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トコトン議論〜日本のエネルギー政策を考える〜

【新聞チェック】″原爆の日″に全く触れなかった産経、特集満載の朝日・毎日とは対照的

BLOGOS編集部

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読売は「編集手帳」のみ



 一方、読売は「原爆の日」の扱いは非常に小さく、朝日・毎日の2紙とは正反対だった。唯一、その話題を取り上げたのは一面の小さなコラム「編集手帳」。『長崎の鐘』を書いた医学博士の永井隆氏が「原子爆弾は人類に、まったく新しい資源の在(あ)ることを教えてくれた」という言葉を引いた上で、次のように述べている。
◆長崎の原爆で妻を失い、自身も被爆した人は生涯を通して、人間に備わった知恵の信奉者であったらしい

◆核兵器の惨禍を根絶する祈りと、原子力の平和利用がもたらす希望と――顧みれば日本の戦後は、博士の夢想を実現していく歳月であったろう。震災で夢想は大きく揺らいだ。立ち止まる。引き返す。用心しつつ、前に進む。いずれを選ぶにしても、何をどう改めていれば原発事故は未然に防げたのか、綿密な検証から始めなければならない

◆きょうは広島、週が明けて長崎と、今年も原爆忌がめぐってくる。「人間の知恵」が、いまほど試されている時はない。
 原発を維持するのか、脱するのかイマイチよく分からない。何とも煮え切らない書き方だった。

「原爆の日」を全く取り上げない産経



 驚いたのは産経だ。紙面を何度見返しても、どこにも「原爆」という単語が見当たらないのだ。それなのに、各紙が原発について書くことを意識したのか、社説では「世界一安全な原発めざせ」のタイトルで、原発維持を強く訴えている。
日本は原発の基数と発電量において世界3位の国である。原子炉の製造や運転管理の両面で世界の最高水準の技術を有している。この知的蓄積をさらに発展、継承し、増え続ける途上国の原発に生かすことこそ日本の責務だ。

(略)日本列島は、地震の活動期に入っている。津波を含めて耐震性のさらなる強化は必要だ。今回の事故から可能な限りの教訓を学び取り、「世界一安全」と胸を張れる原発をめざそう。
 他の3紙と気持ちいいほどに一線を画していた。

「原爆と原発」連鎖するイメージ



 どうやら「脱原発」を強く主張したい新聞社ほど、「原爆の日」を大きく取り上げる。「原発維持」を訴えたい新聞社は、なるべく「原爆の日」を取り上げないということのようだ。1945年の原爆投下によって、広島市に当時住んでいた人の約4割に当たる14万人が命を落としたと言われている。圧倒的な原爆の被害は、「原発の危険性」というネガティブなイメージに繋げやすいということなのだろう。

 一般的に「新聞はどれも同じ」と思いがちだが、原子力の問題をめぐって、これだけの差が現れる。興味深い結果だった。

※いずれも、都内発売の最終版を比較した。

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「脱原発は誰でも言える、具体のプロセスと国民生活に与える影響をリアリティーを持って国民に問うことだ」
自民党の元衆院議員・土屋正忠氏は、「平和利用の原子力発電と、敵に対する攻撃手段としての原爆を同列に論じることは問題のごまかしである」と、菅首相の姿勢を強く非難。

広島原爆忌に寄せて
自民党の元衆院議員・早川忠孝氏は、菅首相のあいさつを「それなりに周到でよく整理されていたが、どこか私たちの頭の上をそのまま通り過ぎてしまうようなところがあった」と感想を述べている。

菅首相の最後のパフォーマンスの舞台こそ広島だ。それを許してはいけない。
元レバノン大使で作家の天木直人氏も「原爆記念日における平和演説を脱原発で埋め尽くすことは原爆被災者に対する冒涜だ」と批判。

原子力をめぐる新聞論調の二極分化
元朝日新聞論説委員の柴田鉄治氏は、新聞各紙の論調を比較した上で「原発を推進するかどうかという問題は、深いところで安全保障政策と絡んでいる、ということであろうか」と述べている。
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