韓国の法廷で「金正日将軍様万歳!」
北の体制を賛美、二審で減刑されるやガッツポーズ
【キム・ヒョンウォン記者】 今年6月30日午後、水原地裁第410号法廷。北朝鮮の体制を賛美したとして逮捕・起訴されたH被告(43)=無職=は、この日の判決公判で一審(懲役1年6月)より軽い懲役1年の判決を言い渡されるや、検察官や傍聴者たちに向かってガッツポーズを見せ「偉大な金正日(キム・ジョンイル)将軍様万歳!」と叫んだ。
同地裁はこの日、H被告に対する判決理由として「H被告が利敵表現物を制作・発表したことは認められるが、大韓民国の存立や安定を脅かす直接的な行動を取ったわけではないということを考慮すれば、一審の量刑はやや重いと考えられる」と述べた。
それから1カ月余りたった今月4日、京畿地方警察庁はH被告を国家保安法違反容疑で新たに立件した、と発表した。判決公判の際、法廷にいた一部の傍聴者が「H被告が大韓民国の法秩序を否定する態度を取った」として、H被告を告発したことを受けた措置だ。
H被告は警察の取り調べに対し「『金正日将軍様万歳』を叫ぶのは、一審のときから計画していた。首領様(金正日総書記)が必ずや、南朝鮮(韓国)と戦争して勝利するという固い信念を法廷の場で表現したかった」と供述したという。公安当局の関係者は「H被告は大学時代から独学で(北朝鮮の)主体思想を学び、北朝鮮に憧れを持っていたことが分かった。取り調べの最中、北朝鮮軍の閲兵式の動画を見せたところ『将軍様に会いたい』と言って涙を流すなど、骨の髄まで従北派(北朝鮮に追従する人たち)らしい様子を見せた」と説明した。
H被告の当時の行動はすぐさま、インターネットの従北派コミュニティーで紹介された。
H被告を「司令官」と呼んでいるコミュニティーのメンバーたちからは「罰を受ける理由がないため、裁判所が減刑したものだ」「勇ましく信念に満ちた姿は実に素晴らしい」「元気な姿で帰ってきて、本当の祖国で大仕事をしてほしいと思う」といった書き込みが寄せられた。H被告は建設会社に勤務していた2007年8月から昨年11月にかけ、ポータルサイトに従北派コミュニティー「サイバー民族防衛司令部」を開設・運営し、北朝鮮の体制を賛美する書き込みを約380回行ったり、同様の動画6本を掲載したりしたとして逮捕・起訴された。また昨年11月、北朝鮮による延坪島砲撃事件が起こった後には「北方限界線(NLL)をめぐるはっきりとした姿勢を武力によって確認した。金正恩(キム・ジョンウン)大将の見事な戦果だ」といった書き込みをネット上で行った疑いも持たれている。