは生と死のバランスが簡単にひっくり返るそれだと分かっていたのに油断してしまった。

 武器である槍は魔女に弾き飛ばされ、新しい槍を生み出す魔力も残っていない。

 迫ってくる魔女の攻撃を回避しようとするが身体が――――動かない。

 これっぽっちも、動かない、動けない、頭の中が真っ白になる。

 死の直前だというのに走馬灯は廻らない、私は死んだら家族の元に逝けるのだろうか……それとも死んだ後も一人ぼっちなのだろうか。

 そんなのは――――死んでも御免だ。

 そう思った瞬間、身体が動いた。

 そうだ、私が――――この私がこんなところで死んでたまるか。

 いつも通りに戦い、そして勝つのだ。

 だから、声が枯れ果てるかのように叫び、叫び、叫び続けた。
 
 勝つための手段を自身の経験から模索しろ――――それ以外の邪魔な思考は全て捨てろ。

 そんな時――――

「~~~~~~♪」

 音痴とも言っていい音色が聞こえてくる。

 しかし、それはあり得ない事象だった。

 魔法少女はこの町には自分一人なのは確認しているので、魔女の結界内であるこの場所に人が入って来れるはずがない。

 魔女もそのように思ったかどうかは知らないが、動きを止めて周囲を見渡し――――音色が聞こえる方から飛んできた火球を防御もできずに喰らってしまう。

「~~~~~~♪」

 場違いな音色は止まることなく、徐々に近づいて来る。

 その音色が聞こえる方向を思わず私は戦場だということを忘れて凝視してしまった。

「~~~~~~♪」

 現れたのは、やはり魔法少女ではなく人間。

 年齢は30代だろうか……自分のようなどこかベテランの雰囲気を醸し出し、魔女が生み出した結界内で飄々としている男。

 その両手には奇妙な装飾を施してある撥を持っており、器用にも回転させながら腰にある帯に差し込む。

 私の目はその撥の先端からは微かにだが、火種が残っているのを捉えた。

「――――テメェ、一体誰だよ」

「ん? 俺の事かい、少女?」

 男はここが魔女の結界内だということを忘れさせるほどの陽気さを振り撒いて「シュッ」という敬礼のようなポーズをとる。

「……そうだな、ここは仮面ライダーって名乗っとこうか」

「…………はぁ!? っていうか、何で普通のヤツが魔女の結界内に――――――ッ、危ねぇ!」

 起き上って来た魔女が新たな侵入者を排除しようと男の背後から襲いかかった。

「―――――――!!」

 この男は死ぬ――――そう思った。

 いつの間にか再び両手に持っていた男の撥の先端から生み出された炎の剣が振るわれる。

 斬ッ! という擬音が相応しいその斬撃が魔女の体に当たる。

 魔女はその攻撃を喰らい、声にならない絶叫を上げる。

 それは――――短いようでとても永い時間。

「――――さて、いっちょやりますか!」

 男は懐から、撥と同じような奇妙な音叉を取り出して掌で軽く叩く。

 すると、目に見える音波が発生し、それを男が額にかざすと紫の色の炎が男の体を包み込む。

「――――ハァァァァ、ハッ!」

 その炎を男の――――男だった右腕が振り払うと、そこには紫色の……鬼がいた。



 これが私――――佐倉杏子と仮面ライダーであり、鬼でもあるヒビキとの出会い。

 ただ一人、独学で鬼になった男との出会い。

 今思えば、彼との出会いがあったからこそ……こうして私は人に戻れたのだと思う。

 肉体だけでなく、精神や心も。





 後書き 感想書きで誰もマジレッド以外を出した方が良いかの答えがないので、またまどかクロスを書いてしまった……orz

 次こそは……本編を書きますので、感想書きでマジレッド以外を出すか出さないかの答えをお願いします。



[28701] 一発番外編 太陽の王子が見滝原市にやってきました。
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/16 11:36
 巴マミにとっていつもと同じ魔女との闘い。

 だが、彼女はいつもと違い後輩が自分の仲間になってくれるという喜びに浸って普段の彼女らしからぬ早期決着をつけようとして魔女に喰われかけようとしていた。


 その時、不思議なことが起こった!


