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トコトン議論〜日本のエネルギー政策を考える〜

「怪しいお米セシウムさん」、汚染されているのはテレビ局の倫理観だ

月明飛錫

逍花 プロフィール

4日午前に放送された東海テレビ放送の番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米「ひとめぼれ」プレゼント企画の当選者を「怪しいお米セシウムさん」、「汚染されたお米セシウムさん」と表記したリハーサル用テロップが誤って放送された(下の動画参照)。



(※動画が表示されない場合は、http://youtu.be/OpSaEI05R2Mを見てください。)
 
現在、東海テレビ放送のサイトには、謝罪文”「ぴーかんテレビ」内で不適切な表現が放送された事故について”が掲載されている。

http://tokai-tv.com/owabi.html

これによると、放送されたのは、「当選者が決定する前に作成したリハーサル用の仮テロップ」であり、東海テレビ放送は、「放送に使用しない仮のものとはいえ、大変不謹慎な表現を使用したことに問題があり、担当者の認識不足とともに、番組プロデューサー、ディレクターのチェック・管理体制の甘さがあったことを深く反省するとともに重ねてお詫び申し上げます。」、「福島、岩手県の方々にご迷惑をおかけし、視聴者には大変不快な思いを抱かせてしまいました」と謝罪した。

この放送に対し、岩手県では4日に、「放送内容は、米農家が長年大切に育てあげブランド化してきた努力を踏みにじり風評被害をもたらすとともに、なにより東日本大震災津波からの復興に全力をあげて取り組んでいる本県を誹謗中傷するものであり、本日、岩手県知事から東海テレビ放送株式会社あてに抗議文を発出しました」と発表した。

同時に、現在流通しているお米は平成22年産米で、原発事故発生前の昨年秋に収穫された安全なお米であり、平成23年産米についても、検査し、安全を確認したお米を流通させるとした。
参考:岩手県:8月4日の東海テレビ放送「ぴーかんテレビ」への抗議について

岩手県の抗議は、当然といえる。今回の騒動は、誤って仮テロップが放送された「事故」といって済まされるものではない。

「風評被害を防ぎましょう」
「被災者に寄り添う気持ちを大切に」
「いじめをやめましょう」

などと番組で発言するテレビ局の舞台裏で、こんな悪質な冗談がまかりとおっていることには、絶句する。汚染されているのは、コメではなく、放送局の倫理観だ。陰湿ないたずらのようなテロップがリハーサル用とはいえ作られ、それが使用されることに対しておかしいという感覚が働かない職場を信用することはできない。

もしこれが、ごく親しい友人同士での昼休みの会話や、頭の中で考えたことであれば、それを禁止することはできないだろう。しかし、どこかの職場の社内会議用の資料で、「汚染されたお米 セシウムさん」などという文字が躍ることがあるだろうか? 私には想像できない。

私は先日、テレビ局は免許事業であり、電波利用料を優遇されており、自ら公共性について言及しているため、単なる営利企業として扱うべきではないことを指摘した。

参考:テレビ局は営利企業か、それとも公共性があるのか

しかし、これでは公共性についての認識が足りないどころか、(普通の)企業としての倫理観すらも欠けているといわざるをえない。ところで原発事故以後、電力会社のさまざまな問題が指摘され、やらせメールも話題となった。テレビ局も電力会社も、規制に守られ、新規参入が排除された独占あるいは寡占業界である。こうした業界では、自浄作用が働きにくくなることがよくわかる。


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