トリステイン魔法学院から、約1キロ程離れた拓けた平原。 遠目にだが分厚い壁、城壁と言っても過言ではない学院が堂々とその風貌を晒していた。
澄み渡った青空の下、貴族の証である黒いマントを着付けた集団がいた。 彼らはそれぞれ自らが召喚した不思議な生物達と共にいた。
ここトリステイン魔法学院で二年生へと進級するにあたって通る道。 召喚の儀、“サモン・サーヴァント”である。 他国からの学生は召喚せずとも免除されるが、トリステインではいまだに伝統として召喚する事が進級試験なのである。
そして召喚のゲートを潜ってきたその生物と使い魔の契約と契約、コントラクト・サーヴァントをして終了と言うなんていうか簡単な感じだ。 ゾンビ召喚したらどうなんだろ? やっぱ口に? 感染すんじゃねぇか。
「ミスタ・ヴァリエール?」
ってかゾンビとするなら可愛い女の子ゾンビがいいな……いやいや、そういうプレイっぽくなるのはちょっと嫌だな……。
「ミスタ・ヴァリエール!!」
「うぉっふ!?」
「それでは次、ミスタ・ヴァリエール、あなたの番です。」
「ぁ、はい」
そう、ヴァリエールでわかるかも知れんが俺はヴァリエール家の長男、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ル・ヴァリエール。
転生者で、しかもナニが付いている以外は容姿がほとんど変わらないルイズだぞ!? いや、俺が変えようとしてないのもある。
いやいや、学校の制服も違うな。 去年俺がデザインした制服をオスマソ……オスマンにお願いした。 が、なんで男の俺まで女子用の制服なんだ!?
っとまぁぶちぶち心で叫びながらも広場の中心に来た。 左前腕、袖から取り出したシャープペン(場違いの工芸品をゲルマニアの友から貰った。)を構える。
瞼を瞑り、集中する。
『我が人生を共に歩む者よ、我が声に答えよ!!』
目の前に現れる2メートルほどの鏡、そこから帽子つき青いパーカーに紺色のジーパン、この世界では見れない衣服に懐かしさを覚える少年が鏡から現れた。平賀才人だ……。
が、彼の後ろから黒髪ロングの少女が現れた……嘘だろ? ゲーム版のヒロイン、高凪春菜ぁ!?
「ミスタ、どちらと契約するので?」
「いやいやいや、あ、相手は人間ですよ!? いくらなんでも相手とせめて今日1日はじっくり話したいです!!」
「えっと……そうですか、ではそうしてください、では皆さん行きましょう」
そういってみんなはレビテーションなどで学院へ帰っていく……。
『あのさ_』
『後で話そう、俺のバイクに乗ってくれ……あぁ、2人乗り用だがそっちの女の子は青いのと一緒に乗ってくれ』
日本語で話しかけてきた才人に対し、俺は車輪が無く、下が真っ平らの乗り物を指差す。 それには横にもう一人分の席がある。
数分もして俺は2人を連れて学院に来た。
『ここどこなのよ……? ってか何あのバイク!!』
『ぶつぶつぶつぶつルイズが……? 日本語は使うし、どういうことだ?』
日本語だ、俺の前世である日本語が聞こえてる……途中になぜ俺の名を?
『それで、えっと名前は……?』
才人が聞いた。
『ルイズだ、ルイズ・ル・ヴァリエールだけ覚えればいい』
俺のベッドに腰掛ける2人に対して俺は緑茶を入れながら言う。
ついでに緑茶は沸騰した湯をたたえた鍋を火から下ろした後、幾つかのコップに分けて入れる。 これは確か冷ますんだったな? 冷えたら鍋から湯をつぎたし、適温に調整する。
そんで急須に葉を少しだけ入れ、湯を入れる。蓋をして揺らしながらしばらく待ち、3つのコップに順番に淹れた。最後の一滴まで残さないのが重要。
『えっと、俺は平賀 才人です』
『私は高凪 春菜です』
『惑星ハルケギニアのトリステイン王国、まぁわからんだろ?』
『惑星!? 何でここが……』
『そんな星知らないです!』
『まぁそら異世界だからな』
『異世界って……嘘でしょ!? あなた日本語使ってるんだからドッキリ……』
『ちょ、お前高凪……』
『ドッキリ大成功!!』
『『え!?』』
『――だったらよかったのにな……』
『『ぇぇ……』』
『ほれ、外見ろ?』
俺は窓を指差す、赤い月と青い月が大きく、美しい。 驚く春菜、だが才人は微妙だ。
『なぁ才人、お前……俺じゃない俺に会った事無いか?』
『えぇ!?』
かなり驚く才人。
『お前の反応だ、さっき教えてもない俺の名を呟いた、それに惑星って聞いたときも春菜とは違った反応とか、そうだな……ひそかにだがお前を召還した時にうれしそうしていた』
『えっと、そうです……でも俺がルイズのことを知ってるのは分かるけど、なんでルイズが俺のことを?』
『それノートパソコンだろ? 二次創作の小説とかは読んだ事無いか? ほら、例えばクロスオーバーやら、オリジナルの主人公とか、憑依とかさ』
『って事は……』
『お分かり?』
『えっと、あんたたち何を話してるの?』
高凪にはわかんねぇか……
『俺はあんた達、そしてこの世界が漫画、アニメ、ゲームだった世界から来たんだ。 ついでに前世は……思い出せねぇ……』
『ん? ちょっと待て、それより高凪って存在してたのか?』
『ああ、確かゲーム版だけヒロインで偶然にもこの世界にきて……ほら、デルフみたいなインテリジェンス何たらを埋め込まれて最終的に二重人格で元の世界に返れないで終わった悲劇のヒロイン』
『嘘……』
『ふざけんな!! そいつぶっ殺す!』
『落ち着け、そいつがそんな事する原因がこの世界には無ぇから』
『そ、そうか……』
『まぁ俺の介入があるから他にも色々変わってる。 あと数日すれば地球に戻れるし、この世界は魔力で動く機械が沢山だから現代に近いぞ。
ああ、洗濯の為に集めるからホラ、服とか籠に入れとけ?』
『ぁ、はい……って何脱いでんですか!? 原作と同じですか!?』
『馬鹿野郎、俺は男だ。 ルイズの見た目をしてナニが付いてるってな』
『ナニとか言うなよ……』
そう言って上着を脱ぐサイト……の胸からもにょんと現れた2つの丘が現れた。
……は?