今日の
ライター:
ユンブルユンブル
一本、一台、一個、一冊など、日本語には多くの「物の数え方(助数詞)」があります。みなさんは、どれくらい知っていますか? 昔からある数え方として、うさぎは「一羽(いちわ)」、タンスは「一竿(ひとさお)」などがありますが、メールやマウス、はたまた人工衛星など、現代のモノは、どうやって数えるのでしょうか。
そこで、物の数え方について1,000人にアンケート調査を実施し、『数え方の辞典』、『数え方もひとしお』など多数の著書がある、中央大学商学部教授・飯田朝子(いいだ・あさこ)先生に、意外な物の数え方についてうかがいました。
調査期間:2011/6/15~2011/6/19
アンケート対象:COBS ONLINE会員
有効回答数 1,000件(ウェブログイン式)
■パソコンのマウスの数え方は、「一マウス」?
まずは小手調べ。比較的簡単と思われる問題です。
・パソコンのマウスの数え方は?
7割近くの人が正解でした。もちろん答えは「一マウス」ではなく「一個、二個」。しかし、あらためて数え方を聞かれると、「一台、二台?」と迷ったりしそうです。
「『台』には単独で使える機械という意味が含まれているため、パソコンなしでは機能しないマウスは、『個』で数える傾向があります。リモコンやヘッドホンなども同様です」(飯田先生)
回答例として、「一クリック」(24歳/男性)、「一匹」(25歳/男性)、「一マウス」(28歳/男性)、「一チュウ」(29歳/女性)、「一ミッキー」(29歳/男性)などがありました(笑)
・公園などで見かける銅像の数え方は?
正解は「一体(いったい)、二体」。こちらも約7割の人が正解でした。間違いで多かった回答は「一個」(29歳/男性)、「一基」(22歳/女性)、「一像」(25歳/女性)、「一台」(30歳/男性)など。
「人間や動物など生き物をかたどったものは『一体、二体』ですが、生き物をかたどっていないモニュメントは『一基、二基』と言います」(飯田先生)
「一据え(ひとすえ)」(30歳/女性)という回答がありましたが、これは浴槽や便器の数え方です。
・胃薬の数え方は?
こちらも半数以上が正解でした。薬は形状によって数え方が違い、粉末の場合は「一服(いっぷく)」、「一包(いっぽう)」。
錠剤の場合は「一錠」、「一粒」。ちなみに、健康補助剤(サプリメント)の場合は、「一粒、二粒」。
「『一錠、二錠』と数えることも可能ですが、食品の一種なので薬剤と区別するために数え方を変えています」(飯田先生)
■人工衛星は「一機」とは数えない
続いて、意外と数え方を知らない問題です。
・人工衛星の数え方は?
3割以上の人が「一機、二機」と答えていましたが、正解は「一基、二墓」。
「軌道に据(す)えて機能している人工衛星は、『一基、二墓』と数えます。軌道に乗る前の人工衛星を『一台、二台』と数えることもあります。『一機』は飛行機を数えるときの数え方で、人工衛星には使いません」(飯田先生)
・地図の数え方は?
「一枚、二枚」と答えていた人が約半数。しかし、昔からの数え方では「一舗(いっぽ)、二舗(にほ)」。
「『舗』は、敷き並べることを表しています。畳んである状態から広げて使う地図や書籍類を数えるときに使います。
また、畳むほどではない小さいサイズの地図は、ハガキ同様に『一葉、二葉』と数えます」(飯田先生)
これは難問でしたね。
・ネクタイ、エプロンの数え方は?
多かった答えは「一本」、「一枚」、「一着」など。
「『一枚、二枚』とも数えますが、体に掛けて使うものは『ひと掛け、ふた掛け』と数えます」(飯田先生)
■数え方が変われば、印象もアップする!!
最後は、こんな使い分けができると「ヤルな」と思われるかも!? という数え方です。
・メールの数え方は?
「一通、二通」と「一件、二件」の両方の回答に別れましたが、どちらでもOK。しかし、
「『通』と『件』では多少意味合いが違います」と飯田先生。
「『通』は郵便物のように届けられる大切なメッセージであることを意味する数え方。『件』は携帯電話などで表示される数え方で、メッセージの内容よりも連絡の履歴や回数を表しています」(飯田先生)。
そうだったのですね。これはビジネス文書を作成するときには使えそうです。
・お弁当の数え方は?
半数以上が「一個、二個」という回答でした。
「『一個』、『一つ』という数え方は、いろいろなものに使えますが、商品の特長が表現されにくい数え方です。例えば、『弁当一個』と数えると安価なものを想像させますが、『弁当一折り(ひとおり)』と数えれば高級な仕出し弁当をイメージさせます」(飯田先生)
「お茶を『一煎』入れて、『一服いかがですか』とお客様にお出しする、宴席で注ぐお酒を『一献(いっこん)どうぞ』とおすすめすると、ビジネスシーンでも一目置かれるかもしれませんね」と飯田先生。
たしかに、すべて「個」や「杯」で済ませてしまうより、日本の昔ながらの数え方を使う方が品格がアップするように感じられます。こんな数え方がスマートに出て来ると、上司や取引先からの印象もアップするかも!?
監修:飯田朝子氏。東京大学大学院博士課程修了。主著に『数え方の辞典』、『数え方もひとしお』(ともに小学館)、『数え方でみがく日本語』(筑摩書房)など。現在、中央大学商学部教授。
(下関崇子/ユンブル)
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