【東京】「つくる会」系教科書 教組など採択に抗議 大田区来春から中学校で使う社会の歴史、公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版採択を内定していた大田区教育委員会は五日、臨時会で議決し正式採択した。戦争を美化しているなどとして、教職員の組合などから反発する声が挙がっている。 (松村裕子) 育鵬社版は、「つくる会」元メンバーらが執筆。区内ではこれまで「つくる会」系の教科書を採択したことはない。 歴史は一、二年、公民は三年用で、二十八の区立中の計一万人余が使う。 臨時会終了後、委員の一人で、育鵬社版を推した清水繁教育長は「使いやすく、生徒の読もうという意欲がわきやすいかで判断した。歴史観や愛国心の観点から選んだわけではない。議会など外部からの圧力はなかった」と説明。「(育鵬社版は)歴史観が偏っているとは思わない。(『つくる会』系の教科書を既に使っている)他の自治体で学力低下などの問題は見られない。記述が足りなければ、教員が適正に指導すればいい」と述べた。 都教職員組合大田支部や共産党大田地区委員会、地元の弁護士らは同日、育鵬社版は「侵略戦争を美化している」「原子力発電を推進の立場で書いている」として、同区教委に抗議文を提出した。 社会の教科書は四日に審議済みで内定しており、議決時に意見を述べる委員はなかった。 審議では、歴史に関しては、六人の委員中、桜井光政委員長以外が「大田区ゆかりの人物が取り上げられ、生徒が興味をもつ」などとして育鵬社版を推薦。公民は、桜井委員長ら二人以外が「『家族と私』『地域社会と私』『国家と私』『世界と私』の内容に優れている」などとして、育鵬社版を推した。 PR情報
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