 光の銃弾が後方の暗闇から次々と放たれ、耐え切れなくなった魔女は爆発する。

 その銃弾が放たれた先を見ると、そこにはレジェンド大戦でザンギャックと戦った機械的な姿をした黄色の戦士、仮面ライダーBLACK RX・ロボライダーの姿があった。





「上条君の細胞と合体して、彼の腕を回復させた……本来ならば許されない行為だ。
 だから、さやかちゃんは俺を好きなだけ責めてくれてもいい」

 深夜の公園のベンチでさやかに上条の腕が治った理由を説明する光太郎。

 彼のバイオライダーとしての能力である細胞融合による操作で上条の死滅していく細胞を活性化させて通常なら治らない腕を回復したという事を。

 だが、それを聞かされたさやかは怒ることなく感謝を述べる。

 自分が好きな人の腕を戻してくれてありがとう、と。





「杏子ちゃん、君は帰る家がなくなったといったね。でも、これを見てごらん」

 光太郎から差し出された新聞を最初は疑問を浮かべながら手に取るが目を通すごとに杏子の顔は驚愕に彩られていく。

 何故なら、その新聞の内容は彼女の家族が火事にあったが存命だという記事だったのだから。

「……う、噓だ! だって、父さんたちが私の目の前で焼け死んだのを、私は確かにこの目で……!」

 自身の辛い記憶を言葉にしようとするが、うまく言葉にならない。

 そんな彼女の肩に優しく手を乗せて、あの火事の詳細を教える光太郎。

 偶然、その場を通りかかった光太郎がアクロバッターでは複数を同時に助けられないと判断し、ライドロンで救出したのだと。

 如何に魔法少女となった体とは言え、光の車と称される程の速度を誇るその姿を捉える事は不可能だったのだ。

 そして、杏子の父親があの時の行為を反省し、自分に彼女を探して連れ戻して欲しいといったことも告げる。

 それを聞いて、杏子は慟哭から歓喜の涙を浮かべて家族の元へと帰って行く。





「キュゥべえ! 罪なき少女たちの切なる願いを利用し、戦わせるように仕向け……あまつさえには魔女という存在に墜とす契約システムの元に成り立つ宇宙など俺は認めない! 
 貴様のような奴はこの俺がゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

 魔法少女の真実を暁美ほむらによって知らされた光太郎は、白い宇宙生命体――――キュゥべえに怒りを隠さずに咆哮する。

「全くもってわけが分からないよ。南光太郎……仮面ライダーBLACK RX。
 地球を救う為にクライシス帝国、五十億の民を殺した君がそんな事を言う資格があるのかい?」

「宇宙生命体インキュベーター。貴様らの邪悪な企みは、このRXが粉砕する!!」

 もはや、抑えきれない怒りの前にキュゥべえと語る口は持ち合わせず、かつてのクライシス帝国との戦い同様の宣告をする。

 それは、時間や因果に介入して阻止しようとしても決して逃れられない死の通告。





 後書き ……感想書きには何もないようなのでマジレッド以外は出さないようにします。



[28701] 一発番外編 超古代の光の巨人が見滝原市に出現しました。
Name: 草語り◆a91ccd23 ID:a04b2af1
Date: 2011/07/20 22:26
 些細な……だが、とても尊い平穏な日常は宇宙から来た生命体によって壊された。

 少女達の心を覆う絶望、誰もが未来を見いだせず、嘆く。

 瞳から際限なく流れ落ちる涙は、一人のヒーローを蘇えさせるには十分な悲しみ。

 ヒーロー……それは、人々が流す涙や悲しみを拭い去る為に現れる英雄。

 人々が闇や絶望に覆われた時に、輝く光と共に希望を齎す存在。

 変身するためのツールは、かつての輝きを失い、少女たちの絶望を表しているかのように黒く染まっている。

 ――――だが、それが何だというのか。

 例え、これを使って希望を与える光の巨人になれず、絶望を糧とする闇の巨人になるとしても……そのことを恐れ、このまま少女達が涙するのを黙って見ていることなど彼にはできない。

