66回目の広島「原爆の日」がめぐってきた。犠牲者を悼み、核兵器廃絶に向けた誓いを新たにしたい。
今年は東日本大震災で福島第1原発が深刻な事故を引き起こし、放射能被害が広がる中でこの日を迎えた。原子力とどう向き合っていけばいいのか。ヒロシマ、ナガサキに加え、「フクシマ」の教訓を世界に伝えていく責務を、私たちは負った。
唯一の被爆国として、日本は戦後一貫して核兵器廃絶を訴えてきた。平和を希求する姿勢は国際社会で信頼を得ており、核軍縮にも一定の役割を果たしてきた。
米国のオバマ大統領が「核なき世界」の構想を打ち出し、核廃絶に向けた機運は高まっている。だがその一方で、北朝鮮やイランの核開発を阻止する有効な手立てが見いだせないなど、現実の国際情勢は依然、厳しいままである。
「原点」である広島では、被爆者の平均年齢が70歳代後半を迎え、体験を語り継ぐことがいよいよ難しくなってきた。若い世代に向けた平和教育のあり方をいかにして再構築するかという課題に直面している。
こうした状況の中、3月11日の震災で原発事故が起きた。もちろん、人を殺傷するための核兵器と原発を同列に論じることはできない。原発のあり方については、安全強化とともにエネルギーの安定供給など総合的な観点から考える必要がある。だが、原発も一歩間違えば放射性物質を拡散させ、人々の生命・健康や生活を脅かすことを、私たちは身をもって経験した。
被爆国である日本は、原子力は平和利用に徹するとの姿勢を明確にした。廃虚の中から世界に冠たる平和で豊かな国を築こうと誓い、自主・民主・公開の原則を掲げ、原子力を復興と経済発展に役立ててきた。
福島の事故は、この原則が空洞化してしまっていた事実を突きつけている。「平和利用だから問題ない」とどこかで慢心し、安全策を絶えず見直していくという努力を社会全体が怠っていたのではないだろうか。重い覚悟で平和利用に踏み出した原点にもう一度立ち返る必要がある。
そのためには、福島で何があったかを徹底的に究明することが不可欠である。その結果は、包み隠さず、世界に向けて発信していくべきだ。
「非核」を訴え続けてきた日本で世界最悪レベルの原発事故が起きたことに、私たちは正面から向き合っていかなければならない。そこで得られた教訓を踏まえつつ、これからも世界平和や核兵器の廃絶に向けたイニシアチブを発揮していこう。
オバマ、フクシマ、事故
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