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孫正義氏:買い取り上限制「本末転倒」 再生エネルギーで

 ソフトバンクの孫正義社長は5日、毎日新聞のインタビューに応じ、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の国会審議で、買い取り額に事実上の上限を設ける議論が進んでいることに対し「頭打ちにするのは本末転倒だ」と批判、原発促進の立地交付金を再生エネ向けに振り向けるなどの普及策を求めた。また「発電事業者が送電網を持ち、高い価格で競合事業者に利用させていると競争力が失われる」と指摘し、電力大手の発電、送電部門を分離する発送電分離が必要との認識を示した。

 同法案は、再生エネ事業者の電力を電力大手に買い取らせ、買い取りコストは電気料金に転嫁する。海江田万里経済産業相は、転嫁額を1キロワット時当たり0.5円(標準家庭で月約150円)以内に収める方針で、買い取り価格を安くするか、買い取る量を抑える案などを検討している模様だ。

 孫社長は「10年先にコーヒー1杯分の負担だ。(安すぎると参入が進まず)“笛吹けど踊らず”になる」と述べ、買い取り価格が安すぎれば、再生エネ事業への新規参入が進まないと指摘。そのうえで「発電所の送電設備を新規事業者と電力大手のどちらが負担するかなどのルールが不透明だ」と指摘し、原発促進の交付金を再生エネ発電所の送電設備向けの補助金などに振り向けるなどの対応を求めた。

 また、新規事業者が電力大手の送電網を使用する時の「託送料金」が割高で新規参入が進まないとの指摘を踏まえ、「中立的な送電会社が必要だ。送電網は電力大手から分離されないといけない」と、発送電分離を主張した。

 孫社長は「脱原発」で菅直人首相と連携し、国内10カ所以上でメガソーラー(大規模太陽光発電所)などを展開する新会社の設立を検討している。脱原発をビジネスに利用する「政商」との批判もあるが、「新会社からは40年間配当を受け取らない」と反論。「自然エネルギー普及のきっかけを作るのが目的で、一日も早く本業(通信事業)に戻りたい」と述べ、送電や配電事業などへの参入には慎重な見方を示した。【乾達、山本明彦】

毎日新聞 2011年8月6日 2時30分

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