 それに、彼は今までの戦いである確信を得ている。

 敵がどんなに強大でも最後まで諦めずに立ち向かい、僅かな希望でも勝利を信じて戦い続けた。

 その信じる心の強さが幾多の不可能を可能にして来たことを。

 だから、彼はその身を戦うための姿に変えるべく叫ぶ。

 それは邪神を打倒した古代の光の巨人の名前。

 彼に、人が自分自身で光になれることを教えてくれた半身の名を。

「ティガァァァ――――!!」

 その叫びと共にティガダークが降臨する。

 それは、ウルトラマンティガの過去の姿にして、闇の最強戦士でもある。

 しかし、その内に秘めた心は光――――故に、力を全力で使うことはできない。

 だが、それでもティガダーク……いや、ダイゴは少女たちの絶望の化身であるワルプルギスの夜に立ち向かっていく。

 その様を絶望の原因を生み出した元凶の宇宙生命体は――――

「あれは、古の闇の巨人ティガダーク……けれど、彼は闇を裏切って光の戦士に成ったはずだけど。
 それにしても、闇の化身である彼と絶望の具現化とも言うべきワルプルギスの夜の激突を見られるなんて思ってもみなかったよ。
 でも、その激突の際に生まれるエネルギーがどれ程のものになるかは興味深いね。
 君達はどう思う――――時間遡行者・暁美ほむら、鹿目まどか?」

 この日まで魔女にもならず、死にもせずに生き延びてきた少女達に問う。

 だが、彼女達は返す言葉を持たなかった。

 暁美ほむらは自身が体験してきた時間の中で存在しなかったティガダークの出現に驚いているために。

 そして、鹿目まどかは――――

「――――ダイゴお兄ちゃんが、ティガ……?」

 自身の身近な人が、レジェンド大戦以降に現れて地球を護った新しいレジェンドの一人であることに戸惑いを隠せなかった。

 彼女の知るマドカ・ダイゴは見滝原市の観光課の公務員だった。

 遅刻や居眠りをするなど、大人としては頼りないところもあるが彼女は彼が時折見せる勇気や優しさを尊敬していた。

 確かに、ティガが現れた時には彼の姿を見なかったこともあるがそれは只の気のせいだと思っていた。

 しかし、その考えは目の前で起こった事実によって塗り替えられる。

 同時に、自身の胸の中に抱いてはならない思いが渦巻く。

 彼女が関わった魔法少女と魔女の戦いで死んでいったマミさん、さやかちゃん、杏子ちゃんを救ってくれなかったのか、と。

 どうして、もっと早く駆けつけてくれなかったのか、と。

「――――まどか、それは違うよ」

 そんな彼女の考えを読み取ったかのようにキュゥべえはまどかを諭すように告げる。

「君はこの小さな街の出来事しか正確に知らないから言うけどね。
 今ワルプルギスの夜と戦っているティガを含むこの星を護ってきた戦士たちが僕たちの行動を知れば確実に介入してくるよ。
 そう、地球にやって来た――――君達が言う……悪意を持った存在であるのが僕たちだけなら、ね」

「――――ッ! どういう事なのキュゥべえ!?」

「この星の価値を見出したのは、僕たちだけじゃないってことさ。
 そして、そんな彼らと戦士たちは日々戦っている……全くご苦労なことだよ、宇宙警察ならば兎も角、彼らみたいな義務もないのにこの星の人間たちは」

