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兵庫県尼崎市に住む藤原さん。
早朝、愛犬と散歩していた時に、その動物は突如、襲いかかってきた。
<藤原貞子さん>
「向こうの方から『ポッ』と飛びついてきた。『ガブ』とかまれた」
襲われたのは2週間前だが、足には今も痛々しい傷痕が残っている。
<藤原貞子さん>
「(飼い犬の)しっぽにかみついて、この犬も病院通い」
女性が襲われた付近を調べたところ、その動物の足跡が残されていた。
そのするどい爪の持ち主とは…
アライグマ。

7月に入ってから尼崎市や隣接する伊丹市で、人がアライグマに襲われる被害が8件も起きている。
実はその全てが、散歩中など人が犬と一緒にいる時に襲われているのだ。
最近の犬のみが襲われた被害も含めると、件数は12件にのぼる。

マルチーズの「チコちゃん」も午前0時半過ぎに散歩しているところをアライグマに襲われ、骨折までする重傷を負った。
<飼い主>
「犬を抱いたときに登ってきたんでつかんで離した。それでも何回も何回も同じ事の繰り返しで襲ってきた」
アライグマは、執拗に50メートルほど追いかけながら襲いかかってきたという。
なぜ犬ばかりが狙われるのか。
専門家はアライグマが犬を襲うというのは、非常に稀なケースだという。
<関西野生生物研究所 川道美枝子さん>
「たぶん以前にペットフードを食べに犬のそばに行った時に、犬に相当攻撃されて恐怖心、攻撃心をそこで持ったのではないかと思う」
エサを巡って犬と争い、犬に勝てばエサにありつける、という習性を身につけた可能性もある。
尼崎市は地元の猟友会と檻を設置し、先週までに2匹を捕獲したが被害はおさまっていない。
複数のアライグマが生息していているとみられるが、捕獲はそう簡単にはいかないようだ。
<尼崎市の担当者>
「ねぐらが確定できたらもっと確実に捕獲できるのだが、それが分からないんです、場所を特定できないので我々も困っている」
いったいどこにアライグマは生息しているのか。
「マル調」は今回、現地調査も行ったアライグマの専門家・阿部さんとともに、ねぐらを探ることにした。
<兵庫県立大学(アライグマ研究) 阿部豪特任助教>
「メスが繁殖地として選ぶのは、水源の周りが多いといわれている」
繁殖力の強いアライグマは、春に3匹の子どもを出産するという。
夏のこの時期は子どもが母親と共に巣を離れ、移動しながら生活しているのだという。
その移動に使われるのが水路。
夜行性のアライグマは日中、水路から分かれた土管などに身を潜め、夕方になると活動を始めるらしい。
たしかに水路に目を向けると、アライグマの足跡が点在している。
<阿部さん>
「あれはザリガニの足ですよね。あんなんが大好物」
さらに水路は、アライグマにとって格好の餌場でもある。
ザリガニなどを食べながら、移動を続けているようだ。
<阿部さん>
「エサを捜している時には手で付近探りながら歩く。それが洗っているように見える」
「マル調」は、ずっと気になっていた疑問を阿部さんに投げかけた。
<マル調>
「今回犬がよく狙われているのは同じアライグマですか?」
<阿部さん>
「それを裏付ける情報は何もないのではっきり言えないが、そうあってほしいと思っている。いっぱいこんなアライグマがいたら大変な問題、1頭獲っても終わらないということだから」
しかし、先週木曜日(28日)、阿部さんの恐れていた事態がおきた。
2匹のアライグマが、同時に人と犬を襲ったのだ。
<被害者>
「重量級のアライグマと(飼い犬)が争いになった。そこへもう1頭出てきて結構かまれた・・・」
このまま犬や人を傷つけるアライグマを放置するわけにはいかない。
そこで「マル調」は、アライグマの捜索に乗り出した。
相次ぐアライグマ被害に現地の捜索に乗り出した「マル調」。
アライグマは夜行性のため、捜索は深夜に行った。
アライグマが出没した付近を見回るとともに、檻に赤外線カメラを設置し捕獲の瞬間の撮影を試みる。

これで準備はバッチリだ。
さっそくアライグマか、と思いきや遭遇するのは・・・
猫に・・・ 鳥。
アライグマには、なかなか巡り会わない。
罠を見回ってみるが・・・
<マル調>
「あ〜、猫が入ってます」
捕獲されていたのは、猫。

夜通し捜索するが、この日アライグマの陰をみることはなかった。
捜索2日目。
<マル調>
「昨日に引き続き2匹目のネコ捕獲です」
またしても、檻にかかっているのは・・・ 猫。
今夜も不発かとあきらめながら、聞き込みを続けたところ・・・
<マル調>
「場所ってどこですか? 檻はどこにあります」
<男性>
「見る?見る?見たい?」
<マル調>
「はい」
<男性>
「ほな教えてあげるよ」
なんと、つい先ほどアライグマ1匹が罠で捕獲されたという。
男性の手には7番アイアン。
よほど凶暴なアライグマなのだろうか?
檻に向かうと・・・
<男性>
「この下や、ここや」
水路に仕掛けられた檻に1匹のアライグマが。
体長は45センチほど。
どうやら、まだ子どものようだ。

外に出ようとしているのか、必死でもがいている。
すると・・・
<マル調>
「いました、いました、顔を向けています。アライグマがこっちをじっと見ていますね」
捕獲された子どもの母親だろうか。
別のアライグマが現われた。
「マル調」との距離はおよそ2メートル。
手を伸ばせば届きそうな距離だ。
<マル調>
「網に反応していますね」
「う〜!」(アライグマ)
<マル調>
「おー、うなっている」
さらに…
<マル調>
「威嚇してます。仁王立ちです」

「マル調」に対し、威嚇を続けるアライグマ。
「マル調」は警察に連絡し、捕獲の協力を求めた。
<マル調・電話>
「アライグマが我々の前にいるので捕獲して欲しい」
しかし警察は、「尼崎市では委託を受けた猟友会などにしか捕獲が認められていないため、勝手に捕獲できない」という。
とはいえ、ケガ人も出る事態に周辺住民は怒りを隠せない。
<警察に電話する 近所の男性・電話>
「いままで危害を加えていたアライグマですよ。それを放っておいてください?」
<近所の女性>
「いや! 不安で生活できひん」
尼崎市も夜間のため、対応できないという。
そして午前2時が過ぎ近所の人たちが立ち去ると、カメラを警戒しながらも親のアライグマは子どもに近づいて来た。
「キューキュー」(アライグマ)
「マル調」は夜通し2匹のアライグマを観察し続けた。
<マル調>
「時刻はまもなく午前5時を迎えます。空もだんだん明るくなって、世が明けようとしていますが、親のアライグマはあきらめたのか姿を見せなくなりました」
朝になって尼崎市の担当者が、ようやく檻を回収していった。
もともとはペットとして、かわいがられていたアライグマ。
それが、今は人を傷つける迷惑動物として処分される存在とは・・・
どうにも複雑な心情を抱かざるを得ない。
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