日本経済新聞の「エネルギーを問う」という連載記事(2011年7月19日付)に興味深い内容があった。
「日本の電気料金 韓国の2.7倍 重い負担」というタイトルで、国際エネルギー機関(IEA)のデータを引用している。1キロワット時の産業電気料金を比較すると、韓国が5.8セントであるのに対して日本は15.8セントに上るという。
燃料輸入コストは日本より高い
一般家庭用の電気料金も安い。韓国政府によると、韓国の電気料金は経済開発協力機構(OECD)加盟国の平均額に比べ家庭用、産業用ともにだいたい半額の水準だという。
韓国は、石油や天然ガスなどを全量輸入している。原子力発電所への依存度も30%を超えているが、基本は「輸入したエネルギーを使って発電して供給する」構造で、資源高がそのまま跳ね返っているはずだ。
さらに、日本とは反対に、ここ数年間は、政府が「輸出産業支援」のために露骨なまでに為替相場をウォン安に誘導しており、エネルギー輸入のウォンベースでの負担額は急増している。
にもかかわらず、これだけ電気料金が安いのはもちろん、政府が料金を管理しているためだ。その負担を独りでかぶっているのが韓国電力なのだ。
韓国では、2011年8月1日から電気料金が値上がりした。原油価格の値上がりなど受けたやむを得ない措置との説明だが、値上げ幅を見て驚いた。平均4.9%。当初の計画では7.6%前後だったが、「物価抑制」という理由で値上げ幅が圧縮された。
原価割れだから安くて当然、雪だるま式に膨らむ赤字
電気料金引き上げを発表した知識経済部長官(日本の経済産業相)の会見の様子を見てもっと驚いた。「今の電気料金は原価の86%にすぎないが、庶民の負担や物価動向を考慮して引き上げ幅を最小化した」
韓国の電気料金は安いはずだ。電気料金は、「原価割れ」だったのだから。これでは、韓国電力が赤字から脱却できるはずがない。
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