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1.実用発電用原子炉施設

図2-2実用発電用原子炉施設(関西電力株式会社 高浜発電所)
図2-2 実用発電用原子炉施設(関西電力株式会社高浜発電所)
関西電力株式会社高浜発電所は、1998年5月11日にプルサーマル計画等に関する設置変更許可申請を行い、行政庁及び原子力安全委員会の調査審議の結果、設置変更後においても、その安全性が確保されることが確認され、同年12月16日、設置変更許可がなされた。 

 実用発電用原子炉施設については、原子炉等規制法及び電気事業法による規制が行われている。すなわち、設置(変更)許可、保安規定の(変更)認可等については原子炉等規制法により、工事計画の(変更)認可、使用前検査及び定期検査等については、他の電気事業に対する規制と併せて電気事業法による規制が行われており、これらの規制は、通商産業省において一貫して行われている。
 原子力安全委員会は、こうした通商産業省が行う規制のうち、原子炉施設の安全性に係る事項について調査審議を行っている。すなわち、通商産業省が行った原子炉設置(変更)許可申請に対する安全審査の結果について最新の科学技術的知見に基づき客観的な観点からダブルチェックを行うほか、設置許可以後の段階においても、事故・故障等のトラブルの安全上の重要事項について通商産業省から報告を受け、審議を行っている。その他、原子力安全委員会は、実用発電用原子炉施設の安全に係る指針類の整備を行っている。
 以下、実用発電用原子炉施設の計画から運転までの規制活動の流れを図2-3に示し、規制の概要と実績を紹介する。

図2-3実用発電用原子炉施設の設置地点の選定から運転開始段階までの流れ
図2-3 実用発電用原子炉施設の設置地点の選定から運転開始段階までの流れ

 (1)計画の段階
 実用発電用原子炉の設置計画は、まず電源開発促進法に基づいて内閣総理大臣が決定する電源開発基本計画*1に組み入れられることにより決定される。

*1電源開発基本計画は、原子力発電所に限らず水力及び火力発電所全てを含めたものであり、内閣総理大臣を会長として、経済企画庁長官、通商産業大臣などの関係各大臣と学識経験者から構成される電源開発調整審議会の議を経て決定される。電源開発調整審議会の決定に先立って経済企画庁では関係都道府県知事の意見を聴き、また通商産業省では、温排水等の環境問題について検討を行っている。 
 なお、電源開発基本計画案を電源開発調整審議会において決定する前に、通商産業省は当該原子力発電所設置に係る諸問題について、地元住民からの意見聴取と設置者による説明が行われる第一次公開ヒアリングを実施することとなっている。
 1998年4月から1998年12月末までの期間に、新規に電源開発基本計画に組み入れられた原子力発電所はなく、現在電源開発基本計画に組み込まれている原子力発電所は計5基(548.8万kW)となっている。(資料編5-1参照)
 また、1998年度通商産業省主催の第一次公開ヒアリングについては、1998年11月11日に中国電力株式会社島根原子力発電所3号機の設置について及び1998年12月17日に電源開発株式会社大間原子力発電所の設置についての公開ヒアリングが開催された。(資料編4-3参照) 

 (2)設置の段階
 電源開発基本計画に組み入れられた原子力発電所については、その後、その原子炉の設置許可申請が設置者より通商産業大臣に対して行われる。
 通商産業省は、申請内容について原子炉施設の構造等が原子炉による災害防止上支障がないものであること、設置者が原子炉施設の設置及び運転に必要な技術的能力を有していること等、許可の基準に適合しているかを審査する*1。(原子炉の増設、施設の改造等に伴って行われる原子炉設置変更許可申請についても同様の手続きが行われる。)
 さらに、その審査結果については、原子力安全委員会及び原子力委員会に意見を求めるため、両委員会に諮問を行うこととなっており、両委員会は、それぞれの所掌に応じダブルチェックを行い通商産業大臣に答申を行うこととされている。(資料編5-1参照)
 これに関し、原子力安全委員会は、必要に応じて原子炉安全専門審査会に調査審議を指示し、ダブルチェックを行う。ダブルチェックは、原子力安全委員会の策定した指針類に基づき、安全上の重要事項*2を中心に行なわれる。また、実用発電用原子炉の新増設に係るダブルチェックに当たっては、その施設固有の安全性について地元住民の意見等の聴取を行う第二次公開ヒアリングを開催している。

