【東京】防衛省は5日、新たな防衛計画の大綱で掲げた「動的防衛力」の具体化に向けた組織見直しと防衛力強化を図る構造改革推進委員会(委員長・小川勝也防衛副大臣)の報告書をまとめた。重点地域に首都圏と南西地域を指定し、緊急事態の南西諸島への部隊展開では民間と米軍の輸送力活用を明記。平素から島しょ部に実戦部隊を置き、全国から応援を受け入れる拠点づくりを重視した。
事態に備えた演習は、これまでなかった日米韓3カ国の共同訓練を検討。南西地域での訓練場整備や米軍施設の共同使用拡大で充実化を目指す。他省庁や地方自治体が参加する「新たな訓練機会を検討する」と明示した。
輸送に関し、東日本大震災の教訓を踏まえ「自衛隊の輸送力に限界がある」と指摘。中国が軍事的な動きを活発化させる南西諸島の防衛では「部隊展開や作戦資機材の輸送に民間輸送力を活用する必要がある」と強調した。
さらに南西地域で利用可能な空港や港湾の拡充を進める必要性を示し、民間船舶で弾薬類を運ぶ場合、法的な制約のクリアを検討事項に挙げた。
島しょ部に常時配備する陸上自衛隊の部隊は、海上・航空の輸送力を組み合わせて、コンパクトで迅速に移動できる部隊編成を目指す。情報収集や警戒監視活動では、移動警戒レーダーや新型哨戒機の配備に加え、無人機導入を検討する。
部隊運用に関しては、全国の陸上自衛隊を一元的に指揮する組織の是非を検討する方針も提示。各方面隊と中央即応集団に分散している運用体制に関し「運用を統括する機能がないことを含め、在り方を検討する必要がある」と記述した。