August 02, 2011
小牧正英生誕100年記念：東京小牧バレエ団公演
芸術監督＝菊地宗、総演出＝佐々保樹という小牧正英ゆかりの者たちによる生誕100年の記念公演が、彼によって日本初演された『ペトルウシュカ』『シェヘラザード』の再現という意欲的なプログラムにより行われた。
『ペトルウシュカ』は、ペトルウシュカ＝佐々木大、バレリーナ＝藤瀬莉菜、ムーア人＝ロドリゴ・アルマラレスに加えて、晩年の小牧がよくやっていた人形師の役を菊地宗がやるという配役で上演された。世界初演時にニジンスキーが、日本初演で小牧正英が踊ったタイトル・ロールを、佐々木大がけんめいに役になりきって踊りきり、作品の中心をみごとに形作った。けばけばしさが気になる衣裳と揃いすぎる群衆シーンがやや問題だが、全体としてはなかなかの仕上がり。今後の再演により、さらに完成度を上げ、これからも日本のバレエ・ファンにディアギレフが活躍した良き時代の雰囲気を紹介してもらいたいと思う。
『シェヘラザード』は、金の奴隷＝アルタンフヤグ・ドゥガラー、ゾベイダ＝周東早苗、シェヘラザード＝長崎真湖、リアール王＝原田秀彦という配役。豪華な舞台美術と衣裳に制作陣の意欲が見えた。女性陣のエロスの足りなさが、さらなる盛り上がりにブレーキをかけたかっこうだが、このバレエ団の若いダンサーたちにそこまで要求するのは酷というものだろう。次の機会を待とう。ドゥガラーと周藤の熱っぽいからみ、風格充分な原田のリアール王の存在などは、見応え充分と言ってよいものだった。
（山野博大 2011/07/30 新国立劇場オペラ劇場）
（山野博大 2011/07/30 新国立劇場オペラ劇場）