2011年8月5日 2時30分
大村秀章・愛知県知事が自民党衆院議員時代に支部長を務めていた政党支部「自民党愛知県第13選挙区支部」(解散)が、暴力団と密接な関係があるとして同県の入札参加から除外された豊橋市の人材派遣会社から07~08年に計24万円の献金を受け取っていたことが分かった。当時、同社では指定暴力団山口組系の組と関係の深い男性が取締役を務めていた。大村氏の事務所は「暴力団と関係があると知っていれば受け取っていない」として献金の経緯を調査する意向を示した。
政治資金収支報告書などによると、同支部は同社から07年5月と08年9月にそれぞれ12万円の献金を受けた。
同社は豊橋市で97年7月に設立され、土木作業員や警備員などの派遣業を営む。10年4月、夜間にパトロールカーで巡回する豊橋市発注の防犯事業の入札に参加し、落札した。その後、市に匿名の情報が寄せられ、愛知県警の捜査で暴力団と関係があることが判明。市は落札を取り消した。
捜査関係者らによると、同社では06年8月から10年6月末まで山口組系暴力団の男性組員の兄が取締役を務めた。また、この組の別の組員が同社の従業員寮に一時入居したり、同社従業員と組員が共謀して詐欺事件を起こしたことも県警に確認されたという。
県警は、入札参加資格のある企業に暴力団との関係が認められた場合、入札からの排除を通知する協定を自治体との間で締結している。県警からの通知を受けた県と豊橋市は10年4~5月、「暴力団または暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有している」として、同社に3カ月間の入札排除措置を実施した。県の排除措置は2例目、豊橋市では初めてで、一部で報じられたが、大村氏の事務所は当時、何の対応も取らなかった。
その後、同社は問題の取締役を退職させるなどの対策を取ったとして、10年8月に排除措置を解除された。
大村氏の事務所は毎日新聞の取材に「献金を受け取ったことは記憶しているが、暴力団と関係があると知っていれば受け取っていない。調査し対応を検討したい」と説明した。
大村氏は今年4月、県暴力団排除条例の施行に合わせて名古屋市で開かれたキャンペーンに参加し、「暴力団排除に県民が一丸となって取り組んでいかなければならない」とあいさつしていた。