*1安全審査に当たっては、原子炉等規制法の許可の基準に適合しているかを判断するため、通常運転時はもとより万一の事故を想定した場合にも一般公衆の安全が確保されるように、所要の安全設計等がなされているかについて審査される。
 具体的には、立地条件に対する万全の配慮、多重防護(数段構えの安全対策で事故を防ぐこと)の考え方に基づく事故防止対策、平常運転時の放出放射性物質の低減及び周辺公衆からの十分な離隔の確保という安全確保のための基本的な考え方を踏まえ、設置者が提出した原子炉設置(変更)許可申請書について、法令で定める基準等に基づくとともに、原子力安全委員会が決定した「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」、「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針」などの指針類を参考に現地調査、解析計算等を行い、必要に応じて原子力発電技術顧問の意見を聴取しつつ審査を行っている。
*2原子力安全委員会の安全審査は、主に次に挙げるような安全上の重要事項を中心に審議を行っている。
 1 既に設置許可等の行われた施設と異なる基本設計の採用
 2 新しい技術上の基準又は実験研究データの適用
 3 施設の設置される場所に係る固有の立地条件と施設との関連

図2-4 第二次公開ヒアリング
図2-4 第二次公開ヒアリング

 原子力安全委員会は通商産業大臣に答申する際に、安全審査及び設置者の技術的能力に関する報告書、第二次公開ヒアリングの参酌状況報告書*1を作成するとともに、更に必要に応じ、設置許可後の段階において確認すべき重要事項について指摘を行っている。原子力安全委員会はこの指摘に関する処理方針について、通商産業省より後日報告を受け、審議している。
 なお、原子力安全委員会は、1996年12月25日以降に諮問のあった安全審査案件のうち、原子炉安全専門審査会で調査審議を行うものについては、通商産業省の取りまとめた安全審査書を公開し、一定期間一般から意見を公募し、それらの中で反映すべき意見は専門審査会の調査審議の際に反映させ、答申の際に答申書とともにその反映状況を取りまとめ公表することとしている*2

*1第二次公開ヒアリングで地元住民から聴取した意見等のうち、その施設固有の安全性に係るものについては、原子力安全委員会及び専門審査会における調査審議の際にこれらを参酌し、主務大臣(行政庁)への答申の際に、その結果を第二次公開ヒアリングにおける意見等の参酌状況報告書として取りまとめ公表している。
*2また、設置許可後の段階において行政庁が確認すべき重要事項について調査審議し報告書を作成する場合にも同様の取扱いとする。
原子力委員会及び原子力安全委員会から答申を受けた通商産業大臣は、許可処分を行うに当たって、両委員会の意見を十分に尊重し、かつ、内閣総理大臣の同意を得なければならないこととされている。
1 実用発電用原子炉の新増設
   1998年4月から1998年12月末までに、通商産業省における1次審査または原子力安全委員会における2次審査(ダブルチェック)が行われた実用発電用原子炉の新増設に係る設置(変更)案件は3件である。
 東北電力株式会社東通原子力発電所1号炉及び中部電力株式会社浜岡原子力発電所5号炉の新増設に係る原子炉の設置変更については、それぞれ1997年9月5日、1998年2月25日に通商産業大臣より原子力安全委員会に諮問が行われ、ダブルチェックを行っていたが、それぞれ1998年8月3日、1998年12月14日原子力安全委員会は設置変更後の安全性は確保し得ると判断する等の答申を行った。その後、同8月31日、同12月25日通商産業大臣が許可を行った。
 また、北陸電力株式会社志賀原子力発電所2号炉の設置については、1997年5月20日に設置者より通商産業大臣に設置許可申請が行われた。その後通商産業省における審査を経て、1998年4月8日に通商産業大臣より原子力安全委員会に諮問が行われ、現在ダブルチェックが行われている。
2 実用発電用原子炉の設置変更(原子炉の新増設に係るものは除く)
   1998年4月から1998年12月末までに、通商産業省における1次審査または原子力安全委員会における2次審査(ダブルチェック)が行われた実用発電用原子炉施設の設置変更案件(原子炉の新増設に係るものは除く)は関西電力株式会社高浜発電所3号炉及び4号炉にウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX燃料)集合体を装荷する等の設置変更をはじめとする14件である。これらの審査の実績を表2-5に示す。
 原子力安全委員会は、これら申請のあった14件のうち既に通商産業省より諮問された13件の審査案件について調査審議を行い、その結果、10件について設置変更後の安全性は確保し得ると判断する等の答申を行った。残りの3件については現在審査中である。

