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活気再び 会津若松市長選(上)観光客減少

2011年08月04日

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夏休みに入っても飯盛山を訪れる観光客はまばら。土産店は静かだ=会津若松市の飯盛山参道

 ●不安の中、復活の兆し

 白虎隊の悲劇の舞台となった会津若松市の飯盛山。同市への修学旅行では定番の訪問先だが、この春から夏、大型バスを見かけることはほとんどなかった。東京電力福島第一原発の事故後、修学旅行客が昨年から9割以上減ったためだ。

 国の重要文化財「さざえ堂」に通じる参道に軒を連ねる土産物店や和菓子店からも、威勢のいい呼び込みの声が聞かれない。「7月の売り上げは例年の3割ほど。平日はさっぱり。夏休みなのになあ」。そう話す店は多い。ある店の女性は「話しかけても、福島なまりの方ばかりだよ」。

 旅館やホテルも苦戦している。東山温泉では大熊町から避難してきた住民を一時、2250人受け入れていた。現在は約950人に減り、全体的に観光客を受け入れる部屋は増えたが、ある人気老舗旅館では「観光の宿泊客は例年の半分弱。避難されている方を含めても、部屋は約6割しか埋まっていない」という。

 7月28日午後2時、鶴ケ城近くの「鶴ケ城会館」に市内の観光関連業者約30人が集まった。旅館業、食品卸売業、菓子製造業、運輸業など幅広い。同会館社長の下平剛さん(58)が会長を務める「会津若松観光産業福島原発風評被害対策協議会」の会合だった。今後、市内外の約200社に同協議会への参加を呼びかけ、東京電力に十分な賠償金、県や市には風評被害対策を求めていくという。

 政府の原子力損害賠償紛争審査会が5月にまとめた2次指針では、県内で営業している観光業の解約や予約控えなどによる減収は、原発事故と因果関係があると認めた。東電は「独自の算定基準を基に交渉を進めたい」としている。

 文部科学省の担当者は、「賠償対象は土産店、出入り業者など幅広く認められる」と説明するが、関係者の不安は収まらない。風評被害対策協議会の事務局員で、飯盛山の土産店「とらぞう」の支配人、井関一浩さん(38)は「個々に声をあげても相手にされないのではないか。業界を超えて団結したい」と話す。

 明るい兆しもある。会津観光の中心地・鶴ケ城公園の4月以降の入場者は、例年の約7割にあたる37万2千人。天守閣への有料入場客は震災から約1カ月間、例年の約3割にとどまっていたが、今は約6割まで回復してきた。

 最近は旅行会社による「応援ツアー」が増えているほか、観光庁が外国人旅行客の受け入れ拠点の一つとして同市を整備する方針も打ち出した。

 観光商工部の松川和夫部長は「鶴ケ城に人は戻ってきたが、周辺に足を運んでいない。滞在時間が短く、宿泊客を増やすのが大きな課題」と指摘する。

 例年、県内で最も多い年間約260万人の観光客が訪れる会津若松市街地。鶴ケ城や飯盛山などのにぎわいは、県内の観光全体の底上げのカギを握る。県観光交流課の担当者は「観光客は震災の直接的な被害が少なかった会津若松を拠点に多くの観光地に足を運んで欲しい」と期待する。

         ◇

 震災前から「活気がなくなった」と指摘されて久しい会津若松市。市長選を前に現場を巡り、市の課題を考えた。(池田拓哉)

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