川勝平太知事は4日、国土交通省で大畠章宏国土交通相と面会し、7月下旬のモンゴル訪問時に同国政府から提示された石炭を本県に試験的に輸送する計画を伝え、協力を要請した。川勝知事によると、大畠国交相は「私の名代として話を進めてほしい。積極的に援助する」と述べたという。
計画はモンゴルで産出した石炭を本県に輸送し、愛知県碧南市の中部電力の火力発電所で発電資源として適しているかどうか実験するなどの内容。川勝知事は大畠国交相に、中電が計画に前向きな姿勢を示していることや、モンゴルが炭田開発と石炭を運ぶ鉄道の建設に向けて準備を進めていることなどを伝えた。
この後、外務省で松本剛明外相と会い、日本に入国するモンゴル人の査証発給要件の緩和などについて提言した。
「互恵関係」築けるか 県と友好協定のドルノゴビ県 交流内容は未知数
県が7月29日に友好協定を締結したモンゴル南東部のドルノゴビ県。豊富な地下資源を有する地域で、協定では経済をはじめ、観光や教育、環境保護など広範な分野で交流、協力することを決めた。ただ、具体的にどのような交流を進めるかの検討はこれから。県が目指す「友好的互恵互助の関係」を構築できるのか、今後の取り組みが問われている。
川勝平太知事を団長とする県民訪問団は7月27日〜今月1日にモンゴルを訪問した。協定締結に加え、まず相互に高校生らを短期派遣する青少年交流事業に取り組むことや、ドルノゴビ県の農業系技術職員4人を受け入れることで合意した。
さらに川勝知事はモンゴルのバトトルガ道路・運輸・建設・都市計画相と1日に会談。バトトルガ氏は日本への石炭輸出ルート開拓に向け、石炭を静岡に試験輸送したい考えを伝え、川勝知事は「できる限り協力したい」と応じた。
ドルノゴビ県は人口約6万人だが、鉱物資源豊富で、西側の南ゴビ地域では世界有数の炭田開発が計画されている。現状で石炭の大半を輸出する中国とは別のルート確保は価格決定でも有利に働くだけに、モンゴル側の悲願になっているという。
川勝知事は昨年8月にモンゴルを訪問した際、城所卓雄在モンゴル大使の紹介でドルノゴビ県のガンホヤグ知事と会談。それからわずか1年で協定締結にこぎ着けた。城所大使は県の迅速な対応を高く評価し、モンゴル政府も交流促進を支援する姿勢を示している。
ただ、ウランバートルから鉄道で8〜10時間もかかるアクセスの悪さやインフラ整備の遅れは交流の妨げになる。経済交流を一気にビジネスにつなげるのは難しいとの見方も強い。県地域外交局は「まずはできることから始める。ドルノゴビ県との交流を通じ、モンゴル国との関係を深めたい」としている。
大畠国土交通相にモンゴルからの石炭の試験輸送の計画などを伝える川勝知事(左)=国交省