韓国の電力独占公企業である韓国電力公社の社長が2011年8月に交代する見通しだ。現社長である金双秀(キム・サンス=66)氏は、LG電子のCEO(最高経営責任者)出身。2008年8月に22人の公募候補の中から「韓国電力の改革をできる切り札」として起用された。
だが、わずか1期3年の任期満了に伴い退任することになった。
韓国電力公社の社長がたった1期で「更迭」される理由
金社長は、持ち前の行動力で週末にも現場をきめ細かく回って従業員との対話を重ね、「公企業の体質改善を進めた」との評価が高い。わずか1期3年で退任するのは、韓国電力の業績があまりに悪いからだ。
金社長が就任した2008年(決算は12月期)に、韓国電力は3兆6592億ウォン(1円=13ウォン)もの巨額の営業赤字を記録した。2009年にはこれが5687億ウォンにまで縮小したが、2010年は1兆7875億ウォンへ再び急増した。
韓国電力は政府が51%の株式を保有するが、一方で上場企業でもある。
金社長が就任した2008年8月末には3万2350ウォンだった株価は、「韓国企業全体の株価が上昇した中での超安定銘柄」にもかかわらず、最近は2万5000ウォン強に下落している。
これに対して、2007年末に38兆ウォンだった負債額は、2010年末に58兆ウォンへ急増している。つまり、韓国電力は、金社長就任以来3年間で、「ひどい経営状態」に陥ったのだ。
OECD加盟国平均のほぼ半額という格安の電気料金
では、これは金社長の経営能力のせいなのか。韓国の経済界でそう見る向きはまったくと言っていいほどない。それどころか、これだけの巨額の赤字を計上しながらも、留任を求める根強い声が一部あったのは事実だ。
というのは、「今の構造では誰がやっても巨額の赤字は避けられない」(韓国紙デスク)からだ。
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