 地球の戦士が聞けば怒りを覚えるその台詞を可愛らしい小振りな口から話す。

 その言葉に我慢が出来なかったのか、驚きから落ち着きを取り戻したほむらが叫ぶ。

「……それなら、それなら! どうして、戦士たちはお前みたいな存在を早く排除しに現れないのよ!?」

「――――暁美ほむら、それは違うよ。
 彼らはこの星……いや、宇宙レベルで見ても脅威的な存在と戦い続けている。それこそ、君達が悪と認識している僕たち以上の、ね。
 そんな存在と戦っている戦士たちがいるからこそ、君達がつい最近まで当然のものと思ってきた平穏は成り立っていたんだ。その行為を称賛こそすれ、責めるのは間違ってるよ。
 まぁ、そんな相手と戦っているから、規模を大きくせずに活動している僕たちを捉えられないんだけど。
 それに、僕たちが何故こんな姿をとっていると思っているんだい? 君達みたいに真実を知らなければ誰も僕を排除しようとは思わないからだよ」

「そ、そんな、そんな事って……」

 キュゥべえの入念な活動に改めて絶句するが頭の冷静な部分はこの白い宇宙生命体の言葉を肯定する。

 自分も魔法少女としての能力がなければ知らなかった真実に辿り着くことは容易ではないのだと。

 だが、そう理解できても納得は行かない。

 この時間軸の世界に来て知ったレジェンドと呼ばれる創作物の中にしかいないようなヒーロー達。

 地球の危機を何度も救ってきて、人々の笑顔と平和を護り続けたというのに何故自分たちを救ってくれないのかと。

 それが逆恨みだという事はほむらも分かっている。

 だが、永劫の地獄を旅してきた彼女は責めずにはいられなかった。

 そして、そんな彼女の心情を表すかのようにソウルジェムがこれまでにない速度で黒く濁っていく。

「だいたい、君達の理論は無茶苦茶だよ。
 この星どころか宇宙全てを護ってきた戦士たちは確かに概念に成り得る存在だけど、彼らは神じゃないんだ。
 良くも悪くも人ということさ……なのに、君達は人以上の働きを彼らに期待する。
 そういうところが僕にはわけがわからないよ」

 そんな彼女の心情を全く理解しようとも……否、理解できないキュゥべえはほむらの思考を読み取ったかのように正論を述べる。

 彼女の心の弱さを、醜さを自覚させるかのように。

「……そうだね、キュゥべえ。
 確かに、私はこの街のこと以外は詳しく知らないし、今までは知ろうともしなかった。
 けどね、キュゥべえ――――ティガが……ううん、ダイゴお兄ちゃんが闇の巨人だなんてことはないよ」

「……? 一体何を言ってるんだい、まどか。彼のあの姿は間違いなく闇の巨人であるティガ・ダークだ――――」

 初めて、キュゥべえが自身の意思ではなく、起こった事象によって表情こそ変わらないが絶句する。

 何故なら、闇の巨人に戻った筈のティガが避難の遅れた人々を護っていたのだ。

 ワルプルギスの夜同様に絶望を振り撒き、糧とするはずの存在が。

 それはいかなる奇跡か、あるいは人が秘めた可能性によるものなのか。

 人を正しく理解できないキュゥべえ――――インキュベーターにはどちらなのか判別することは出来ない。

「キュゥべえ、ティガは……ううん、この星を護ってくれたヒーローは貴方みたいに見返りを求めたことはないんだよ。
 私達が騙されてヒーローを悪者扱いしたりした時も彼らは世界を呪わずに助けてくれた。貴方にヒーロー達みたいな行動ができる?……ううん、貴方には出来ない。
 そして、これから起こることも貴方には決して理解できない」

 そんなキュゥべえに自身の胸の内に蘇った思いを告げながらまどかはほむらの傍に寄って、濁りかけたソウルジェムをはめている指ごと、両手で包む。

 それによって、一時的にソウルジェムの濁る速度が止まる。

「まどか、私はもうどうしたらいいのかわからないよ……」

「ほむらちゃん、一緒に応援しよう――――ティガを」

「ティガを応援……?」

「うん、ほむらちゃんは知らないだろうけど……数年前に私を含めた世界中の子供全員はティガになったことがあるの。
 ……今まで忘れかけてたけど、私達は魔法少女にならなくても人を照らせる希望になれるんだよ」