表2-5 実用発電用原子炉施設の設置(変更)
表2-5実用発電用原子炉施設の設置(変更)

表2-5実用発電用原子炉施設の設置(変更)

 (3)建設の段階(工事計画及び燃料体の認可)
 設置(変更)許可後も、運転開始に至る各段階において行政庁による安全規制が行われることとなっている。まず、設置者は着工する前に、原子炉を含めた電気工作物の設置の工事計画を作成し通商産業大臣の認可を受けなければならない。次いで工事の工程ごとに使用前検査及び溶接検査を受け、認可どおり製作又は建設がなされているかどうかの確認を受けなければならない*1。また、燃料体についても設計認可(輸入品を除く。)及び検査を受けなければならない。

 *1実用発電用原子炉施設の工事計画の認可及び検査については、電気事業法に基づき、「発電用原子力設備に関する技術基準」、「発電用原子力設備に関する構造等の技術基準」、「電気工作物の溶接に関する技術基準」、「発電用核燃料物質に関する技術基準」等に照らしながら行われている 

図2-6実用発電用原子炉施設の建設(東北電力株式会社 女川原子力発電所3号炉)
図2-6 実用発電用原子炉施設の建設(東北電力株式会社女川原子力発電所3号炉)

図2-7実用発電用原子炉施設の使用前検査(東北電力株式会社 女川原子力発電所3号炉)
図2-7 実用発電用原子炉施設の使用前検査(東北電力株式会社女川原子力発電所3号炉)

 工事計画の認可については、1998年4月から1998年12月末までに、実用発電用原子炉施設について設置者より通商産業大臣に対して東北電力株式会社東通原子力発電所1号炉の新設、中部電力株式会社浜岡原子力発電所5号炉の増設に関する工事計画をはじめ40件の認可申請(変更も含む)が行われ、通商産業省による審査の上通商産業大臣は37件の認可を行った。なお3件については、1998年12月末現在通商産業省において審査中である。
 また、燃料体の認可については、同期間に、実用発電用原子炉施設について申請者より通商産業省に対して25件の認可申請が行われ、通商産業省による審査の上、通商産業大臣は21件の認可を行った。なお、4件については、1998年12月末現在通商産業省において審査中である。 

