いずれは納税者が負担せざるを得ない「隠れ債務」
韓国メディアによると、韓国の平均的な都市居住者の世帯当たりの1カ月の負担額を見ると、通信費13万ウォン、大衆交通費6万ウォンであるのに対して、電気料金は4万3000ウォン。電気料金は通信費の3分の1の安さなのだ。
企業はもちろん家庭でも、エアコンやボイラーをがんがん動かすのは、当たり前になった。何年か前から、韓国では「家にいるときは、夏は長袖を着て、冬はTシャツですごす」のに違和感がなくなった。
2011年の夏はソウルでは猛暑の日が多いが、それでもジャケットは手放せない。室内で冷房が効きすぎているためだ。
主要国の1人当たりの電力消費量を見ると、韓国は、カナダ、米国というエネルギー大国に次いで3位。日本よりも10%ほど多い「電気がぶ飲み国」なのだ。
こんなことがいつまでも続くはずがない。冒頭で触れたように、韓国電力の赤字は急増し、負債額も雪だるま式に膨れ上がっている。上場しているとはいえ公企業の負債だから、どこかで税金で処理せざるを得ず、これこそ「隠れ債務」だ。
もう1つ、深刻な問題がある。電力使用量の急増で、電力不足が深刻になっているのだ。
韓国の電力供給も綱渡り
ここ数年、韓国のメディアは、夏と冬の電力使用ピーク時を前に「大規模停電の可能性」に関する記事を掲載している。日本では最近「電力使用率」を使うが、韓国では、「電力予備率」という数値を使うことが一般的だ。
2011年は、需要増のペースに供給増が追いつかず、この「電力予備率」が2010年の6.4%から5.6%にまで低下する可能性が出ている。「韓国の電気供給も綱渡り」(韓国の大手製造業役員)なのだ。
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