2011年6月7日 14時36分 更新:6月7日 16時17分
北海道占冠(しむかっぷ)村のJR石勝線トンネル内で特急列車が脱線、炎上した事故で、業務上過失致傷容疑で捜査している道警は発生から10日たった6日時点でも、事故原因とみられる金属部品が脱落した車両底部の現場検証ができずにいる。線路上では車両の下に入って検証することが困難なうえ、現場は奥深い山間部で車両移動の見通しが立たないためだ。JR北海道は車両を切断・分解してトレーラーで運ぶことを検討している。
事故を起こした「スーパーおおぞら14号」(6両編成)は発生2日後の5月29日、ディーゼル車にけん引されてトンネル外に搬出。現場近くの信号場の線路上で保管されている。道警は今月1日に車両内部の実況見分を実施したものの、脱落した金属部品「推進軸」があった4両目や、出火元とみられる6両目の車両底部は手付かずだ。
JR福知山線脱線事故(05年)や羽越線脱線事故(同)で警察は発生1~4日後に現場検証しているが、道警幹部は「線路上では車両の下に潜って車両底部を見ることは不可能。検証は車両の移動後になる」と話す。
JR北海道は車両の検査設備が整っている釧路運輸車両所(釧路市)か苗穂工場(札幌市)に搬送する方針だが、約110キロ離れた札幌や約230キロある釧路までけん引すると、部品脱落の可能性がある。徐行運転が必要なためダイヤへの影響も考えられ、けん引による車両移動は極めて困難だ。
同社は現場で車両を切断してクレーンでつり上げ、トレーラーで道路で運搬することを検討しているが、現場は国道から未舗装の山道を30分以上登った先にある。作業機器の搬入も課題で、同社広報部は「早期に移動させたいが、見通しは立たない」と話している。【伊藤直孝、小川祐希】