 そういったまどかの体から光が溢れ、その光はティガへと向かう。

 その様を見て驚きを隠せないほむら……そして、キュゥべえ。

「そんな馬鹿な!? 僕と契約して魔法少女になった訳でもないのにまどかがこれ程のエネルギーを生み出すだなんて有り得ない!
 ……まさか、邪神ガタノゾーアとの戦いの際に世界中で計測した未知の巨大エネルギーはこれだったのか!?」

 避難場所からもまどかが発したのと同じ多数の光がティガの元へ向かう。

 ――――それは人々の諦めない意思が具現化されたもの。

 それを浴び、ティガダークからウルトラマンティガへと変わり……そして、邪神を倒し、人々の未来を切り開いた金色の巨人が現れる。

 その名も――――グリッターティガ。

「――――私がティガになっている……?」

 まどかから生まれ出た光に目が眩んで再び目を開けた時、ほむらの視点は自身のものではなくティガへと変わっていた。

「……違うよ、ほむらちゃんだけじゃない……私や光になった皆がティガなんだよ」

「まどか――――う、噓、何で貴方たちがここにいるの……巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子」

 まどかの声が聞こえ、振り向いてみるとそこには彼女達だけではなく、死んだ筈の魔法少女になった友達の姿があった……いや、正確に言えばほむらの記憶にある彼女達の姿ではなく、少し幼い彼女達の姿。

 それは、かつてティガを助けるために光となった時の残滓。

 魔女や魔法少女の闘いとは無縁であった頃の彼女達の希望に溢れている表情に涙を流すほむら。

 しかし、その涙が意味するものは先程の悲哀ではなく、歓喜だ。

 如何に目の前にいるのが残滓でしかないとしても再び出会えたことに対して。

「――――ほむらちゃん、みんなと一緒にこの夜を超えて見せてあげようよ、キュゥべえ……ううん、インキュベーターに。
 希望を抱いて、信じ続けるのは間違ってなんかないってことを!」





 先程までまどかとほむらがいた場所に、ただ一人取り残されたキュゥべえは――――

「……有り得ない、ワルプルギスの夜の絶望を凌駕する希望を秘めた存在を人が生み出す光? が結集することによって生まれるだなんて。
 それに、もはやあれは光の巨人という存在も越えている……時間干渉どころか因果律への反逆すらも可能とするほどの力を感じる……本当にわけがわからないよ」

 グリッターティガの攻撃に成す術もなくやられていくワルプルギスの夜を見ながら呟く。

 だが、キュゥべえの理解の及ばぬ光景はそれで終わりではなかった。

「――――!? そ、そんな馬鹿な、ワルプルギスの夜を構成していた魔女を魔法少女ではなく、普通の人間に戻している!?
 それに、あれは巴マミに美樹さやか、佐倉杏子……あ、有り得ない。
 彼女達は死んだはずだ、それを蘇らせるなんて……ウルトラマンティガ、君は神にでもなったつもりかい――――」

 グリッターティガが放った光線はワルプルギスの夜を消滅させるのではなく、絶望して魔女となった少女達を人に戻した。

 そして、グリッターティガの体から5つの光球が地面に降り立ち、姿を現すのは人となった暁美ほむら、人として蘇った巴マミと美樹さやかに佐倉杏子、そんな彼女達を見て喜びの涙を流す鹿目まどか。

 地球上に降り立った全てのキュゥべえ……インキュベーターが認識できたのはそこまでだった。

 グリッターティガが全身から放った光が暗雲を吹き飛ばし、世界中に広がって魔法少女たちを人に戻すと共にインキュベーターを消滅させた為に。

 そして、光が消えた時、グリッターティガの姿は消え、代わりに、ダイゴの姿があった。





 後書き 本編を更新せずに番外を書いてすいません<(_ _)>

 ただ、仮面ライダーだけじゃなくて他のヒーローで書こうと思いついてしまい、自分がウルトラマンを知る切っ掛けになり、今の所ウルトラマンで一番好きなティガを選びました。

 最後に、魔法少女たちが人間に戻ったのは邪神との決戦の時(恐らく、その時は人だったでしょうから)に光となった時に残っていた残滓を元に再構成した……という感じです(汗)


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