乗客・乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から12日で丸26年となるのを前に、神戸文化ホール(神戸市中央区)で7日に開幕する「全日本高校・大学ダンスフェスティバル神戸」で、事故を題材にした創作ダンスが披露される。演じるのは愛媛県立松山西中等教育学校ダンス部の20人。事故後に生まれた若者が「あの悲劇を忘れないで」と全身で表現する。
事故は1985年8月12日午後6時56分ごろに発生。524人を乗せた羽田発大阪行きの日航123便が、群馬県上野村の山中「御巣鷹(おすたか)の尾根」に墜落し、兵庫県関係の犠牲者は100人を上回った。
松山西中等教育学校では、今春までダンス部の顧問だった女性(60)が、大学の同級生を事故で失った。昨年末、女性は事故を創作ダンスのテーマにすることを提案。事故を直接知らない部員たちは、遺族の手記や映画などで学び、衝撃を受けたという。
部員が振り付けを考えた作品「おすたかれくいえむ」は4分間。救命胴着をイメージした衣装を身に着け、機体に異変が起き、ダッチロールを繰り返して墜落した機内の乗客の様子を表現する。曲の途中には、異常事態発生を知らせる衝撃音や、パイロットの声を録音したボイスレコーダーの音声を流す。
練習の前には毎回、黙とうをささげてきた部員たち。キャプテンの3年松本沙千(さち)さん(18)は「恐怖や家族への思いを感じ、泣きながら踊ったこともあった」。作品の最後には全員が同じ振り付けで、家族への愛を表現する。
フェスティバルでは8日、89チームによる予選に出場する。愛媛県の高校総体では1位に輝いており、松本さんは「事故を若い世代に伝え、絶対に風化させたくない。犠牲者が多い兵庫で、しっかりと踊り切りたい」と力強く話した。
(中島摩子)
(2011/08/05 15:30)
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