表2-8工事計画の許可実績(1998年4月〜1998年12月末)
(4)運転の段階
 設置者は、運転開始に当たって、施設の運転・管理、巡視点検、放射線管理、放射性廃棄物の管理等の安全運転上重要な事項を記載した保安規定を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならないほか、各年度毎に運転計画を届け出なければならない。また、実用発電用原子炉施設の監督を行わせるため、国が定める免状(原子炉主任技術者免状*1)を有する者のうちから原子炉毎に原子炉主任技術者を、また、核燃料物質の防護に関する業務を統一的に管理させるため、国が定める要件を満たす者のうちから核物質防護管理者を選任しなければならない。
 通商産業省は運転管理の監督体制の強化のため、実用発電用原子炉施設に運転管理専門官を派遣している。また、放射線被ばく管理*2、放射性廃棄物管理*3等を含め、保安規定の遵守状況等に関して通商産業省により原子力発電総合保安管理調査が実施されている。また、放射線被ばく管理及び放射性廃棄物管理については、年度ごとに通商産業省より原子力安全委員会に対して報告が行われている。
*1原子炉主任技術者免状は、原子炉等規制法に基づき科学技術庁長官の行う原子炉主任技術者試験に合格した者、又は科学技術庁長官が原子炉に関し原子炉主任技術者試験に合格した者と同等以上の学識及び経験を有すると認める者に対し科学技術庁長官が交付している。なお、原子炉主任技術者試験は、筆記試験及び口答試験により行い、1996年12月までに38回の試験を実施しており、これまでに原子炉主任技術者免状を交付した者は、認定者を含め  1071名である(資料編10-1参照)。
*2資料編 5-3を参照。
*3資料編 5-4を参照。
 さらに、運転開始後においては、運転期間約1年間ごとに定期検査*1が通商産業省により行われるほか、設置者は、通商産業省に対し運転に関する主要な事項について定期的に報告を行うこととなっている。また、実用発電用原子炉施設のトラブルが発生した時には、法令及び大臣通達に基づき、直ちに通商産業省に対し報告を行うことになっている。これらのトラブルについては、発生及び原因調査・再発防止対策がとりまとまった時点で通商産業省より原子力安全委員会に対して報告が行われている。
 このほか、原子炉等規制法に基づき各原子炉施設ごとに記録の保管が義務づけられているとともに、安全規制の一環として、必要に応じ、通商産業省により立入検査が行われることとなっている。
1 放射線被ばく管理
   1997年度における実用発電用原子炉施設における放射線業務従事者の線量当量実績は資料編5-3のとおりであり、全ての施設において原子炉等規制法に定める放射線業務従事者の線量当量*2限度(年間50ミリシーベルト*3)を下回っている。また、放射線業務従事者1人あたりの平均線量当量は、約  1.1ミリシーベルトであった。これら放射線業務従事者の被ばく状況については、原子力安全委員会に報告が行われた。
2 放射性廃棄物管理
   1997年度における実用発電用原子炉施設の放射性廃棄物の管理状況は、資料編5-4に示すとおりである。気体廃棄物及び液体廃棄物の放出については、線量目標値に関する指針*4の定める年間0.05ミリシーベルト以下を満足するように年間放出管理目標値が定められているが、1997年度においては、すべての実用発電用原子炉施設において、この放出管理目標値を下回っている。また、放射性固体廃棄物の管理状況については、ドラム缶等の発生量はほぼ横ばい傾向にあるとともに、焼却等による減容及び六ケ所低レベル放射性廃棄物埋設センターへ1997年度は約19,520本のドラム缶が埋設処分のため移送されたことより、累積保管量についてもほぼ横ばい傾向にある。(図2-9参照)これら放射性廃棄物管理状況については、原子力安全委員会に報告が行われた。
*1定期検査の対象設備は、電気事業法施行規則に定める原子炉本体、原子炉冷却系統設備他6設備であり、設備の機能別、検査内容別に約70項目(設備内容の差等によりプラント毎に若干の相違がある。)にわたる検査が行われている。
*2すべての放射線について、人体に与える効果を表示することのできる線量。
*3線量当量を表す単位。自然界より人間が1年間に受ける線量当量は約1ミリシーベルトである。
*4原子力安全委員会の「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」では、ALARA(合理的に達成できる限り低く:As Low As Reasonably Achievable)の考え方に基づき、周辺公衆の受ける線量当量を低く保つための目標値を定めている。 
図2-9 実用発電用原子炉施設における放射性廃棄物の貯蔵設備容量とドラム缶累積保管量
図2-9 実用発電用原子炉施設における放射性廃棄物の貯蔵設備容量とドラム缶累積保管量 

3 定期検査
   定期検査は、1998年4月から1998年12月末までに27件(検査を開始したものの件数)行われた。
 これらの定期検査において、蒸気発生器伝熱管に有意な指示が見られた等4件のトラブルが発見された以外には、異常は認められていない。それぞれの定期検査の結果については、検査対象設備ごとに結果の概要が取りまとめられ、定期検査期間中の放射線業務従事者の線量当量実績とともに原子力安全委員会に対し報告が行われた。
4 原子力発電所のトラブル
   1998年4月から1998年12月末までに原子炉等規制法及び電気事業法に基づき、通商産業省に報告のあったトラブルの件数は9件である。従って、この期間における我が国の実用発電用原子炉施設1基当たりの報告件数は  0.2件であり、トラブル件数及び1基あたりの報告件数は、過去15年間において最も数が少ないものとなっている。(図2-10、資料編5-5参照)。
 いずれの場合においても周辺環境への放射能による有意な影響はなかった。これらのトラブルについては、その原因及び対策に関して原子力安全委員会に報告されており、原子力安全委員会は審議の後、これを了承した。
 このほか、1998年4月から1998年12月末までに通商産業大臣通達に基づき報告された軽微なトラブルは4件であった。(資料編5-5参照)

