被災マツ、大文字使わず 「放射能不安」で一転
東日本大震災の津波で倒れた岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」のマツを京都に運び、五山送り火の「大文字」に使う計画が中止になったことが5日、分かった。マツの放射能汚染を懸念する声が京都市などに寄せられたためで、8日に陸前高田市で燃やす方針という。
高田松原のマツを薪にして販売し、復興支援に充てる活動を知った大分市の美術家が6月、大文字保存会(京都市左京区)に打診し、7月中にも受け入れる準備を進めていた。マツは当初約200本用意され、現地の人たちが犠牲になった家族や友人の名前、復興への祈りを記していた。
ところが、7月に入り、京都市文化財保護課や保存会にマツの放射能汚染を不安視する声が寄せられ、インターネットの掲示板などにも反対意見の書き込みが続いた。
飼料の稲わらへの汚染拡大もあり、同課と保存会は同月下旬、全点のかけらを採取して検査した。放射性セシウムは検出されなかったが、保存会全体では受け入れで一致できず、断念を決めた。8日は保存会役員が陸前高田市に赴き、亡くなった人の精霊をお盆に迎える火として燃やすという。
陸前高田市で記入呼び掛けに協力した男性は「避難所でお願いすると進んで書いてくれ、マツは400本近くになった。(中止の件は)正式には聞いておらず、今は話すことはない」という。
保存会の松原公太郎理事長は「書いた方の思いにできるだけ協力したかったが、残念です」としている。
【 2011年08月06日 10時30分 】
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