図2-10トラブル報告件数及び1基あたりの報告件数の推移
図2-10トラブル報告件数及び1基あたりの報告件数の推移
図2-10 トラブル報告件数及び1基あたりの報告件数の推移

放射線被ばく管理

 放射線被ばく管理には、施設内の区域別の放射線管理と施設内に立ち入る人の被ばく管理がある。
 放射線管理については、原子炉等規制法に基づき当該区域において予想される放射線量率等から周辺監視区域及び管理区域を定め、当該区域の放射線量率等の監視、当該区域への出入管理等を行っている。各区域の放射線量率等は定期的に測定され記録が各施設ごとに保存されることとなっている。
 一方、放射線被ばく管理について設置者は、原子炉等規制法及び労働安全衛生法に基づき、放射線業務従事者の線量当量が、線量当量限度(年間50ミリシーベルト)を超えないよう管理することが義務付けられており、出入管理、退出モニタ等による汚染管理、フィルムバッジ、熱ルミネセンス線量計(TLD)、全身カウンタ等による個人被ばく線量管理及び健康診断に基づく健康管理が行われている。また、従事者等の不必要な被ばくをできるだけ低く抑えるため、各種の遮へい設備、エリアモニタ等放射線監視設備が設置されている。
 また、複数の原子力施設で働く放射線業務従事者の被ばく記録を一元化するため、財団法人放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターで従事者の年間線量当量等が集中的に登録管理されており、1998年12月末現在340ァ445名の登録が行われている。 

図2-11ゲートモニタ
図2-11 ゲートモニタ
管理区域へ入るときに様々なチェックを受けるゲート

図2-12退出モニタ
図2-12 退出モニタ
管理区域から出る際に身体の汚染がないことを確認する機器

図2-13全身カウンタ
図2-13 全身カウンタ
内部被ばく(体の中に取り込まれた放射性物質から放射線を受けること)を測定する機器

図2-14フィルムバッジ
図2-14 フィルムバッジ
放射線の被ばく量を計測するための特殊フィルムを納めたバッジ

図2-15警報付ポケット線量計
図2-15 警報付ポケット線量計
一日の線量当量及び管理区域立入時間を管理するための機器

放射性廃棄物管理

 原子力施設の運転に伴い発生する放射性廃棄物については、気体廃棄物処理設備、液体廃棄物処理設備及び固体廃棄物処理設備により放射性物質の濃度及び量を低減するための処理を行い、気体及び液体の一部については法令による基準を満足するように放射能レベルを監視しつつ、周辺環境に排出されている。(図2-16)
 具体的には、気体廃棄物についてはァガス減衰タンクや活性炭式希スホールドアップ装置によって放射能を減衰させ、フィルターにかけて粒子状物質を除いた後、放射性物質の濃度を監視しながら排出されている。
 液体廃棄物については、その性状に応じて分離回収し、フィルタ、蒸発器及び脱塩塔でろ過、濃縮、脱塩等適切な処理を行い、処理水については再使用されるほか、蒸発濃縮し、セメント等で固化したのち安全に貯蔵されている。なお、処理水の一部については、試料を採取し分析を行って放射性物質の濃度が十分低いことを確認した後、放射性物質の濃度を監視しながら排出されている。
 固体廃棄物については、その種類に応じて貯槽プール及びタンク類などに長期貯蔵又は保管するか、あるいはドラム缶詰め等の処理を行って固体廃棄物貯蔵庫において処分まで貯蔵されている。その後、固体廃棄物は日本原燃株式会社六ヶ所濃縮・埋設事業所等の廃棄物埋設施設において最終的に処分される。(4.参照)

図2-16原子力発電所の廃棄物処理方法
図2-16 原子力発電所の廃棄物処理方法


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